各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 自民・無所属の会
- 視察先
- 兵庫県 朝来市
- 視察案件
- 「デマンド型乗合交通」について
- 実施日
- 令和6年10月8日
- 参加者氏名
- 山崎 進、鬼丸 裕史、金子 進、水沼 日出夫、石川 友和、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸
視察結果概要
(1)視察先の概要
朝来市は、兵庫県のほぼ中央部に位置し、京阪神からは鉄道高速道路等を利用しておよそ1時間半から2時間で、また、姫路からはJR播但線や播但連絡道路等を利用しておよそ1時間で直結する距離にあり、但馬・山陰地方と京阪神大都市圏を結ぶ交通の要衝の地にあります。
朝来市の北部は養父市と豊岡市に接し、南部は神崎郡、東部は京都府、丹波市、多可郡、西部は宍粟市に接しています。本市は南北約32km、東西約24kmの範囲に広がり、日本海へ流れる円山川や瀬戸内海に流れる市川などの源流地域で兵庫県の南北の分水嶺でもあり、総面積は403.06㎢で県全体の4.8%を占めています。また、市内には、茶すり山古墳を始めとする多くの古代遺産、国史跡の竹田城跡や史跡の生野銀山などの中世から近世にかけての遺産、また、由緒ある神社・仏閣・各地に伝わる伝統芸能などの歴史文化遺産のほか、豊かな自然を活かした四季折々の自然に包まれたキャンプ場、公園、温泉などが市内には数多くあります。
(2)視察内容
朝来市におけるデマンド型乗合交通「あさGO」について、市内を走るコミュニティバス「アコバス」からデマンド型乗合交通「あさGO」への転換の経緯と制度設計のプロセス、地域環境の差の検討内容や運用方法、利用料金の設定基準等を調査目的としています。
(3)視察から得られた考察
公共交通の現状と課題は、市民アンケートで公共交通に対する不満や改善要望が多く、公共交通対策は市の重要課題と認識されていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響や人口減少、運転手不足といった問題が深刻化しており、特に「2024年問題」として運転手不足が大きな課題になっています。また、JR西日本の路線廃止の発表により、公共交通再編の必要性が一層高まりました。このような状況を踏まえ、公共交通再編の取り組みとして市議会は公共交通の空白地域対策として、デマンド型乗合タクシーの導入やタクシー助成の拡大を早急に検討するよう決議しました。これを受け、藤岡市長は令和4年度を「公共交通対策元年」として、対策に本格的に着手しました。
制度設計と実施計画については、バス・タクシー事業者との調整を進め、令和4年度にデマンド型乗合交通の社会実験を行いました。その結果を基に令和5年度に制度設計を行い、令和6年度から本格導入を決定。地域差を考慮し、生野エリアを最優先、朝来エリアを次に、和田山・山東エリアを最後に段階的に導入する計画で進めています。住民説明会の反応は、生野エリアでは路線バスの廃止もあり、住民の関心が高く、説明会も活発でした。一方、朝来エリアでは路線バスが継続するため、住民の関心は低く、参加者も少ない傾向にありました。料金設定は国土交通省の自家用有償旅客運送事業マニュアルに従い、撤退前のバス運賃を参考にしました。運行システムはインターネットを通じて管理し、設備費用は最小限に抑えていました。地域の状況の変化、ニーズの変化があった場合の設備投資費用を最小に抑え、その中で高齢者をはじめとした公共交通空白地帯の交通の利便性を確保するために、春日部市においても朝来市のようなデマンド型乗合交通を調査・研究し、住民ニーズに対応した公共交通を構築していく必要があると考察します。

視察の様子