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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
京都府 長岡京市
視察案件
長岡京市中小企業振興基本条例について
実施日
令和5年7月12日
参加者氏名
山崎 進、金子 進、鬼丸 裕史、水沼 日出夫、石川 友和、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 京都府長岡京市の人口は、令和5年1月1日現在で総人口81,935人(男性39,600人・女性42,335人)、世帯数37,314戸です。
 長岡京市は、京都盆地の西南部に位置し、北は向日市、京都市、東は京都市、南は大山崎町、西は西山連峰を境に大阪府と接しています。
 東西約6.5km、南北約4.3km、総面積19.17㎢で東西に長い長方形をなしています。
 6世紀には「弟国宮(おとくのみや)」、8世紀には「長岡京」と2度にわたって、都として栄え、近畿地方における産業、文化の先進地でした。
 総面積の約65%が可住地の平坦部であり、残りの西山山地は、近畿圏近郊緑地保全区域に指定されています。中央部は住宅、商業、工業、農業に広く利用されて、東部は工場適地に指定されて工業が盛んです。
 交通は、東部をJR東海道本線、中央部を阪急電鉄京都線が並行しており、京都へは10分から15分、大阪へは26分から40分で行くことができます。
 名神高速道路の長岡京ICと阪急西山天王山駅は隣接しており、高速道路の駅と鉄道の駅、高速バスの駅といった交通結節点となっています。東海道本線、東海道新幹線、名神高速道路、国道171号線が縦走し、交通の便に恵まれています。

(2)視察内容
1 中小企業振興条例制定の背景
 長岡京市においても「少子高齢化」、「生産年齢人口の減少」という課題に直面しています。
 平成7年(1995年)から令和2年(2020年)の25年間で生産年齢人口は58,248人から47,398人と約1万人の減少。高齢化率は10.8%から27.5%と2.5倍となっています。
 市内の経済規模は年間商品販売額が平成6年は638億円、商店数657事業所でしたが、平成28年は502億円、商店数352事業所と縮小傾向にあります。

2 中小企業条例制定の経緯
 長岡京市内事業所における中小企業の割合は99.6%です。
 平成28年、平成29年に長岡京市商工会から条例制定に関する要望が提出されますが、市長からは「条例の主体は事業者。事業者の機運情勢が必要」として要望は差し戻されました。
 こういった状況を踏まえ、商店会連絡協議会(市内4商会)が検討準備会を自主的に立ち上げます。また、長岡京市商工会が中小企業振興条例を考えるための委員会を組織内に設置しました。このように民間が主体となり事業者の機運醸成に取り組んだとのことです。
 令和3年7月には商店会連絡協議会・長岡京市・長岡京市商工会3者による条例の「検討準備会」が発足し、その後、市内経済の実情を踏まえて、上記団体に加えて大企業、金融機関、医療・福祉、農業事業者が参画して「(仮称)長岡京市中小企業振興条例検討会」(事務局:長岡京市・長岡京市商工会)が立ち上げられました。

3 条例の内容及び特色について
 本条例の基本理念は第3条に@中小企業の創意工夫や経営意欲及び自主的な努力を尊重し、成長を図ること。A地域内経済の循環の促進、中小企業の創業及び育成を図ること。B中小企業はじめ関係団体や市民並びに市が連携及び協働を図ること。が明記されています。
 また、第4条から第11条では、市の責務(関係団体との連携、中小企業の振興に関する施策の実施)や中小企業・関係団体の役割、また、市民の理解及び協力が記載されています。
 第13条では、推進体制として長岡京市中小企業振興推進会議の設置が記載されています。
 また、特色としては長岡京市の実情を踏まえて@法律で定義されている「中小企業者」だけではなく、農業、医療、福祉の事業活動を行う者も含むこと。A市内4つの商店街を「商店街の役割(第7条)で地域コミュニティーの役割として独立した条項を設けていること。B中小企業の役割で多様性(年齢・性別、障害の有無、国籍等)に配慮した労働環境の整備、事業活動に努めることを明記しています。

4 条例の事業者・市民への周知について
 @団体への説明会(出前ミーティング)
 A事業者間、市民と事業者の連携を目的とした「みんながつながる交流会」の実施
 Bお気に入りの店アンケートの実施
 C国の臨時交付金を活用し、市公式LINEを用いた最大30%割引となるクーポン事業「LINEクーポン祭りおかわり」を実施。(※市負担は1億1,200万円で経済効果は3億7,000万円以上)などで、地域内の経済循環の重要性を事業者、市民が実感したと思われます。

(3)視察から得られた考察
 春日部市においては、このような地域内での経済の循環を目的とした一時的な施策は行われていますが、総合的な条例は見当たりません。また、市長が商工会からの要望を一度は退け、民間での機運醸成を求めるなど、公が何でも引き受ける時代ではなく、官と民、各々が特徴と役割を認識して、各々が出来ることを実施しなければ「実のある施策」にならないことを認識して行政運営を行っていると思われます。
 「分業による協業」は組織運営の前提ですが、元気なまちをつくるには旧態の慣例に倣う行政運営ではなく、地域課題の解決につなげるためには、市の行う施策について、関係、構成する企業、市民、団体の役割を明確にすることが重要だと思われます。役割を明確化したそれぞれが、協業・連携する環境を整えなければ、一時的で、場当たり的な施策実施となります。官民連携・官民共創によるまちづくりの実施には、このような価値観の変化、醸成を行うことが重要であると認識しました。
 本市においても、このような環境整備は必須であると感じました。


視察の様子
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