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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
教育環境委員会
視察先
秋田県 横手市
視察案件
よこて農業創生大学校事業について
実施日
令和5年10月18日
参加者氏名
小久保 博史、山口 剛一、榛野 博、大野 とし子、
石川 友和、河井 美久、栗原 信司

視察結果概要

(1)視察先の概要
 平成17年10月1日、旧横手市と、平鹿郡に属していた全町村(増田町、平鹿町、雄物川町、大森町、十文字町、山内村、大雄村)の1市5町2村が新設合併し、新・横手市が誕生しました。横手市は、奥羽山脈と出羽山地の間に広がる横手盆地の中央部に位置し、県南の中心都市として栄えており、秋田県内では、秋田市に次いで第2位の人口規模(83,448人、令和5年4月1日現在)を有しています。面積は692.80㎢です。
 稲作をはじめとする果樹・野菜などの生産が盛んで、市の東部にある丘陵ではリンゴやブドウ、十文字地域ではサクランボ、雄物川地域ではスイカの生産が盛んです。
 また、南北に国道13号及び湯沢横手道路、東西に国道107号及び秋田自動車道が通る交通の要衝であり、横手インターチェンジ周辺を中心に、県内随一の自動車関連産業の集積地となっており、近年では企業誘致や工業団地の拡大が活発になっています。

(2)視察内容
○事業開始の経緯
 横手市全体の課題である人口減少に対応するための「横手市まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、農業は雇用を創出する上での重要な施策と位置付け、農家の所得向上と新規就農者の確保育成を行うこととしています。
 また、農業現場においては、農家所得の向上に向けた、稲作から園芸作物へのシフト、新規就農者の確保育成についてのシステム構築が課題となっていました。
 さらに、秋田県は食品製造生産額が東北で最下位であり、地域資源を活用した6次産業を地域の産業として確立させていくことも、農家の所得向上と担い手育成には欠かせない視点であると捉えていました。
 そうした中で、平成25年10月に新市長が就任したことにより、公約であった「農地山林のフル活用」のため、平成27年度から地方創生交付金を活用し、市の目玉施策として「地域価値創造拠点構想」に着手し、現在に至ります。

○事業の概要
 農業の課題解決のために「農家所得の向上」「担い手の確保」を目的とした「よこて農業創生大学事業アクションプラン」に基づいて事業展開をしています。具体的には、農業技術研修を中心とした農業人材の育成、新規作物、作型の検証等による生産性の向上、食と農の価値を高めるブランド化と6次産業化支援などを行っています。
 事業の特色としては、 地元JA秋田ふるさとと連携協定を結び、共に立案した「よこて農業創生大学事業アクションプラン」に基づき運営しています。このプランは農業現場の設計図とも言えるもので、現場の声を反映した事業展開が特色の一つとなっています。
 また、6次産業化支援施設が併設されていることも大きな特徴です。農家の所得向上を目指す場所として、また、研修生の研修場所としても活躍しています。

○事業の経費・財源
 導入経費として、旧中学校の解体から建築本体工事、備品購入まで含め、8億100万円。財源は合併特例債、過疎債、一般財源です。
 維持経費・財源は、施設の維持費は、令和4年実績で2,300万円で、市の直営施設であることから一般財源が中心ですが、特定財源として施設の利用料収入(約34万円)があります。なお、センターを管理する食農推進課全体の予算額は、令和4年実績で約1億4,300円(うち一般財源約7,640万円)となっています。

○事業実施による効果
 よこて農業創生大学校開設以来、農業技術研修生は毎年定員の5名が研修を受けており、うち研修途中リタイヤは現在のところ1名です。(25分の1)。「地域の力となる農業者」の育成を目指しており、農家として活躍している修了生同士のネットワークも機能しているようです。
 令和3年度は新規就農者が50名(秋田県全体で265名・雇用就農含む)となっており、平成26年度当時23人(秋田県全体で215人)と比較すると増加傾向にあります。この他、実証栽培や6次産業化についても着々とあゆみを進めています。

○今後の課題など
 新規就農者の営農定着に向けた取り組みの強化が必要と感じています。特に資材高騰等の状況が、就農する際の初期投資の面で支障となったり、就農後の農業経営にも影響してきており、不安定な経営状況にある新規就農者も少なからずいます。
 また、人口減少が進み、農業に限らず労働力が不足している中で、農業人材・労働力を確保していくことは、行政のみならず検討していかなければならない難しい課題と考えています。
 また、研修生の実践研修や座学研修を行うため、指導講師らをお願いしていますが、高齢であることを見据え、早急な人材の確保が求められています。
 また、6次産業化支援施設において、現在は最新の機器による貸出を行っていますが、何れ機器の入替え時期の検討が必要になってきます。

(3)視察から得られた考察
 統廃合によって廃校となった中学校の校舎及びグラウンドを活用し、「園芸振興拠点センター」及び「6次産業化支援施設」を設置し、基幹産業である農業を持続可能なものにする本事業は、農家の所得向上と担い手の育成を目指す上で、とても有意義な事業であると感じました。
 1年間に5人の新規就農を目指す研修生を受け入れ、2年間のカリキュラムに基づき、研修生に対し1か月あたり10万円を支給しながら、栽培から販売までの業務を行い、経営者としてのノウハウを身に付けるというもので、また、修了者からは、トマト農家として成功した方もいるということであり、とても実践的な取り組みであると感じました。
 本市においても、新規就農を目指す方々に対する支援の1つとして、廃校となった教育施設の活用も含め、参考となる事業でした。

視察の様子
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