本文へ移動
背景色

現在位置 :トップページ › 行政視察報告書

各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
兵庫県 豊岡市
視察案件
地域主体交通「チクタク」について
実施日
令和6年10月9日
参加者氏名
山崎   進、鬼丸 裕史、金子  進、水沼 日出夫、石川 友和、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 豊岡市は、平成17年4月1日、兵庫県の北東部に位置する1市5町(豊岡市、城崎町、 竹野町、日高町、出石町、但東町) が合併してできたまちです。
 市域の約8割を森林が占め、北は日本海、東は京都府に接し、中央部には母なる川、円山川が悠々と流れています。海岸部は山陰海岸国立公園、山岳部は氷ノ山後山那岐山国定公園に指定され、多彩な四季を織りなす自然環境に恵まれています。
 平成17年9月には、国指定の特別天然記念物・コウノトリが自然放鳥され、人里で 野生復帰を目指す世界的にも例がない壮大な取り組みが始まりました。
 産業は、農林水産業、観光業などが盛んです。特に観光業では、全国的に有名な城崎温泉をはじめ、西日本屈指の神鍋スキー場、但馬の小京都・出石城下町などを有し、年間の観光客は 420万人以上にのぼっています。また、地場産業としては、全国の4大産地の一つである、かばんや出石焼などの生産が行われています。

(2)視察内容
 豊岡市の事業として行っている、地域主体公共交通「チクタク」について、事業の導入経緯と課題の背景、住民の参加方法と運営体制、利用者層とニーズの把握、地域活性化への影響等を調査目的としています。

(3)視察から得られた考察
 「チクタク」の運営は、地域住民の参加を基盤とし、区長やコミュニティ役員が事業推進、利用促進、ドライバー確保などを担当しています。地域住民は運行管理者やドライバー、事務員としても関与しており、意見や要望は主に地域の運営協議会で対応されます。運行計画への反映も協議会との調整を通じて行われます。利用者層は主に地域住民で、高齢者が中心です。通学者や観光客の利用は少なく、利用者の多くがリピーターです。
 予約システムは一部地域で電話を通じて行われ、効率的な運行が確立されています。運行ルートは地域のニーズに合わせ、医療機関やスーパーの開店時間に基づくダイヤが設定され、地域によって異なる運行形態が採用されていました。地域活性化の影響としては、「チクタク」 を維持存続させていくことをきっかけに、 区同士の連携やコミュニティの強化につながっているようです。また車内での利用者同士の交流によるつながりの醸成や、定期的に利用されている方が利用されなくなったなど、地域の見守り機能としても寄与しておりました。経済的な面での影響はあまりないようですが、その地域で暮らし続けられることによる市民のウェルビーイングの実現に寄与していると考えられます。
 今後、他地域での導入には地域リーダーの確保や市と交通事業者との協力体制が重要であり、運行区域の見直しやボランティア活動の限界にも対応する必要があります。今後は、デジタル技術を活用して地域の負担軽減を図りながら、持続可能な「共助交通」システムの拡大を目指していく必要があるようです。
 豊岡市の地域主体交通「チクタク」は、地域の希望により導入するものであり、人口減少、少子高齢化などの社会的要因により「公共交通の存続が厳しい」という、地域住民が地域の現状を受け止め、理解した上で、「地域の移動制約者を地域で守る」と決断されたことに対して、市が地域の「決断=英断」を尊重し、実現するために市町村運営有償運送「チクタク」を実施し、支援するものでした。すなわち、市は運営していた市営バス「イナカー」における運航計画の見直しフローを作成し、見える形で市営バスの運行廃止基準(定性性の情報)を住民に示し、市と住民が一体となってこの公共交通問題に対応していくかを決めておりました。春日部市においても交通弱者の問題は待ったなしの状況です。春日部市においても春バスの運行について豊岡市のように基準を設けると共に、問題意識などを住民に示し、行政だけではなく地域住民が主体となって対応していく必要があると考察します。

視察の様子
Copyright(c) 2007- 春日部市議会公式サイト Kasukabe City Council. All Rights Reserved.