各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 建設委員会
- 視察先
- 大阪府 岸和田市
- 視察案件
- JR阪和線東岸和田駅付近高架化事業について
- 実施日
- 令和4年10月18日
- 参加者氏名
- 荒木 洋美、永田 飛鳳、酒谷 和秀、木下 三枝子、奥沢 裕介、藤原 智子、河井 美久
視察結果概要
(1)視察先の概要
岸和田市は、大阪府の南部、和泉平野のほぼ中央に位置し、東西10.4q、南北17q、総面積は72.72㎢を有し、海から山にかけて長い市域形状になっています。西は大阪湾に面し、東は葛城山で和歌山県、北東は忠岡町と和泉市、南西は貝塚市と隣接しており、人口は約19万人となっています。
地形は、北から臨海部、平野部、丘陵部、山地部に区分され、臨海部は工業地域、平野部は住宅と商業地域の混合地域、丘陵部は農業地域と工業地域、山地部は森林地域として主に利用されています。
古くから、「城とだんじりのまち」として知られていますが、臨海部の浪切ホールやベイサイドモールなどがにぎわいを見せています。また、水産業も盛んで、市内には3つの漁業協同組合があり、府内屈指の漁獲量を誇っています。
(2)視察内容
東岸和田駅は、大阪と関西国際空港や和歌山を結ぶ大動脈であるJR阪和線の快速停車駅として市域の交通の拠点となっていました。駅周辺から南海本線岸和田駅までの間は、「都市交流ゾーン」として第3次総合計画で位置づけられた岸和田市の都心ですが、駅周辺では「開かずの踏切」が多く、都市機能が大きく損なわれていました。これを解決するために、平成9年度に「阪和線東岸和田駅立体交差事業建設期成同盟会」を設立し、平成14年度より、事業主体である大阪府と岸和田市共同で、JR阪和線東岸和田駅周辺における鉄道高架事業に着手しました。事業手法としては、限度額立体交差事業(単独立体)で行い、事業費としては約260億円かけ、岸和田市下松町から上生町までの高架化区間1.5q、踏切廃止7か所など約2.1qの整備を行いました。
事業の効果について、@道路交通面からの効果、A鉄道利用者への効果、Bまちづくりの面からの効果の3つが挙げられました。@道路交通面からの効果として、交通渋滞が解消され交通の円滑化が図られました。高架前と比べて、約4割減少したとのことでした。また、踏切事故が無くなり、道路と鉄道の安全性向上にもつながっています。A鉄道利用者への効果として、駅施設の改善によるバリアフリー化でサービスが向上しました。旧駅舎ではバリアフリー未対応でしたが、エスカレーターやエレベーター、多機能トイレなどバリアフリーに配慮した駅施設が設置され、誰もが利用しやすい駅舎になっています。Bまちづくりの面からの効果として、鉄道による分断が無くなり、地域の活性化が期待できるようになりました。高架化空間の新たな有効活用や関連道路整備により、地域の生活環境や利便性が向上しました。
今後の展望については、東岸和田駅に隣接する商業施設のリニューアルや、泉州卸商業団地のリニューアルに向けた事業があるため、市民への説明を丁寧にしていき、東岸和田駅周辺の整備をしていくとのことでした。
(3)視察から得られた考察
東岸和田駅は、「元気あふれる躍動都市岸和田」の玄関口の駅として、岸和田の代名詞となっているだんじり祭りをモチーフにしたスピード感や力強さを表現しており、地域の中心的建物としてにぎわいを創出するとともに、建物の高さを抑え、圧迫感を感じさせないようにしているなど、岸和田の文化を肌で感じることができました。
春日部市も現在、鉄道高架事業に取り組んでおり、高架化により「開かずの踏切」の解消、高架化空間の新たな有効活用や春日部駅東口、西口の活性化によるにぎわいの創出など、様々な効果が見込まれます。今回の鉄道高架事業を参考にし、春日部市の玄関口にふさわしいまちづくりを行っていきたいと思います。

視察の様子