各常任委員会、議会運営委員会、各会派　行政視察報告書

委員会名・会派名

厚生福祉委員会

視察先

石川県　金沢市

視察案件

在宅医療・介護連携事業について

実施日

令和5年10月20日

参加者氏名

金子　進、阿部　雅一、古沢　耕作、会田　吉幸、
並木　敏恵、大里　昇、吉田　稔、荒木　洋美

（1）視察先の概要
　金沢市は、本州のほぼ中心に位置し、市制施行以来、近隣町村との度重なる編入・合併によって市域を拡大し、平成8年に中核市に移行しました。市内には山も海もあり、自然にとても恵まれています。清らかな犀川や浅野川のほか、わき水も多く、水が豊かな町であり、「用水のまち」としても有名です。一方で県庁所在地として交通網や商工業も発展しており、北陸有数の都市として高い利便性も持ち合わせています。
　また、金沢は加賀藩前田家の城下町として栄え、加賀友禅や金沢箔、九谷焼などの伝統工芸や、能楽や加賀万歳などの伝統芸能が受け継がれてきました。
　また、五代藩主前田綱紀の時代には、日本中から有名な学者や貴重な書物を集め学問を奨励したことにより、「加賀は天下の書府」であると褒め称えられました。
　戦災や大きな災害を免れたため、藩政時代からの美しいまちなみが現在でも多く残っており、金沢市の貴重な財産となっています。

（2）視察内容
　金沢市では、公益社団法人金沢健康福祉財団があり、在宅医療・介護連携推進事業を委託し、職員派遣も行い、在宅医療・介護連携センター（良医介NET＝いいがいネット）を組織し、関係部署と連携を図っています。金沢市においても、65歳以上の高齢者人口は増えており、総人口に占める割合は2020年に26．7％に達しています。それに伴い、要支援・要介護認定者数も65歳以上の人口の20％になっています。
　取り組み内容については、令和4年度に医療・介護者向け研修や講演会を開催し、普及啓発として地域の方へ在宅医療などの研修・講演会を実施しました。
　在宅医療・介護連携支援センターは、市内4つの在宅医療連携グループと連携し、在宅利用・介護連携推進事業実施体制を確立しました。令和4年度からは、いいがいネット連携委員会を立ち上げ、行政との連携が必要な案件が発生した場合に、金沢市在宅医療・介護連携推進協議会へ提言し、検討を行い、金沢介護保険運営協議会へ報告し、長寿安心プランへ反映する仕組みとのことです。また、いいがいネットホームページにおいて、病院連携窓口一覧やケアマネタイム一覧を作成・掲載し、随時更新しています。
　一斉調査アンケートの結果では、連携時に他の職種に対して困難を感じる割合が高く、在宅医療実施機関充足状況についても少ないと感じている割合が高い結果で、このような現状の課題を解決し、多職種連携を推進していくためには、顔の見える関係づくりや互いの業務に対する理解を深めていく必要があるとのことです。
　医療や介護を必要とする高齢者等が、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、医療と介護が連携した切れ目のないサービスを受けられることが重要で、連携の第一歩として、入退院時の病院担当者と担当の介護支援専門員（ケアマネージャー）に焦点をあてた「入退院時の医療と介護の連携指針」を作成し、在宅医療に関する情報や認識を共有しています。現在、その指針の更新を検討しており、従来の病院、ケアマネージャーの役割に加えて、かかりつけ医、訪問看護師、薬剤師、在宅管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、ホームヘルパー、かかりつけ歯科医、地域包括支援センターの対応例の追加や、ACP（アドバンス・ケア・プランニング）や加算項目欄を追加し、連携ルールを作成し、案内しているとのことです。
　今後の課題については、事業の評価指標の設定や連携の困難度の抑制、現場の意見の把握などについて、課題があるとのことです。

（3）視察から得られた考察
　金沢市では、いいがいネットで金沢市医師会等と協力して医療・介護関係者向けの研修会や、地域住民向けの講座を開催するほか、情報提供や相談支援で医療・介護連携をサポートしていました。ホームページでは、病院連携窓口一覧やケアマネタイム一覧を掲載し、医師会のホームページへリンクし、医療・介護資源情報なども紹介していました。
　また、いいがいネット連携委員会は、現場の意見を集約し、病院や診療所、介護事業所に対して連携ルールの普及を推進していました。
　本市においても、これらを参考に多職種連携において困難な課題を解消できるよう、医師会をはじめとした関係機関と顔の見える関係づくりや業務に対する理解を深めていき、在宅医療・介護連携を今まで以上に推進していく必要がある考えます。