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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
石川県 小松市
視察案件
小松駅高架下に誕生した観光交流センター「Komatsu九(コマツナイン)」について
実施日
令和7年2月5日
参加者氏名
山崎   進、鬼丸 裕史、金子   進、水沼 日出夫、石川 友和、
山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 小松市は、石川県西南部に広がる豊かな加賀平野の中央に位置し、産業都市として発展し、南加賀の中核を担っています。東には霊峰白山がそびえ、その裾野には緑の丘陵地、そして田園、平野が広がっています。それを縫うように梯川が流れ、安宅の海に注いでいます。小松市の範囲は東西25.5km、南北33.1km、海岸線7.5km、面積が371.05㎢あります。小松市の産業は、江戸時代から、前田利常公の殖産興業政策によって城下に職人たちが集まり、「ものづくり」をなりわいとして繁栄してきた歴史があります。現在では、世界的な建設機械メーカーが生まれ、その協力企業等によって機械産業を中心とした産業クラスターが形成されています。さらには高度な産業集積と技術力を活かし、日本一のシェアを誇るパーティションメーカー、世界的な電子部品メーカー、日本有数のバス製造メーカーやそれらの関連企業が立地するなど、多様な産業集積が進んでいます。
 また、繊維産業についても、高機能繊維など高い技術力を有する企業が多くあり、九谷焼などの伝統産業も盛んです。
 空港・高速道路・鉄道が整備された小松市は、その交通アクセスの良さと豊かな自然環境を活かした産業団地の造成や周辺のインフラの整備をするほか、産業誘致企業誘致をはじめ、サテライトオフィスの立地やスタートアップ企業の創業支援などを推進しています。

(2)視察内容
 小松駅高架下に誕生した観光交流センター「Komatsu九(コマツナイン)」について、「Komatsu九」の設立背景、理念、そして地域活性化への具体的な貢献目標や運営体制、観光拠点としての機能や地域経済や住民への効果を調査目的としています。

(3)視察から得られた考察
 「Komatsu九」の設立背景、理念、そして地域活性化への具体的な貢献目標について 設立背景は、北陸新幹線小松駅の開業にあたり、駅近隣の来訪者および利用者に対する滞在空間や観光案内、賑わい創出機能を設置するために観光交流センター「Komatsu 九」を設立ました。Komatsu九は「待ち合わせ、鉢合わせ、巡り合わせ」をテーマに、小松と「もっと深く、おもしろく」関わるための出逢いが生まれる、ひと・もの・情報の交流拠点です。多様性あふれる小松の魅力を、あらゆる関係者と共に創出、発信する、主に@人が育つ、小松A伝統を継ぐ、小松B街を伝える、小松C文化が息づく、小松D多文化と交わる、小松E食を豊かにする、小松F歌舞伎で魅せる、小松G本物をつくる、小松H世界に羽ばたく、小松の9つのコンセプトをきっかけに創出・発信を行っております。
 運営主体は小松市国際文化交流部観光交流課及び指定管理 株式会社こまつ賑わいセンターにおいて2人のプロパー社員を雇用して活動しております。
 株式会社こまつ賑わいセンターは都市再生推進法人として駅から半径1kmのエリアのまちづくりを踏まえた、駅周辺の商店街とネットワークを作る観光交流センターの運営を実施しております。
 施設整備や運営にかかった費用の検討方法について、施設整備は基本設計段階で整備費の概算を算出し、国からの補助金を財源にして事業を進めておりました。運営については、必要な仕様にかかる費用と、経済活動による収支シミュレーションを行い算定し、行政財産なので出店者からは賃料をもらっております。
 地域資源 (伝統工芸、観光名所、イベントなど)のPR 方法については、ギャラリーエリアにて展示、映像放映、行事に合わせたイベントの開催を行い、小松大学のインターン生がSNSやHPを活用し発信しております。
 観光客誘致による地域経済への影響について小松市は、ビジネスを目的とした来訪が多いため、ビジネス客に対する観光施設や飲食店来訪、物産購入の促進を実施。飲食店は開業以降、新店舗オープンが続くなど活況のようです。併せて駅周辺の観光地やお土産店の売上も上昇しているとのことでした。
 地元住民や事業者との連携状況は、当初は新幹線で駅にお金を使うくらいなら、商店街アーケードや道の駅をなんとかしてくれという声が大きかったようですが、こどもたちが喜ぶ初めての乗り物(新幹線)を大人は50年前の産物だと批判するのですかと担当課長が問い説得したところ、地元住民や事業者はイベントがあると協力してくれるようになったとのことでした。また主にイベント開催について、地元住民や事業者との対話を定期的に実施することで、駅からまちなかなどへの波及に取り組んでおります。
 施設内のコワーキングエリアは、日中は企業などで働く方が利用し、夕方からは学生の勉強スペースとして利用されているようです。特に時間的な区切りを行っている訳ではなく、サラリーマンの方は勤務中、学生は授業の終わった放課後に自然に集まってくるとのことでした。またどうしたら来てくれるか?という観点では、若者目線に立ち、”居てカッコいい””そこで勉強していてカッコいい”という観点で空間設計したとのことです。
 訪問者の回遊性を高める取り組みについては、観光案内機能に物産販売機能を付帯することで、「食」を起点に回遊性を促進し、また滞留しやすい空間機能によって、「まちのどこかに出かけてみる」という余白を生み出す効果まで考えられておりました。
 また金沢市内はインバウンドで物価が高いが、小松まで新幹線で10分片道1,000円なので、小松で食事をして金沢市に帰った方が金沢市内で食事をするより結果安くなるとのことです。
 小松市の市長はボトムアップ型の市長であり、「Komatsu九」は特定任期付職員の採用を条例制定し、プロジェクトを成功させるため、民間のプロフェッショナルを人材として雇用しました。市長はこの担当課長へ、市民から上がってくる声を拾ってあげてくれと指示があったそうです。それまでは、施設については誰かが言った意見で勝手につくられていたようですが、担当課長は、他人がつくったまちに誰か住みたいか?という観点から、徹底的に地域住民や事業者とコミュニケーションを図ったそうです。
 春日部市においても、春日部駅が高架化され、新しい駅前のまちづくりが始まっていく中、行政主導ではなく、小松市のように地域住民の意見を十分に汲み上げられる人材を確保し、地域住民が主体となったまちづくりをしていく必要を強く感じました。

視察の様子
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