各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 総務委員会
- 視察先
- 愛知県 豊田市
- 視察案件
- DX推進の取り組みについて
- 実施日
- 令和6年10月25日
- 参加者氏名
視察結果概要
(1)視察先の概要
豊田市は愛知県のほぼ中央に位置し、愛知県全体の17.8%を占める広大な面積を持つまちで、人口は415,863人(令和6年4月1日現在)、面積は918.32㎢です。
全国有数の製造品出荷額を誇る「クルマのまち」として知られ、世界をリードする、ものづくり中枢都市としての顔を持つ一方、市域のおよそ7割を占める豊かな森林、市域を貫く矢作川、季節の野菜や果物を実らせる田園が広がる、恵み多き緑のまちとしての顔を併せ持っています。それぞれの地域の持つ特性を生かし、多様なライフスタイルを選択できる満足度の高い都市として、さらなる成長を目指しています。
(2)視察内容
○これまでの主な経緯
◇令和2年度
・情報戦略課を設立し、内閣府からDX専門人材を配置(〜現在)(4月)。オンライン会議導入(5月)、庁内チャット導入(7月)、AI−OCR・AIチャットボット導入(11月)。デジタル強靭化戦略を策定。デジタル化推進本部会議、デジタル化推進チームを設置。AI議事録導入(2月)。
◇令和3年度
・デジタル化推進担当専門監(現CDO)を設置(8月)。RPA導入(11月)。
◇令和4年度
・キントーン実証開始(4月から1年間)。デジタル強靭化戦略を改定(9月)。LINE(BotExpress)マイナポイント予約(1月)。
◇令和5年度
・キントーン実装開始(6月)。・DX副業人材確保(CDO補佐官)(8月)。生成AI検討チームを設置(10月)。
◇令和6年度
・生成AIガイドラインを策定(5月)。LINE(BotExpress)粗大ごみ予約(10月)。
○取組方針
@将来像実現の推進
3年後の将来像を着実に実装化する。それを基盤として、10年後の将来像に近づけていく。テーマは「将来像アップデート」「将来像を起点に官民連携」「府省庁予算、民間資本活用」
A徹底したDX・業務改革
既存ツールを徹底的に活用し、各部局・各課の自走型で事務改革(BPR等)を徹底し、DXを着実に実行する。テーマは「市民サービス向上」「スマート窓口」「働き方改革」「業務改革」
BDX×官民連携
オープンデータを活用した官民連携を促進する。民間との連携はシステムなどだけではなく、人材面でも連携し、各部局の将来像等を実現する。テーマは「オープンデータ」「府省庁予算、民間資本活用」
○進捗状況・成果
・手続(約360手続)のオンライン化は、目標値である100%を達成する見込み(法令等で対応が困難もの(対象外)を含む場合の進捗率は80%)
・キャッシュレス決済の導入率は、目標値である80%を達成する見込み
・オープンデータは、目標値である300〜500を達成する見込み
・各種ツール(AIチャットボット、AI-OCR、RPA、キントーン、公式LINE)の導入・活用
・スマート窓口システムの導入(住民異動届の「書かない窓口」を令和5年6月稼働)
・BPR(業務見直し)は10課25業務で、業務委託により各課のBPRを伴走型で支援
○課題
◇世の中のトレンドへの対応
・ダイバーシティ(多様性)、アクセシビリティ(利用のしやすさ、便利さ)、顧客サービスのパーソナライズ(顧客一人ひとりの要望やニーズに合わせてサービスを提供)、データ連携・データ利活用・デジタル主体
◇市役所の課題
・人口減により、職員数も当然に減が予想される。現状のサービスをいかにして10年後、20年後も提供し続けるか。通常業務で手一杯の状況
◇これまでの取組で見えてきた方向性
・市民目線では、これまでの「画一的な対応」から、「ニーズ似合った対応」へ。市民がデジタルとアナログを選択可能か環境に。今はアナログが多いかもしれないが、将来的にはデジタル主体へ
・職員目線では、事務ルーチンを「アナログ主体」から、「デジタル主体」へ
◇全体的
・一朝一夕に実現するものではないが、今から始めなければ手遅れになる(10年後の今のまま)という危機感を持つ必要がある
(3)視察から得られた考察
@デジタル化の進歩と市民サービス向上のバランス
豊田市では、デジタル化を進めることで市民サービスを向上させる取り組みが行われています。アナログとデジタルを選べる環境を整備し、住民ニーズに対応することが課題となっています。
本市でも、オンラインサービスを導入することは重要ですが、デジタル化に対応できない市民層も一定数存在しています。特に、高齢者やデジタルに不慣れな市民に向けた支援を強化することが求められます。
A職員の業務改革とデジタル化の定着
豊田市は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI-OCRなどを導入し、業務の効率化を進めています。特に、事務業務のデジタル化とともに、職員の負担軽減を目指しています。「職員数の減少に伴い、現行業務のデジタル化が必須となるため、そのための支援体制をどう確保するか」が課題として挙げられています。
また、DX推進のための専門職員(CDO)を設置し、外部から副業人材や専門家を確保するなど、官民連携による強化人材が図られています。業務改革やデジタルツールの活用を支える重要な要素となっています。
本市でも、業務効率化のためのデジタルツール導入は必須です。特に、本市は職員数が他自治体に比べ少ないです。効率的に業務を遂行するためには、AIやRPAなどを積極的に導入し、職員の負担を軽減することはとても重要です。また、デジタル化に対する職員の教育・支援を継続的に行い、スムーズに進めるための体制構築が求められます。DX推進のために専門的な知識を持つ人材を確保し、必要に応じて外部の専門家や民間企業と連携する仕組みを整えるべきです。デジタルスキル向上を目的とした研修プログラム等を強化し、庁内でのDX推進体制を構築することが必要です。
B官民連携とオープンデータ活用の推進
豊田市では、オープンデータの活用や民間との連携を積極的に推進しており、これにより市民サービスの向上や新しい事業の場が生まれています。行政が慎重な課題の解決に加速が見られます。
本市でも、オープンデータの活用や民間企業との連携を強化することは有益だと考えます。特に、デジタル技術に強い民間企業との協力は、新しいサービスや効率的な行政運営のモデルを創造し、市民にとって有益な情報を提供することが可能となります。

視察の様子