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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
埼玉県 宮代町
視察案件
宮代町議会議員政治倫理条例について
実施日
令和5年8月18日
参加者氏名
水沼 日出夫、石川 友和、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 宮代町は、関東平野の中央部にあり、埼玉県の東北部に位置します。東西2km、南北8kmと、北西から南東にかけて細長い形をしており、面積15.95㎢、人口は33,656人(令和5年4月1日現在)です。
 また、東武伊勢崎線が町を縦断しており、都心へ通勤するベッドタウンとしてではなく、町内にある日本工業大学の学生が多い町です。町の東側は、北葛飾郡杉戸町、南側は春日部市、西側は白岡市、北側は久喜市に接しており、町域を画するように、北から東、そして南へと、かつて利根川の本流であった古利根川が流れています。

(2)視察内容
 宮代町において平成24年4月より施行されました「宮代町議会議員政治倫理条例」について、当該条例の制定経緯及び目的、条例の運用状況、今後の課題について理解を深めることを調査目的としています。
@制定経緯について
 政治倫理条例の制定について、平成12年、地方分権一括法が施行され、国の機関委任事務制度が廃止されて、地方議会の果たす役割は大きく広がり、その責任も重くなりました。平成18年、北海道の栗山町において、議会基本条例が制定され、積極的に議会改革に取り組まれていることが注目されました。この動きは全国の地方議会にも広まり、宮代町でも平成22年に議会運営委員会が千葉県流山市において視察研修をしています。
 これらの動きを受けて、平成22年6月に6名で構成する議会基本条例策定特別委員会を設置し、その中で、宮代町議会議員政治倫理条例の検討も行うことにしました。検討過程の中で町内在住者の大東文化大学法学部教授を招いて研修会行い、アドバイスをいただきながら、18回の委員会を積み重ね、議会懇談、パブリックコメント及び定例会での中間報告などを経て、平成23年12月定例会で制定したという経緯があります。

A目的
 条例の目的(第1条)において、町民に信頼されて公正で開かれた、町政の発展に寄与することを目的としています。当該条例の要旨として、宮代町議会議員が、町民全体の代表者として、 また、奉仕者として、遵守すべき政治倫理基準を定めることにより、議員は公職者としての倫理観をもって行動し、議会が町民の信託に応えて、清潔かつ、公正で開かれた民主的な町政 の発展に寄与することを目的としています。
 その他、議員が守るべき政治倫理の向上に関する基準(政治倫理基準)や町民調査請求手続きについて規定し、本条例の将来的な実効性を担保するため、条例の検証及び見直し手続きを次の一般選挙までに、条例が達成されているかどうかを検証する規定も盛り込まれています。

B政治倫理条例の運用状況
 政治倫理の保持に関する状況について、町民及び議員からの政治倫理違反に関する調査請求は、令和4年度においてはありませんでした。また、職員の倫理の保持に関して講じた施策として、議員研修において議会議員の留意事項について講義を行っております。令和5年度は 「ハラスメントの防止について」が講義予定となっています。

C今後の課題
 現在制定されている2親等規定 (宮代町議会政治倫理条例第3条第5号)は、地方自治法(昭和22年法律第67号) 第92条の趣旨を尊重し、町民の疑惑の念を生じさせないため、議員、その配偶者、当該議員の2親等以内の親族若しくは同居の親族が経営する企業又は議員が実質的な支配力を及ぼしている企業が、町との請負契約、下請け工事、物品の納付、若しくは業務の委託に係る契約をしないよう、又は、契約を辞退するよう必要な措置を講じなければならないとされていますが、最高裁判所判例において議員に対して2親等内親族企業の辞退届を提出するよう努める義務にとどまり、辞退届の実際の提出まで義務付けるものではないから、その義務は議員本人の意思と努力のみで履行し得る性質のものであるとされたことより、東京都府中市においては、この2親等規定が削除されており、宮代町においても、この2親等規定について、議論を深める必要があるとのことです。
 またハラスメント防止条例や暴力団排除条例、道路交通法 (昭和35年法律第105号) 第65条第1項に規定する酒気帯び運転の防止対策、兼業の報告義務、政令において会計年度の取引額の合計が300万円以内であれば、兼業禁止規定に抵触しないこととされたことを踏まえ、当該条例における内容の精査・検討が必要です。


(3)視察から得られた考察
 当該条例を制定したことによるメリットについては、議会運営及び行政運営における公正の確保と透明性の向上に資するものであり、政治不信を払拭することに寄与する条例であると考察します。
 しかしながら、事業者が議員となることにより、昔から営んでいる事業者が議員となった場合、行政が行う入札に参加できない、特にふるさと納税の返礼品を扱う事業者であった場合は、行政も返礼品を議員となった事業者へ発注できない等の弊害もあります。
 他市の事例の説明もいただきましたが、執行権のある市長と執行権のない議員とで内容を異にしており、執行権のある市長においては、議員よりも更に高度な内容が求められると考察いたします。
 例えば、公務員採用試験においても、行政に携わる者としての受験資格に一定の欠格事由があります。特に、市民の代表である市長や議員には一般の公務員よりも高い倫理観が求められることは言うまでもありません。春日部市においても市民の代表者として、その職を行う者についても、市民の信頼に応えるべく、政治倫理条例について深い議論が必要であると考察いたします。

視察の様子
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