本文へ移動
背景色

現在位置 :トップページ › 行政視察報告書

各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
総務委員会
視察先
石川県 小松市
視察案件
自主防災組織の取り組みについて
実施日
令和6年10月23日
参加者氏名
山口 剛一、藤原 智子、酒谷 和秀、阿部 雅一、山崎 進、荒木 洋美

視察結果概要

(1)視察先の概要
 小松市は、石川県西南部に広がる豊かな加賀平野の中央に位置し、産業都市として発展し、南加賀の中核を担っています。東には霊峰白山がそびえ、その裾野には緑の丘陵地、そして田園、平野が広がっています。それを縫うように梯川が流れ、安宅の海に注いでいます。人口は106,178人(令和6年4月1日現在)、面積は371.05㎢です。
 市内には北陸新幹線の小松駅のほか、IRいしかわ鉄道の小松駅、粟津駅、明峰駅があります。また、北陸の空の玄関口である小松空港、高速道路では北陸自動車道の小松インターチェンジ、安宅スマートインターチェンジが設置されています。
 また、江戸時代から、「ものづくり」をなりわいとして繁栄してきた歴史があります。建設機械メーカー「コマツ」誕生の地であり、繊維産業についても、高機能繊維など高い技術力を有する企業が多くあり、九谷焼などの伝統産業も盛んです。また、市内には、効能の違う温泉が点在しており、中でも粟津温泉は1300年の歴史がある温泉です。

(2)視察内容
○自主防災組織の現状
 市内の245町内の全てで自主防災組織が結成されており、自主防災組織の数は231組織(令和5年4月1日時点、連合体を含む)となっています。なお、結成率100%は平成25年9月に達成しています。

○防災への取組
◇自主防災組織評価制度
 平成23年度から、地域の防災力向上のため、毎年、各自主防災組織の活動を防災対応力・訓練充実度・訓練継続度・訓練参加率・消防所見の項目に分けて評価を行い、自主防災組織のランク(A〜Dの4段階評価)を決定しています。平成26年度からは、更なる地域防災力向上を目指してもらうため、Aランクより、さらに上位の組織にSランクを創設し、評価項目に町内防災力(自衛消防隊組織の有無など)を追加しました。また、自主防災大会を開催しており、活動発表会や外部講師を招いた研修会のほか、Sランク・Aランクの上位団体及び優秀な個人を対象に表彰式を行っています。
◇人材育成
 防災士の養成に力を入れており、町内の防災士として養成する場合は、資格取得に係る経費は県市が負担しています。なお、令和6年3月末時点で999人の防災士がおり、全町内に1人以上、女性の比率を3割にすること(現在280人→300人)、外国人防災士の養成(現在19人)を目標にしています。防災士のほか、広域な災害発生時に適切な応急手当を行なう「しみん救護員」(現在784人)の養成や、防災リーダーの育成等を行っています。このほか、消防団とは別に『地域自衛消防隊』を結成し、町内での初期消火活動などで活躍しています。
◇その他の支援
 防災訓練実施による補助金交付制度があり、各組織へ経費の1/2(限度額4万円)を補助しています。また、防災訓練用として防災資機材貸出制度も行っています。(AED・消火器・土のう作成枠など) また、災害時サポート事業所登録制度があり、災害時には、登録内容に応じて、市役所から事業所に協力活動を要請し、事業所は被災地・被災者に対して避難者の一時受け入れや水道水・トイレ・休憩場所の提供、災害支援物資の提供など、可能な範囲で協力してもらっています。また、避難所の強化として、早期に地域の方も開錠可能となるよう指定避難所47か所にデジタルキーボックスを設置しました。(令和6年7月1日運用開始)

○今後の課題
 地域の防災力を上げるために、自分たちの地域は自分たちで守るという自覚、連帯感が必要であり、住民の隣保共同の精神に基づく自発的な防災組織が必要となります。そのためには、@自助・共助の関係を保つため、町内会や自主防災組織が活動しやすい環境の整備、A地域(防災士、消防団など)と自主防災組織が互いに協力しあえる関係づくり、B自発的に活動するための支援、C防災リーダーの育成が必要となります。
 また、大規模化・頻発化する災害に対応するため、これまでの行政主体から、これからは地域主体に移行し、さらなる地域防災力アップを図る必要があります。

(3)視察から得られた考察
@自主防災組織の結成と評価制度の効果的活用
 小松市では、自主防災組織の結成率100%を達成しており、自主防災組織の評価制度導入により、活動を継続的に改善しています。この仕組みによって、組織ごとの取り組みが明確化され、競争意識を高めています。特に、Sランクの導入や表彰制度は、地域の防災力を大幅に向上させる重要な役割を担っていると考えられます。
 本市でも自主防災組織の評価制度を導入することで、組織間の連携強化や活動の質的向上が期待できます。特に、表彰制度は、住民の参加意識を高めるための有効な手段と考えます。

A多様な人材育成による地域防災力の向上
 小松市は、防災士やしみん救護員、地域自衛消防隊など、多層的な人材育成に注力しており、全町内で1名以上の防災士配置を達成し、女性や外国人といった多様な人材の積極的な育成が、地域全体の包摂的な防災力向上につながっています。
 本市においても、住民の多様性を尊重した人材育成に力を入れることは重要だと考えます。特に、資格取得費用の補助制度や地域全体での育成目標の設定は、住民参加を促進する上で効果があると考えられます。

B行政支援と地域主体のバランス強化
 小松市では、行政が資金補助や防災資機材の貸付を行っている一方、地域主体での自発的な活動が求められています。これにより、自助・共助・公助のバランスが保たれています。また、災害時サポート事業所登録制度の導入やデジタルキーボックスの設置は、実践的かつ迅速な対応のための取り組みとして評価できます。
 本市でも、行政がサポートする体制を強化しつつ、地域住民が主体的に取り組む環境づくりを進めていきたいです。特に、災害時に企業や団体の協力を得られるような登録制度や、新しい技術を活用した避難所運営の効率化は、導入を検討する価値が十分にあると考えます。

視察の様子
Copyright(c) 2007- 春日部市議会公式サイト Kasukabe City Council. All Rights Reserved.