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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
自民・無所属の会
視察先
沖縄県 石垣市
視察案件
新庁舎移転に伴う議会運営の改善事項について
実施日
令和5年2月3日
参加者氏名
山崎 進、金子 進、鬼丸 裕史、水沼 日出夫、石川 友和、榛野 博、山口 剛一、永田 飛鳳、会田 吉幸

視察結果概要

(1)視察先の概要
 石垣市は日本の最南西端に位置する八重山諸島の主島・石垣島と尖閣諸島などの13の無人島からなり、その面積は229.15u。八重山圏域全面積(591.9u)の約39%、沖縄県全面積(2276.6u)の約10%に相当し沖縄県では3番目に面積を有する市となっています。
 人口は令和4年12月末現在で、49,510人で世帯数は25,534世帯となっており、石垣島から各地までの距離は、那覇市から約410q、東京からは約1,950q、台湾(台北)とは約280qの距離に位置する国の境に位置する都市であり、アジアとの結節点となる位置にあります。
 沖縄県内で最高峰となる標高526mの於茂登岳(おもとだけ)を中心に、南に平野が広がり、東に宮良川、西に名蔵川が流れ河口には亜熱帯特有のマングローブが発達しています。また、延長184qの海岸線には、サンゴ礁が発達して、陸域と併せて豊かで貴重な動植物が生息しており、山地や平野、湾岸、半島、岬、海浜など小さな島々のなかで多様な自然環境を織り成しています。

(2)視察内容
 旧石垣市役所庁舎は1970年(昭和45年)に建築され、50年以上にわたり市の行政機能の中心としてその役割を担ってきました。
 しかしながら、施設の老朽化や狭隘化、バリアフリーへの対応不足など多くの課題を抱えており、また、東日本大震災を教訓として、防災・減災のために安全安心の確保に資する災害拠点施設が求められていました。
 平成28年住民投票により旧空港跡地への移転が決定、基本計画策定後、平成30年に基本・実施設計が完了。令和元年7月着工し、令和3年11月に完成しました。
 地域防災の拠点として充分な耐久性を有しているだけでなく、塩害なども考慮した長寿命・高耐候性の構造としており、市民の安全安心を担う市役所として機能しています。
 新庁舎移転に伴い、議会内の各会議室は旧庁舎に比べ1.5倍程度広くなり、傍聴者が廊下で聞くという状況が改善されたと共に執行部席も増やすことができるようになりました。また、議員協議会室内などの会議用マイクシステム、55インチモニターなどの設備が整えられ、モニターを使いながらの資料説明、議場内での一般質問などでもパネル替わりに使用され、明瞭な議論が行える環境整備が行われています。
 市民の方に向けては、傍聴席が39席から49席に増加し、議員席と傍聴席の間が旧庁舎より近くなり、車いすでそのまま傍聴可能なスペース2台分を確保、傍聴席への議場用難聴者支援用イヤホンの設置、議場音声システムを導入し、今まで外注で地元のケーブルテレビが議会録画をしていたものが令和4年3月から議会事務局がYouTubeで議会録画を公開できるようになり、より身近で開かれた議会として機能しています。また、議場音響映像機器システムも整備され、事務局2名がタッチパネルの操作でカメラの移動や発言時間の表示、議員名、執行部名、などが簡単に操作できる仕組みになっています。ただ、課題として、音響が良くなりすぎて市民の方から、議会中の野次が聞こえなくなってしまい、野次が聞きたいという要望が寄せられているそうです。
 議員に向けては、同年令和4年3月に議場内でパソコン、タブレットの使用が可能になり、議員席には電源コンセント、議決ボタン、イヤホン、スピーカーなども設置されています。議決ボタンについては、「賛成」「反対」「予備」の3種類あり、当初は、「棄権」ボタンもありましたが、積極的な議論を行うために廃止されましたが、現在は基本起立採決を行っています。一般質問などでモニターに表示して、使用する資料は、念のため、議会事務局に確認をとった上での使用が認められています。ただ、資料を使用する際には、「この資料の、、、。これの、、、。あれの、、、。」という発言では、会議録に起こす際に伝わらないため、説明文をきちんと発言してほしいと議員にお願いをしています。これらの、モニターの取り扱いや、一般質問時、自席で行うか、新しく設置された質問席でやるか、などに関しては、移転する際にルール化は特にされていなかったようで、令和4年9月に議会改革特別委員会を立ち上げて現在検討中です。そして令和4年12月にタブレット端末を導入の説明会を議員向けに開催し、文書共有システムの導入、議案の電子化も現在推進しているところです。

(3)視察から得られた考察
 石垣市の新庁舎は石垣島の風景を継承するデザインとなっており、赤瓦屋根の外観、リュウキュウ松を使用した中央吹き抜けのあたたかみのある内装などが特徴的であり、全ての方が利用しやすい、ユニバーサルデザインに配慮した、人にも環境にも優しい石垣市の新たなランドマークとしてのスポットとして整備されたものでありました。デザインについても、2020東京オリンピックの新国立競技場をデザインした建築家・隈研吾氏が手掛け、昨年、グッドデザイン賞をとった庁舎であり、この庁舎目当てで県外から観光客なども多いそうで、行政機能の中心的役割だけでなく、観光の目玉としても人を集めることのできる公共施設となっていることがわかりました。
 議場内のデザインについても、議場の後ろが全面ガラス張りで、市民広場から吹き抜けで見える開放的な形になっており、議長席、議員席、市長席及び副市長席には石垣牛革を採用した議場椅子、議場席の机の幕板に八重山上布などが使用され地元の名品を取り入れたデザインになっていて、地元企業や文化を盛り上げる取り組みや市民の方からの親しみやすさが見て取れます。
 議会運営に関しても、本市において、現在議場の設備等についてなど、さまざま協議をしていますが、実際導入をしてみての課題、使用に関しての必要なルール作りなど、前もって検討しておかなければならない事項について石垣市の状況を参考に新庁舎移転前にしっかりと検討すべきだと考えます。
 また、石垣市は、傍聴者も議案の中身によっては36席全て埋まるくらいの人数であったり、YouTubeで視聴できないなど、すぐ電話もかかってくるほど、議会に対する市民の方の関心が高いことが伺えます。議会報告会については、実現はしてないようですが、代わりに地元の新聞2紙が議会の内容を翌日には報道してくれるとのことで、本市も、新庁舎へ移転するに伴い、より市民の方に興味や関心を寄せていただける開かれた議会とするような検討や、新しい取り組みが必要であると考えます。

視察の様子
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