各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 厚生福祉委員会
- 視察先
- 新潟県 佐渡市
- 視察案件
- 多子世帯出産成長祝金事業について
- 実施日
- 令和6年10月31日
- 参加者氏名
- 木村 圭一、会田 吉幸、榛野 博、水沼 日出夫、奥沢 裕介、小久保 博史
視察結果概要
(1)視察先の概要
佐渡はアルファベットの「S」や「Z」のような形をしていて、北に1,172mの金北山をはじめとする大佐渡の山地、南は645mの大地山をはじめとする小佐渡の山地、中央部に国中平野が広がっています。
島の面積は約855㎢、海岸線は約280qあり、日本では東京23区や淡路島、海外ではグアム島やプーケット島の約1.5倍の大きさがある、日本海側最大の島です。
佐渡では古くから金や銀の採掘が行われ、江戸時代には徳川幕府の直轄地として島内で小判の製造が行われていました。
金銀山開発のために日本各地から様々な人が集まり、17世紀前半には相川の町に最大5万人もの人が住んでいたと言われています。
令和6年7月、佐渡金銀山は、「佐渡島(さど)の金山」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。
(2)視察内容
佐渡市では、佐渡に生まれたこどもの誕生及び健やかな成長を祝うとともに、多子世帯の子育てに係る費用の経済的負担を軽減することにより、子育て世代の第3子以降の妊娠、出産の後押しとなり、かつ、本市の重要課題である少子化の減速、移住・定住の促進及び本市の活性化に寄与することを目的として、対象児童を養育する保護者に成長祝金を支給しています。支給額は、@出生時20万円、A満6歳時40万円、B満12歳時50万円、C満15歳時80万円、+たからじま祝金10万円=総額200万円、となっています。
事業実施の背景として、小学生以下の児童の保護者を対象にアンケートを実施、こどもの人数についての項目で、理想の子どもの数は「3人」が45%であったこと、ワークショップ「もう1子の出生に向けたハードル、その解決策」を開催した際には、経済的負担の解消として、こどもの成長に応じた支援、多子世帯への支援がほしい、子育て環境の充実として、こどもを育てやすい職場や地域であってほしいとの意見があったことから、事業を実施しています。
今後の課題としては、持続可能な制度とするために市民の制度理解や記録の管理のシステム化、効果の検証として出生数の増加や移住定住施策に与える影響をどのように検証していくか、単独事業では人口は増えないと捉え、様々な施策との連動が必須であるとのことです。
(3)視察から得られた考察
令和6年の佐渡市の人口は48,649人で、特に20〜30歳台が少ないです。大学など高等教育機関が少ないため、高校卒業時に島を出ていく若者が多く、観光産業の活性化や交通インフラ整備、企業誘致、教育留学制度などで島外から移住などの取り組みを展開しています。
佐渡市の合計特殊出生率は1.43で全国平均(1.20)より高いですが、出産世代が減少しています。アンケートやワークショップを通して、もう1人こどもを持ちたいとの結果を受け、産んで育てる支援を重視していると思われます。
都心にも近く、本市のポテンシャルに加え、子育てしやすいまち春日部として、移住、定住を促進する観点などからも多子世帯に対するさらなる支援は今後、検討する価値があると考察します。

視察の様子