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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
秋田県 大潟村
視察案件
農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の活用について
実施日
令和5年10月13日
参加者氏名
山崎 進、鬼丸 裕史、金子 進、水沼 日出夫、
石川 友和、山口 剛一、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 20年におよぶ20世紀最大の事業「八郎潟干拓」
北緯40度、東経140度の交会点を中心にした、かつての八郎潟は、東西12km・南北27km・周囲82km・総面積2万2,024ha、琵琶湖につぐ日本第2の広さを誇り、約70種を超える魚介類の宝庫の湖でした。
 1954年(昭和29年)にオランダのヤンセン教授とフォルカー技師の来日を契機として同年の世界銀行および翌’55年の国際連合食糧農業機構FAO調査団が調査した結果、干拓事業の有用性が内外に認められました。
 20年におよぶ歳月と総事業費約852億円の巨費を投じた世紀の大事業は、1977年(昭和52年)3月に完了し、八郎潟の湖底は1万7,203haの新生の大地に生まれ変わりました。
八郎潟干拓により、湖底から生まれ変わった新生の大地に村がつくられることとなり、村名は全国から募集され、将来に大きな理想と躍進をこめて「大潟村」と命名されました。
 こうして村は、1964年(昭和39年)10月1日に秋田県で第69番目の自治体として名乗りをあげました。6世帯わずか14人の人口でのスタートでした。
 全国各地からの入植希望者のなかから選抜された入植者は、干拓の目的である「日本農業のモデルとなるような生産および所得水準の高い農業経営を確立し、豊かで住みよい近代的な農村社会をつくる」ことを担ったパイオニアといえます。
 その後、全国各地からの入植が開始され農業が本格的に行われ、1,153世帯、現在3,007人(令和5年6月1日現在)となっています。

(2)視察内容
「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」活用について
@「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」とは。
 農山漁村は、心豊かな暮らしと自然、文化、歴史を大切にする良き伝統を代々伝え、我が国にとってかけがえのない存在となっている。しかし、少子高齢化等の急速な進行や所得の減少、都市部に比べて生活環境の整備が遅れていることなどから、地域としての活力の低下傾向が続いている。このような中、近年の農山漁村に対する都市住民の関心の高まりを受け、家族の多様なニーズ等に応じたライフスタイルを実現するための手段の一つとして二地域居住を実践する者等、新しい形態で農山漁村と関わりを持つ者が増えはじめている。これらを踏まえ、農山漁村における定住や二地域居住、都市との地域間交流を促進することにより、農山漁村の活性化を図るため、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成19年法律第48号。以下「法」という。)が制定された。このことを受け、都道府県又は市町村が創意工夫を活かし、地域住民の合意形成を基礎として作成する活性化計画(法第5条第1項の活性化計画をいう。以下同じ。)に基づく取組を総合的かつ機動的に支援するため、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(以下「本交付金」という。)を交付する。(以上、農林水産省、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金実施要綱より)

A農山漁村活性化プロジェクトの概要〜大潟地区活性化計画(米粉プロジェクト)〜
1.実施期間平成21年度〜23年度
2.事業目標
 大潟村の総人口に占める農業就業割合は約50%であり、これからの農業情勢、少子高齢化を背景に、村の人口減少が懸念される中、現状の人口及び農業就業者を確保しつつ、農業振興の一環で新たな米需要の取り込みを地域活性化に繋げる。
 新規需要米(米粉用米)への取り組みは、重粘土質で畑作に不向きな圃場条件下における米の需要調整の拡大と農家所得の向上が図られる。
3.事業概要
 当時の政府の「輸入小麦の10%を米粉に!」の方針に沿って、多くの米産地が米粉用米の生産に取り組みました。このような背景 を受け、大潟村も米粉米の生産に取り組みました。
 民間事業者(法人及び団体)の資金も含めた事業費総額は12億5,141万5千円。内、交付金は6億2,570万7千円。大潟村としての支援は米粉加工施設、設備に対する3年間の固定資産税の軽減。米粉加工事業者の用地の無償貸付及び3年間の奨励金の交付という内容でした。
 平成21年スタート時の米粉用米の耕作面積は、大潟村の米作耕作面積9,000ha中200ha。
 平成25年での計画目標値は9,000ha中700haまで拡大するとういう内容でした。
 このようにスタートした米粉用米の生産でしたが、視察を行いました令和5年10月現在では、耕作面積は、9,000ha中10ヘクタールに減少、また、事業者は2社が撤退廃業とのことでした。
 事業縮小の原因は「計画当初からの出口戦略の検討不足」ということです。
 米粉用米の市場価格が主食米よりも安価であること、米粉販売先の需要不足、米粉加工商品の普及不足が主な要因と分析されているとのことでした。
 現在は大潟村誕生以来の特徴である生産者から消費者へという独自の販売ルート開拓(マーケティング)を生かして、ビーガン需要のある海外への輸出に力を入れているとのことでした。

(3)視察から得られた考察
 農林水産省の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金を活用して、大型事業を行った秋田県大潟村での視察は大変有意義でした。
春日部市でも米粉米の実証実験が令和3年度から行われており、米粉用米の生産、米粉への製粉、加工商品の開発が行われています。しかし、ここまでは米所の大潟村でも、春日部市以上に本格的に行われていました。しかしながら、耕作面積の大幅な減少という結果です。
 ここから学ぶべきは、米粉用米の活用の成否となる重要なポイントは、生産体制の確立、加工商品の開発ではなく、出口戦略、マーケティング戦略であると思います。
 春日部市と大潟村を、@消費地からの遠近という地理的条件、A米作が主要産業かどうかという産業構造の違いなどを比較し、春日部市だからこそ見つけられる成功要因を見つけ、そこに特化した柔軟な施策を行うことで、春日部市だからこそできる米粉用米の生産、販売へつなげられる可能性があると思います。

視察の様子
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