各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 自民・無所属の会
- 視察先
- 北海道稚内市
- 視察案件
- 消防団員によるファーストレスポンダー体制について
- 実施日
- 令和6年6月27日
- 参加者氏名
- 山崎 進、鬼丸 裕史、金子 進、石川 友和、
山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸
視察結果概要
(1)視察先の概要
日本最北端に位置する稚内市は、宗谷海峡をはさんで東はオホーツク海、西は日本海に面し、宗谷岬からわずか43kmの地にサハリン(旧樺太)の島影を望む国境の街で、「水産」・「酪農」・「観光」を基幹産業とする宗谷地方の行政、経済の中心地です。
稚内と交流の盛んなお隣の国、ロシア連邦サハリン州をはじめとする北方圏諸国への玄関口としても知られています。
面積は761.42㎢ (東西 37.9km 南北 39.7km)であり、稚内市の人口は、令和5年12月末日現在で31,946人 (男 15,308人、 女 15,638人)、17,147世帯あります。年齢別に見ると、70歳代の割合が最も多く、50歳代、60歳代、40歳代と続いており、約3人にひとりが60歳以上となっています。また、外国人は、554人が稚内市民として登録されています。
隣接市町村には名寄市、旭川市、留萌市、利尻町、利尻富士町、礼文町、豊富町、猿払村、浜頓別町などがあり、宗谷海峡を中心にオホーツク海、日本海に面している稚内市は東経142度3分13秒、北緯45度10分9秒、東経141度34分6秒、北緯45度31分35秒と日本の最も北にあり、利尻礼文サロベツ国立公園を有する豊かな自然環境が広がっています。平均気温は8度前後で、最高気温は22度〜28度、最低気温はマイナス10度〜14度となっています。 また、冬になると宗谷岬の海には、流氷が接岸することもあります。
(2)視察内容
消防団員によるファーストレスポンダー体制について、制度の導入経緯や背景、またファーストレスポンダー消防団員となるための要件や活動状況等について理解を深めることを調査目的としています。
(3)視察から得られた考察
消防団によるファーストレスポンダー体制を導入することとなった経緯及び背景については、稚内市特有の管轄枠で稚内市内を除く遠隔地(第4分団〜第14分団)では、救急車の到着平均時間、最短約12分、最長で約35分と時間を要する出動場所があるため、時間を要する場所での心肺停止傷病者に対する救命率を少しでも向上させるための取組みとして消防団員限定ではなく、報酬なしの市民のボランティア活動として行っており、その際、地域住民を良く理解されている消防団員に白羽の矢が立った経緯がありました。
現行ファーストレスポンダー団員は102名、平成28年から業務開始して令和2年から令和5年までの3年間(コロナ禍)要請していない期間を除いて18件出動実績が有り消防団員及び市民に理解していただいているとのことです。
ファーストレスポンダー消防団員となるためには、基本的には4時間 (240分)の講習を受講となっておりますが、事前に救命入門コース (90分) 以上を受講されている方は、3時間 (180分) の講習で資格を習得できるように設定されておりました。ファーストレスポンダー消防団員の出動件数は、運用を開始してから18件あり、今のところ18件中1件社会復帰例があります。
団員への出動指令は電話であり、AEDはファーストレスポンダー消防団員が自宅等に所持しており、すぐに持ち出せる体制となっています。
電話での連絡ですので、そこまで掛かりませんが、 分団員も役割分担をしていて、現場に向かう2人、AEDを取りに行く1人と役割分担がされております。またAEDは全ての各団員が自宅に所持しているわけではなく、各分団詰め所に配備しておりました。
実際に運用を開始してみて判明した課題は、やはり地域住民の事を詳しく知っている近所の方がファーストレスポンダーとして駆けつけるので、 1、2件は断られたケースが実際にあったようです。
ファーストレスポンダー消防団員が行える措置は一般市民の出来る事までであり、それ以上の行為は医療行為となってしまうため、責任も含めて現状では厳しいとのことでした。また救命できなかった場合のファーストレスポンダーとして活動した方の心のケアも今後の課題であるとのことでした。
稚内市は春日部市と比べて面積が約11.5倍あるため、救急車到着まで全国平均の到着時間よりはるかに時間を要する地域特性があるため、このような制度は非常に有効であると考えられます。また稚内市の消防団員の方々は自分たちの地域は自分たちで守るという使命感が非常に強いようでした。
春日部市においても、国道16号線や国道4号線が通っており、交通渋滞等で救急車の到着が遅れる場合があることを考慮すると、救命率を少しでも上げるために、稚内市のファーストレスポンダー制度のようなものを検討していくべきであると考察します。

視察の様子