本文へ移動
背景色

現在位置 :トップページ › 行政視察報告書

各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
厚生福祉委員会
視察先
兵庫県 明石市
視察案件
子どもに寄り添う支援について
(離婚前後の養育支援・無戸籍者支援・里親100%プロジェクトについて)
実施日
令和4年10月27日
参加者氏名
金子 進、吉田 稔、古沢 耕作、会田 吉幸、並木 敏恵、阿部 雅一、大里 昇、木村 圭一

視察結果概要

(1)視察先の概要
 明石市は、東経135度の日本標準時子午線上にあり、本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋を眼前に望むことができる風光明媚な地域となっています。
さらに、市の東側と北側は神戸市と接し、西側は加古川市などと接していて、阪神間の都市圏と播磨臨海地域、海を隔てて淡路・四国を結ぶ、海陸交通の重要な拠点となっています。
 明石市は、1972年に初めて長期総合計画を策定して以来、計画的なまちづくりを進めてきました。2022年4月からは、「あかしSDGs推進計画(明石市第6次長期総合計画)」がスタートし、2030年のまちの姿を、「SDGs未来安心都市・明石」〜いつまでも すべての人に やさしいまちを みんなで〜と定めて、まちづくりを進め、2018年4月からは、中核市となり、自らの権限と責任のもと、市民サービスのさらなる向上と、地域特性を生かした個性豊かなまちづくりに向け、諸施策に取り組んでいます。

(2)視察内容
 明石市では、こどもを核としたまちづくりとして、こども総合支援条例を制定し、様々な総合的子ども支援を展開しています。数多くの支援策を実施していますが、その中でも、全国初の取り組みとして、1点目の離婚前後の養育支援、2点目の無戸籍者支援、3点目のあかし里親100%プロジェクトを視察しました。
 離婚前後の養育支援では、養育費の受け取りを総合的にサポートするため、養育費の取り決めの明石独自書式(こどもの養育に関する合意書)を用意し、支援しています。また、相談体制を充実させ、専門家による養育総合相談ができるほか、養育費の立て替えや催促、回収も市が間に入って支援し、支払われない養育費について、差し押さえの手続きをサポートしています。さらに、親子の架け橋(面会交流のコーディネート)として、子どもの面会交流を経験豊富なスタッフがサポートしています。課題としては、面会交流支援などの人材確保が課題とのことでした。
 無戸籍者支援では、全国で約800人近くのの無戸籍者の方がいる実態があり、明石市における無戸籍者への総合的支援として、無戸籍者のための相談窓口と、無戸籍24時間相談ダイヤルを開設し、相談を受けています。また、戸籍を作るための裁判所への申立費用の補助として、明石市に居住している無戸籍者に対して、裁判所に支払う収入印紙及び郵便切手代を補助しています。さらに、相談窓口を開設している市民相談室に無戸籍者総合支援コーディネーターを配置し、行政サービスの提供支援等を行っています。
 相談窓口での相談は、令和3年3月現在22件あり、戸籍のない人やその親などが、戸籍を作るための手続きや、国民健康保険の加入手続き、予防接種を受けるための手続きなどの相談があり、9名の方が戸籍を取得できたとのことです。
 あかし里親100%プロジェクトでは、明石こどもセンター(児童相談所)で、担当課制(専任課:さとおや課)を取り組んでいて全国的には珍しいとのことです。この取り組みの柱は、全28小学校区での里親配置と、里親を必要とする乳幼児の委託率100%の早期実現を目指して取り組んでいます。
 里親支援として、里親登録を増やすため、継続的な広報や、市独自の里親相談会・里親出前講座の開催などを実施しています。また、市独自のきめ細かい里親支援として、市担当職員が「里親コンシェルジュ」として、先輩里親の紹介や諸手続きへの同行等の支援や、里親研修受講時や初めての子どもを迎え入れる際の経済的支援、市内子ども関連施設の利用無料化などを支援しています。
 課題としては、継続的な普及啓発が必要なことと、里親は足りていないこと、職員の専門性の向上が必要とのことでした。

(3)視察から得られた考察
 明石市では、子ども支援の取組として、今回の視察内容だけでなく、様々な支援を、様々な部署が連携し合って取り組んでいることがわかりました。本市においても、子育て支援を充実し、住み選ばれるまちにしていく必要があります。
 明石市は、中核市に移行し、児童相談所(明石こどもセンター)を設置して、子ども支援を幅広く展開しています。何より、市による一貫した子ども家庭支援を子ども家庭総合支援拠点でもある児童相談所(明石こどもセンター)が中心となって、子どもの迅速な保護・支援や、地域における育ちの支援、学校や子ども食堂など子どもの居場所での早期の気づき、母子保健・子育て支援センター等関係部署との連携における予防の取組などを実施することで、すべての子どもの健やかな育ちと自立のために、安心・安全な暮らしの場を確保しています。
 その結果、8年連続人口増加につながり、出生率も高く、子ども施策に力を入れて、まちが発展し好循環が生まれたと捉えることができます。
 本市でも、明石市を参考に、予算がないからやらないではなく、みんなで何ができるか考えていく姿勢を基本に、子育てに力を入れ住み続けたいまちを創出できるよう検討していただきたいと考えます。

視察の様子
Copyright(c) 2007- 春日部市議会公式サイト Kasukabe City Council. All Rights Reserved.