各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 厚生福祉委員会
- 視察先
- 愛知県 豊橋市
- 視察案件
- こども若者総合相談支援センター「ココエール」について
- 実施日
- 令和5年10月18日
- 参加者氏名
- 金子 進、阿部 雅一、古沢 耕作、会田 吉幸、
並木 敏恵、大里 昇、吉田 稔
視察結果概要
(1)視察先の概要
豊橋市は、愛知県の東南端に位置しており、東を静岡県に接し、南は太平洋、西は三河湾に面した温暖な気候に恵まれたところです。
豊橋市は、平成11年に「中核市」に移行し、東三河の中心都市として発展してきました。平成30年4月からは、東三河8市町村の介護保険が統合され、先に発足していた東三河広域連合による介護保険事業が開始しました。地域の広域的な課題に対応するため、8市町村が互いの力を集結し、地域力と自立力の一層の向上と将来に向けた持続的な発展にも取り組んでいます。
(2)視察内容
豊橋市では、児童福祉分野と教育分野における相談窓口の並立が少なからず現場に困惑をもたらしたことから、相談窓口の集約化や役割分担の明確化が課題となっていました。そこで、児童と若者に関する相談窓口を一体的に整備する構想が持ち上がり、相談窓口として独立した組織を持つとともに、本庁外に施設整備することで、子どもから若者までの総合的な支援拠点として取り組むこととなり、妊娠・出産から子育てまで、子育てから自立までの切れ目のない相談支援体制の構築として、平成29年10月から、こども若者相談支援センター「ココエール」を整備、設置しました。
取り組み内容としては、乳幼児健診未受診を確実に把握していくとともに、こんにちは赤ちゃん訪問事業として、生後3か月くらいに、生まれた赤ちゃん世帯の情報を民生委員・児童委員に情報提供し、祝い品を持って訪問してもらい、子育て家庭に、民生委員・児童委員を知っていただいて、地域における見守り意識を高めてもらう目的として実施しています。
また、子どもとのコミュニケーション手法を学ぶ親支援プログラムを用いて、感情的にならない子育てを身につけてもらうために、怒鳴らん子育て講座を実施しています。要保護児童対策地域協議会では、関係者による会議に、県児童相談所と警察が協定を結び、警察にも参加していただき、要保護児童などの会議を開催しています。
さらに、ケアリーバー(施設退所児)支援として、本人の利用意思確認をした上で、困窮している場合はフードバンクを活用した宅配を行ったり、相談窓口の案内など退所後の自立ができるよう支援しています。
ヤングケアラー支援については、コーディネーターや巡回相談員が市内の学校を訪問し、学校とココエールを含めた関係機関との連携を進め、相談しやすい環境を整えるほか、家事支援を実施し、友達との関わりや学習など時間を有意義に活用できる機会を提供しています。関係機関研修会を開催したり、ヤングケアラー向け支援ガイドブックを作成し、支援内容などを周知しています。
その他、民間団体への委託により、ホームスタート事業として、研修を受けたボランティアのホームビジターが週に1回訪問して、一緒に話をしながら家事や育児をして過ごす家庭訪問型支援を実施し、子育ての孤立化を防止する取り組みや、要支援家庭ショートステイ事業など様々な事業を行っています。
課題としては、職員の負担が増えてきているため、増員が必要であったり、全体的なマネジメントも必要で、支援としては、保護者支援だけではなく、子どもへの直接的な支援も重要とのことです。
(3)視察から得られた考察
豊橋市では、妊産婦から40歳未満の若者まで幅広い相談体制を構築し、子どもと若者の健やかな暮らし、伸びやかな未来を一緒に考えながら、一人一人の困りごとに寄り添ったサポートをしていました。
相談体制を強化し、子ども・若者に関する相談を集約することによって、様々な子どもの情報が蓄積され、新たな相談への対応や支援に活かされいるとのことです。
また、子ども・若者支援地域協議会には、様々な関係機関の方が参加・関係し、連携を強化し、支援につなげていっており、ココエールが調整機関となっています。本市も相談全般から専門的な支援まで、継続的な相談援助を行う拠点として参考にすべきと考えます。
平等よりも公平ということで、個々の違いを視野に入れ、目的を達成するために適切なものを与えていくことが公平になると考えているとのことで、本市においても、この体制を参考に、妊娠・出産から子育てまで、子育てから自立までの切れ目のない相談支援体制を考えていく必要があると考えます。