各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 公明党
- 視察先
- 愛媛県 今治市
- 視察案件
- 食と農のまちづくりについて
- 実施日
- 令和6年10月9日
- 参加者氏名
- 鈴木一利、栗原信司、荒木洋美、木村圭一、藤原智子、中村貴彰
視察結果概要
(1)視察先の概要
今治市は愛媛県の北東部に位置し、高縄半島の東半分を占める陸地部と、芸予諸島の南半分で分けられており、タオル、縫製、製塩、造船などが地場産業として発展するとともに、西瀬戸自動車道の開通により中四国の交流、流通の拠点となりました。平成17年1月16日の合併により、人口約18万人となり、四国で4県都に次いで5番目、県下で第2の都市に生まれ変わりました。造船や、海軍都市としても重要性があり、風光明媚な景観と、大山祇神社、伊予水軍城址などの歴史遺産を誇るまちです。
(2)視察内容
生産・輸送・貯蔵の過程で使用された農薬の残留、遺伝子組み換え作物、家畜伝染病、抗生物質などによる「食」に対する不信が高まってきていた状況のもと、今治市は平成17年に「食料・農業・農村基本法」が制定され、市民に安定して安全な食料を供給するため、地域の食料自給率の向上を図る。また、安全な食料の安定生産を積極的に推進し、地産地消と食育の実践を強力に推し進める「食料の安全性と安定供給体制を確立する都市」と宣言してから発展し続け、現在では「住みたい田舎ベストランキング」2年連続4冠に輝きました。そこで、春日部市でも地産地消を活かしたこのような取り組みを導入することはできないものかと思い、視察に伺ってまいりました。
(3)視察から得られた考察
平成18年に今治市で制定された「今治市食と農のまちづくり条例」では、特色として、地産地消、食育、有機農業の推進を3本柱にまちづくりの基本理念を構築されました。条例には、地域の農林水産業者の方々に元気になってもらいたい、また市民や子ども達に今治の食を食べてもらい、地域の農林水産業を支えていただきたいとの思いが込められているそうです。展望として、新しい地域ブランドのイメージの確立や地元食材を優先的に使用した学校給食にも力を入れておりました。市での支援としては、地産地消の取り組みとして、さまざまな課との連携が素晴らしいと感じましたが、特に学校給食課と農林水産課の連携の中で、児童・生徒の健康増進、衛生管理に配慮した安全な学校給食の提供という目標に対し、市民への地産地消の推進、地域農業の振興を進めており、安全な農産物の生産拡大、食農教育の推進という部分においては地場産品の活用や食育の推進が活発に行われていると考察しました。また、小学校の食農体験学習から考案した給食メニューなども展開されており、地元産の食材を通して、生産者の苦労や努力に感謝し、食べ物を大切にする気持ちや食への関心が高まっており、新鮮で安全な旬の食べ物を活かした献立の実践や、学校給食を通して、保護者の食の安全や地域食材を使った献立等の関心までも高まっているそうです。そこで、春日部市でも力を入れている春日部産米を活用した食の新たな地域ブランド創出に向けた実証実験が行われている事もあるので、今治市のように学校給食という角度でも力を入れていくことはとても有意義な取り組みのひとつになるのではないかと考察したところです。ちなみに、地元ジビエ流通支援事業として、イノシシ肉を使用した、しまなみジビエコロッケや、イノシシ肉カレーなど地元の農家さん猟友会のメンバーで構成された「しまなみイノシシ活用隊」の活躍により、学校給食でも、こども達からイノシシ肉は親しまれているようです。
今後の今治市での課題としては、手間のかかる食材と衛生管理の徹底の部分、また地元食材の安定供給およびコストと給食費があげられているそうです。このような課題がありますが、春日部市でも地産地消の取り組みを学校給食と連携させていく事は検討しても良いのではないかと考察しました。

視察の様子