各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 公明党
- 視察先
- 岡山県 玉野市
- 視察案件
- 公共交通システムについて
- 実施日
- 令和6年10月8日
- 参加者氏名
- 鈴木一利、栗原信司、荒木洋美、木村圭一、藤原智子、中村貴彰
視察結果概要
(1)視察先の概要
玉野市は瀬戸内海のほぼ中央にあり、岡山県の南部に位置します。人口は令和6年4月1日現在54,626人で世帯数は26,959世帯となっています。明治39年に宇野港が修築され、明治43年には宇野線の開通と宇高連絡船が就航、海上交通の要衝としての基礎が築かれました。その後、昭和4年宇野港が第2種重要港湾として、さらに翌5年には岡山県唯一の開港場に指定されたことにより名実ともに岡山県の海の表玄関として発展を続け、近年では、たまの版生涯活躍のまちや瀬戸内国際芸術祭など、地域資源を活かした取り組みを推進し、移住政策にも注力するなど地域の活力回復にも努めております。このように玉野市は、宇野港を中心に、造船業の企業城下町として発展してきたこともあり、多くの造船関連企業が集積する「ものづくりのまち」といわれ、風光明媚で温暖な気候の港町です。
(2)視察内容
玉野市では、人口減少、少子高齢化、マイカー依存、ライフスタイルや移動ニーズの多様化等により、鉄道や路線バスをはじめとする地域公共交通の利用者は減少し、それに伴う路線の廃止や縮小等により、さらに利用者が減少する悪循環が見られていましたが、コミュニティバスの運行形態を見直し、新たにデマンド型乗合タクシーを導入することで、公共交通網の効率化と公共交通不便地域を解消し、玉野市民の移動手段の確保が図られておりました。そこで、コミュニティバス(春バス)の空白地域課題がある春日部市でもこのような取り組みを導入することはできないものかと思い、視察に伺ってまいりました。
(3)視察から得られた考察
これまで玉野市公共交通に対し市民の声として「1周するのに90分以上掛かる循環型のバスで不便だ」「行先がよく分からない」「空気を運んでいるようだ」「利用者が少ないのだから、やめてしまえ」などの声があがっていました。そこで、市長自身が市民の外出の機会を増やし、心身共に健康で生涯活躍してもらいたい、免許を持たなくても、日常生活に困らない町にしたいとい強い思いがあった事から、行政側の担当者と市民の多様なニーズに応えるために協議を重ねる中で、民間路線バス・タクシーとの共存が不可欠であり、共存するために、まず「誰を・どんな乗り物で・運賃はどうするのか」などの役割分担を検討するところから始めたそうです。そこで市としては、10人以上乗る路線はバス、5人以上9人以下はジャンボタクシー、4人以下はセダン型タクシーと役割を設定しました。いわゆるコミュニティバスと乗り合いタクシーの2パターンに分け、コミュニティバスは循環型から目的地型に変更し、乗り合いタクシーに関しては、専門のコールセンター対応による予約型に決定、電話上で案内もしてくれるので高齢者は安心して利用できるとの声があがっているとのことでした。どちらの交通手段もとても分かりやすく、これなら春日部市としても、春バスが廃止となった空白地域の方々に安心して公共交通を利用してもらえるのではないかと考察したところです。ちなみに、玉野市のコミュニティバス(1乗車一律200円)乗り合いタクシー(1乗車一律300円)と料金に関しても魅力的でした。ただ課題としては、コミュニティバスは多路線化による時刻表等の分かりにくさの問題や、悪天候時等における利用者の積み残しであったり、乗り合いタクシーに関しては、電話で予約をする行為がわずらわしいと感じている人もいたり、乗り場がまだまだ利用者から遠かったりする事が課題だと捉えているそうです。
このような課題があったとしても、春日部市でも春バスの空白地域において、市民の移動手段の確保という部分においては、玉野市のコミュニティバス、乗り合いタクシーの考え方は検討しても良いのではないかと考察しました。

視察の様子