各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 建設委員会
- 視察先
- 福島県 福島市
- 視察案件
- 宇宙ビッグデータを活用した水道管の漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス宇宙水道局」の導入について
- 実施日
- 令和6年10月30日
- 参加者氏名
- 吉田 稔、鈴木 一利、鬼丸 裕史、金子 進、河井 美久、今尾 安徳
視察結果概要
(1)視察先の概要
福島市は、福島県の北東部に位置する県都で、人口は約27万3千人を擁し、古くは養蚕と阿武隈川の舟運で栄えた小さな城下町です。
吾妻山、阿武隈高原に囲まれた福島盆地は果物の生産が盛んで、西部を走るフルーツライン沿いには観光果樹園や直売所が点在しており、名物の桃をはじめ、1年中みずみずしい果物を楽しむことができるフルーツ王国です。
「奥の細道」で松尾芭蕉が訪れたとされる飯坂温泉・こけしの里として知られる土湯温泉・白濁の硫黄泉で秘湯感漂う高湯温泉の福島三名湯が有名です。
日帰りで東京と行き来できるアクセスの良さも魅力で、東北中央自動車道などの高速交通網が整備され、ますます快適になり、福島県の政治・経済・文化の中心、南東北の拠点として発展を続けています。
(2)視察内容
福島市水道局では、令和5年度の有収率が88.9%で、漏水量及びその他水量が、年間約213万立方メール、年間約8,112万円の損失を出していることが課題となっています。
このような状況から、昨年、JAXA認定の宇宙ベンチャー(株)天地人が提供している宇宙ビッグデータを活用した水道管の漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス宇宙水道局」を、国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、国内で初めて採用しました。
このシステムは、地球観測衛星が観測したデータ(宇宙ビッグデータ)と水道事業者が保有する水道管路情報や漏水履歴、オープンデータなどの様々な情報を組み合わせて、AIで解析することで、100m四方の地区ごとに漏水リスクを評価し、システムで確認・管理するものです。
このシステムを導入することにより、これまで有収率向上対策として実施してきた、老朽管更新事業(漏水予防対策)や漏水調査業務委託(戸別音聴、音圧ロガーでの監視型調査)に加え、漏水リスクが高い箇所の漏水調査の優先実施や、老朽管更新の順位付けにも活用が可能となっています。
(3)視察から得られた考察
福島市では、全国に先がけて、「宇宙ビッグデータを活用した水道管の漏水リスク管理業務システム」を導入し、その評価結果を、漏水調査や老朽管更新計画などに反映しつつある現状を視察することができました。
春日部市では、「春日部市新水道事業ビジョン(経営戦略)」において、市内全域を対象とした漏水調査を継続して実施するとともに、新たな漏水調査手法の導入を行い、漏水の早期発見及び早期修繕に努めることとしています。また、2027年の有収率を93.5%に目標設定していることからも、今回行政視察した福島市の先進的な取り組みを十分参考にしていきたいと思います。

視察の様子