各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 厚生福祉委員会
- 視察先
- 兵庫県 神戸市
- 視察案件
- 認知症 神戸モデルについて
- 実施日
- 令和4年10月26日
- 参加者氏名
- 金子 進、吉田 稔、古沢 耕作、会田 吉幸、並木 敏恵、阿部 雅一、大里 昇、木村 圭一
視察結果概要
(1)視察先の概要
神戸市は、総面積は557.03㎢で、市域は六甲山系により南北に二分され、瀬戸内に拡がる既成市街地と内陸部に続く西北神地域から成っています。
神戸は、海(正か有数の港)と、山(六甲山系を中心とした美しい自然)、坂(東西に拡がる街並み)の魅力にあふれた都市となっています。
「世界とふれあう市民創造都市」を基本理念に、5つの都市像として、第1に、ともに築く人間尊重のまち、第2に、福祉の心が通う生活充実のまち、第3に、魅力が息づく快適環境のまち、第4に国際性にあふれる文化交流のまち、第5に、次代を支える経済躍動のまちを位置づけ、それぞれの都市像ごとに、将来のイメージとその実現にのためのまちづくりの方向を打ち出しています。
(2)視察内容
認知症神戸モデルは、認知症やそのご家族が、安心して暮らし続けていくことを目指した、全国に先駆けた神戸発の取り組みで、その前段として、認知症になっても安心して暮らしていけるまちを目指して、認知症の人やその家族を社会全体で支えていくまちづくりを推進するための、「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例」を制定しました。(平成30年4月1日施行。認知症対策に特化した条例は政令市初。)
認知症神戸モデルの概要としては、@認知症診断助成制度で、65歳以上の全市民を対象として、身近な医療機関で実施し、早期受診を支援する取り組みと、A認知症事故救済制度で、認知症の方が関わる事故を救済し、無料で賠償責任保険制度・見舞金給付制度に加入。B超過課税の導入で、将来世代に先送りすることなく、社会全体で支える仕組みを導入しています。
@診断助成制度では、第1段階で申し込みにより無料受診券を発行して、認知症機能健診を実施し、第2段階では、第1段階で疑いのある方の認知症機能精密検査を実施し、市が助成しています。
A事故救済制度では、@診断助成制度で認知症と診断された方は、賠償責任保険等に加入ができ、保険料を市が負担しています。
B超過課税の導入では、@とAの神戸モデルの費用の財源を、個人市民税均等割の超過課税を実施し、市民の皆様に広くご負担いただいているとのことです。
○診断助成制度受診者数(制度開始〜令和4年6月末)
・認知症機能健診 (第1段階) 46,827人
・認知症機能精密検査(第2段階) 10,453人
○事故救済制度(制度開始〜令和4年7月末)
・支給状況 24件(支給額合計16,325,146円)
・賠償責任保険加入者数 8,547人
(3)視察から得られた考察
この制度は、認知症の疑いがある方やそのご家族の方が、安心して暮らし続けていくいくことを目指した取組であり、早期診断体制の確立や、認知症と診断された方による事故に関する救済制度を創設し、認知症の方とその家族のより良い生活を実現するために必要な支援を受けられるよう施策を展開しています。
この施策により、認知症の方はもとより、そのご家族の方が安心して暮らし続けられることを目指した、全国に先駆けた非常に良い取り組みと考えます。
神戸市の高齢者人口は、43万4千人で、高齢化率は、28.7%、75歳上の割合は、15.3%となっており、本市の高齢者人口は、約7万2千人で、高齢化率は、約31%、75歳以上の割合は、約16%で、神戸市よりも高くなっています。
本市においても、この制度を参考に、認知症の方やそのご家族の方が、安心して暮らしていけるような施策の展開を考えていく必要があると考えます。また、市単体ではなく、より良い施策を国により全国展開するよう要望することで、どこでも安心して暮らし続けることができると考えます。

視察の様子