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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
福岡県 筑紫野市
視察案件
地域コミュニティによるまちづくりの推進について
実施日
令和6年1月25日
参加者氏名
山崎 進、鬼丸 裕史、金子 進、水沼 日出夫、
石川 友和、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 筑紫野市は、福岡県の南西部に位置し、飯塚市、太宰府市、大野城市、那珂川市、小郡市、筑前町、佐賀県基山町などと接しています。人口は106,473人(令和5年4月1日現在)、市域は、東西15.6km、南14.1km、総面積87.73㎢で、その姿形は蝶が羽をひろげた姿に似ています。ほぼ南北の羽先を高くあげた蝶の両羽にあたる部分は、農地と山間部からなり、これに対して蝶の胴の部分は、南北の山塊にはさまれた狭長な平坦部であって、この部分には市街地が形成されています。気象はおおむねおだやかで比較的温暖な気候に恵まれたところでありますが、両山塊が迫っているところから降雨が多く、豊かな緑の自然にかこまれて、山紫水明風光に富み、住環境に恵まれています。
 また、九州自動車道国道3号やJR鹿児島本線西鉄天神大牟田線などの縦の幹線が平坦部を北西から南東にかけて走り、さらに、国道200号やJR筑豊本線・西鉄太宰府線などが市内において分岐していることから、筑紫野市は、北部九州における交通の要衝として重要な地位を占めております。

(2)視察内容
 自治会加入率が低下する中において、筑紫野市における区域設定に至るまでの経緯、区域設定された地域コミュニティの運営方法及び行政との関係及び活用方法、各コミュニティ団体との連携における課題や地域コミュニティの意見がまちづくりに活かされた具体例等について理解を深めることを調査目的としています。

(3)視察から得られた考察
 総務省における地域コミュニティに関する研究会では、昭和40年代以降、国において、小学校区等を単位としたコミュニティ振興策が実施されてきました。昭和44年の国民生活審議会調査部会の報告書「コミュニティ−生活の場における人間性の回復−」は、都市化に伴い、地域共同体が形骸化、空洞化しており、開放的かつ自主的なコミュニティの構築が必要と指摘され、これを契機に、その後旧自治省において、昭和40年代後半からの約20年間、3次にわたってコミュニティ施策が推進されてきました。「モデル・コミュニティ地区」「コミュニティ推進地区」「コミュニティ活動活性化地区」が小学校区を標準として設定され、コミュニティセンターの建設等が進められるとともに、自治会等とは別にコミュニティ協議会等が作られたものの、その多くには自治会等が主な構成団体として含まれていたとされています。
 筑紫野市においては、昭和51年(第一次)筑紫野市総合振興計画において、市民参加を実現する最も基礎的で強力な母体がコミュニテシでるとし、小学校区を単位としたコミュニティ区域の整備を進めることとなりましたが、第四次筑紫野市総合振興計画における審議会の付帯意見において、「コミュニティの単位が昭和30年の合併時の地区と小学校区とで混合していることから、まちづくりを推進するためにはコミュニティの再設定などを検討する必要がある」と要請され、現在は、@7つのコミュニティ区域を設定し、A各区域に地域の中核となる自治組織を設立し、B各コミュニティの拠点施設としてコミュニティセンターを整備することとなりました。
 平成27年には各コミュニティ運営協議会の活動が本格化することに伴い、コミュニティ運営協議会の位置づけ、市とコミュニティの関係や市の支援策を明確にするために条例の制定、計画の策定を行い、平成28年には従来の補助金制度を見直し、交付金制度とすることによって、各コミュニティ運営協議会の裁量の幅を広げ、より活動しやすい環境となるように整備されております。また市とコミュニティ運営協議会は協働によるまちづくりを進めていくパートナーシップ協定を締結しています。
 地域コミュニティの活用については、自治会単独では活動できないことをコミュニティ単位で行っており、例えば二日市21行政区青パト、御笠自治会バス、山家夏祭り・敬老会等を行っております。
 しかしながら課題もあり、コミュニティ区域内に複数の小学校区を持つ地域では、会議や事業などの運営で難しい点があるとの声もあります。また、学校選択制が導入されたことにより、コミュニティ区域外の小学校に通う子どもの見守りやイベントへの案内など新たな課題も見受けられているそうです。
 地域コミュニティの意見がまちづくりに活かされた具体例として、御笠まちづくり協議会において、地域の交通課題を解決するため、バスの車体と維持費は市が負担し、それ以外は自治会が主体となり、地域住民が運転手となって御笠自治会バスの運行を始めました。また山家コミュニティ運営協議会では、防災時の情報共有および復旧ボランティア事業を展開する組織を設立し、筑紫南コミュニティ運営協議会では、困りごと支援事業「たすけ愛・みなみ」を展開しています。
 この事業は、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりをめざし、毎日の暮らしで高齢者が抱えるちょっとした困りごとを住民同士で解決する「ささえあい」、「たすけあい」の活動です。お手伝いができる人は活動会員として、お手伝いを依頼したい人は利用会員として登録し、利用会員(依頼者)は100円〜300円の利用券を購入し、ゴミ出しや植木の水やり、犬の散歩などを依頼します。
 依頼に関しては多いものから、話し相手、植木の水やり、ごみ出し、病院の受診支援、爪切り、空き家の管理や、照明器具の取り替えなどを行っているそうです。
 高齢化が進む中において自治会だけで地域コミュニティを形成していくことには限界があることを市民が認識し、各地域コミュニティが主体となって住みよいまちづくりを推進していることがわかりました。
 春日部市においても、春日部市は市民一人一人の意識啓発を行い、春日部市の未来に対して問題提起をし、筑紫野市のように地域住民が主体となったまちづくりを早急に進めていく必要があると考察致します。

視察の様子
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