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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
建設委員会
視察先
福岡県 久留米市
視察案件
主要浸水対策事業について
実施日
令和元年10月16日
参加者氏名
木村 圭一、今尾 安徳、井上 英治、坂巻 勝則、佐藤 一、古沢 耕作、河井 美久、岩谷 一弘

視察結果概要

(1)視察先の概要
 久留米市は福岡県南西部に位置し、九州の中心都市である福岡市から約40キロメートルの距離にあります。面積は春日部市のおよそ3.5倍の229.96平方キロメートル。東西約32キロ、南北約16キロと東西に長い形状で、市の北東部から南西部にかけて九州一の大河である筑後川が流れています。
 市制施行は明治22年4月1日で、今年で市制130周年を迎えました。現在は中核都市で、県内では福岡市、北九州市に次いで第3位(約30万人)の人口を擁しています。 
 製造業が盛んで、特にブリヂストンの創業地として有名なほか、ムーンスターやアサヒシューズなどゴム加工品メーカーの工場が多く所在します。また、昔から伏見、灘と並ぶ日本三大酒どころとしても有名で、多くの酒造メーカーが軒を連ねています。

(2)視察内容
 市を流れる筑後川は『日本三大暴れ川(利根川(坂東太郎)、筑後川(筑紫次郎)、吉野川(四国三郎))』の次男と称され、過去に何度も洪水を繰り返し、大きな被害を出してきたことで有名です。これは上流の河床が急勾配であるのに対し、中下流の勾配が極めて緩く、洪水が筑紫平野に氾濫する傾向にあることが理由の一つと言われています。過去の洪水の中でも昭和28年6月に起きた大水害は、筑後川流域内において死者147人、全半壊約12,800戸、床上浸水約49,200戸、床下浸水約46,300戸、被災者数約54万人に及ぶ甚大なものでした。久留米市でも死者・行方不明者5人、家屋流失409戸、全壊366戸、半壊2,380戸、床上浸水4,880戸といった大きな被害を受けています。
 近年の久留米市における大きな水害としては、平成16年8月豪雨や平成24年7月豪雨がありました。平成16年8月豪雨では、久留米市域に最大で1時間当たり66ミリの非常に激しい雨が降り、床上浸水60棟、床下浸水148棟の浸水被害を受けました。また、平成24年7月豪雨では、11日から14日までで総雨量469ミリを記録し、床上浸水187棟、床下浸水1,148棟、道路被害375件、河川被害170件、土砂災害19件といった被害がありました。
 これらの災害を受け、久留米市では浸水被害の多かった4つの地域において、河川の改修や雨水貯留施設整備など、大規模な浸水対策事業を進めました。
 まず、筒川流域においては、広大な中央公園内に3つのゾーンを設けて貯留施設と水辺環境を整備し、大雨時に17,000㎥の雨水を貯留できるようにしました。
 次に、池町川流域においては、@諏訪野地区に4,500㎥の雨水を貯められる地下貯留施設を整備、A流下能力が不足している池町川の一部河道拡幅や、約600メートルの地下放水路と排水樋管を整備することで直接雨水を筑後川に流す、B東櫛原地区に約900メートルの地下貯留管と、それにつなげる雨水導水管、排水ポンプを整備して12,000㎥の雨水を貯留、といった対策事業を行いました。
 これらの対策により、その後は大きな被害は見られませんでしたが、最近は規格外とも言える豪雨が頻発し、中でも平成30年7月豪雨(別名・西日本豪雨。倉敷市真備町をはじめ死者263人、行方不明者8人を出した大災害)では、人的被害こそなかったものの床上浸水423棟、床下浸水1,011棟もの被害が出ており、ハード面・ソフト面ともに更なる検討を行っているとのことでした。

(3)視察から得られた考察
 久留米市の浸水対策事業では、主に大型の雨水貯留施設を数カ所に設けることで浸水冠水被害の軽減を図っており、これによって1時間当たり60ミリ程度の雨でも家屋浸水被害が解消され、都市機能が保全されるようになりました。
 春日部市も埼玉県と連携した100ミリ安心プランの中で、河川の改修工事に加え、中央に1,300㎥の地下貯留施設を整備したほか、谷原にも1,700㎥の地下貯留施設整備を予定していますが、久留米市のそれと比べると数も規模も小さいのが現状です。また、100ミリ安心プランに含まれていない地域でも浸水被害に悩まされているところはたくさんあります。スペース的に大規模な貯留施設を整備することが難しいのであれば、たとえ規模が小さくとも、そういった地域ごとに貯留施設を整備することによって被害の軽減が図れるのではないでしょうか。
 地球温暖化により、全国各地で以前では考えられないほどの豪雨災害が増えてきています。先日の台風19号でも、春日部市内で浸水・冠水被害や農業被害などがあり、避難所も開設いたしました。不安で夜も眠れなかった方もたくさんいらっしゃったのではないかと思います。今後、こうした被害を少しでも軽減できるよう、今回の視察を生かし、災害に強く、市民が安心・安全に暮らせるまちづくりに一層取り組んでいきたいと改めて感じました。

視察の様子
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