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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
前進かすかべ。未来の会
視察先
埼玉県 飯能市
視察案件
飯能市議会におけるタブレット端末の導入について
ムーミンバレーパークの設立について
実施日
令和元年10月3日
参加者氏名
永田 飛鳳、吉田 稔、山口 剛一、古沢 耕作、海老原 光男、栄 寛美、岩谷 一弘、小久保 博史

視察結果概要

(1)視察先の概要
 飯能市は埼玉県の南西部に位置し、都心から約50q県内という交通アクセス良好な環境にありながら、緑と清流という自然に恵まれたまちです。古くから豊かな森林と人との共生によって、人々の暮らしや文化・歴史、産業が育まれてきました。市域面積は193.05㎢であり北西部は山地で、市域の約76%を森林が占めています。さらに、入間川、高麗川の一級河川が西部山地から東部台地へと流下しています。人口は、平成31年4月1日現在、79,650人となっています。
 昭和29年に県下9番目の市政を執行し、古くは林業と織物のまちとして栄えました。昭和40年代からは宅地化が進展し、高校や大学、工場などの立地も進み、首都圏の近郊住宅都市として変容をみせました。平成17年には旧名栗村と合併し、県下3番目という広大な面積を持つ市となりました。平成17年4月1日に『森林文化都市』を宣言し、自然と都市機能が調和した、暮らしやすい都市を目指したまちづくりに取り組み、さらに平成31年3月16日に『平和都市』を宣言しています。

(2)視察内容
『飯能市議会におけるタブレット端末の導入について』
 飯能市は、『森林文化都市』の実現をめざし、環境基本計画等による環境施策を積極的に取り組むとともに、地球環境の保全が人類共通の最重要課題であることを認識し、環境マネジメントシステムを率先して構築・実践することにより、地球環境に配慮した取り組みを具体的に推進してきました。その取り組みのひとつとして平成22年からペーパーレスを促進し、市議会においても同年6月から議会改革検討委員会を設置し、ペーパーレス化を議論されていました。そのような中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災を受け、資源を大切にするという当たり前の原点に立ち返り、ゴミの削減・電気代の削減・紙の削減の見直しが図られ、議会においてのペーパーレス会議、タブレット端末導入が決定されました。その後、平成24年には議会基本条例を施行し、飯能市議会情報端末使用基準を定め、実際にタブレットを導入したペーパーレス会議を全員協議会からスタートさせました。
 導入後の効果としては、年間約210万円の議会におけるコスト削減(@全員協議会資料削減額 約24万円A本会議 会議録冊子の印刷製本費 約186万円)や、第一の目的であった紙使用量削減枚数が年間約10万枚(@全員協議会資料 約2万4000枚削減A本会議 会議録冊子分 7万4400枚削減)という効果がでています。その他にも、【環境負荷低減】【経費節減・事務改善】【情報伝達の迅速化】【政務調査活動の充実】【危機管理対応の向上】などあらゆる面での相乗効果がでてきているようです。
現在では、運用状況として、全員協議会等各種議会会議のペーパーレス化はもちろん、本会議一般質問での効果的な活用や、議会内の情報伝達、災害時の活用、議案書・予算案等の閲覧、会議中の情報収集、各種書類の整理・保存など幅広く使用されていて、今後もタブレットでの議決システムや、ビジネスチャット利用を検討していくとのことです。

『ムーミンバレーパークの設立について』
 飯能市は現在、テレビや雑誌などで多く取り上げられており、『飯能市=ムーミン』というのが全国でも定着しつつあります。ムーミンは、フィンランドの北欧童話であり、原作者はトーベ・ヤンソン氏。市場規模は6億ユーロ、日本円にして800億円。そのシェアの46%が日本にあります。今でもファンは拡大中でどんどん市場価値も上がってきているものです。
 飯能市に、メッツァ(メッツァヴィレッジとムーミンバレーパークの2つのゾーンがある)が誘致された背景としては、主に3つの要因があるようです。
 1つ目として、飯能市は平成3年4月の建設省『平成記念子どもの森公園事業』を受け、緑豊かな自然の中で子どもたちがのびのびと遊べるための工夫を凝らした公園づくりを計画していました。そのような中、当時の公園担当者が、「様々な個性が溶け合い、調和しているムーミンの世界感」に着目し、ムーミンや北欧をモチーフにした公園づくりを計画します。そこから、原作者であるトーベ・ヤンソン氏に手紙でその旨を平成4年に伝えたところ、「信じられないくらいわくわくしています!」とすぐに返信が届いたところからムーミン物語の原作者とのつながりがスタートしました。実に7年間の手紙のやりとりを通して交流し、ムーミンがモチーフの【あけぼの子どもの森公園】が平成11年に開園しています。こちらは、平成29年6月に【トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園】と名前にトーベ・ヤンソンをつけることを許可されています。
 2つ目としては、飯能市の豊かな自然や、都心から電車で1時間弱などの良好なアクセス環境など。
 3つ目としては、飯能市が平成26年5月に日本創成会議人口問題検討分科会の試算により『消滅可能性都市(2010年から2040年までの間に20〜39歳の女性人口が5割以下に減少する自治体)』の一つに位置付けられたとともに、現在のメッツァがある【宮沢ため池】から西武が撤退。その利活用について検討していた。
 そのような背景の中、2013年にフィンテックグローバル社がメッツァを日本に建設したいという情報を掴み、交渉を重ね、数ある候補地の自治体の中から2015年6月に飯能市内への立地が決定しました。誘致が決まってすぐに、副市長がフィンランドへ向かい、著作権、ライセンスに関する交渉として、〇ムーミンキャラクターの活用〇あけぼの子どもの森公園に「トーベ・ヤンソン氏」の名前を冠すること〇ムーミン基金の設置とふるさと納税返礼品としての使用許可等を話し合ったそうです。その他、市の取り組みとしては、メッツァへ2億円の出資をしているが飯能市のふるさと納税のムーミン基金で出資以上の効果がでていること、各観光拠点を整備し、観光地としての魅力を高め、交流人口を増加させること、メッツァと連携したシティプロモーションを取り組んでいます。また、メッツァ建設工事では地元の事業者が3社で施工、飯能市民限定でメッツァ先行採用説明会を開き市内の雇用を高める、商店街やイベントでのコラボなど、地域に対して好影響をもたらす為の様々な角度からのメッツァと連携したまちづくりも並行して行われています。
 メッツァ開業後の効果としては、来場者が令和元年7月26日時点で100万人突破。飯能駅の定期外乗降客数の増。飲食、宿泊などへの波及も、商店街アンケートなどで効果ありと結果がでているようです。

(3)視察から得られた考察
『飯能市議会におけるタブレット端末の導入について』
 近年では、地球温暖化やオゾン層の破壊、想像を超える自然災害、地震、台風など様々な現象により、森林や農作物、人体への影響がおびやかされている時代です。そのような中、地球に住む私たちは、自然の保全とともに、地球環境への配慮が今、強く求められていることと思います。平成30年に環境省は『あと20年で日本全国のゴミの埋め立て場が満杯になり、ゴミを埋め立てできなくなる』という発表もされております。環境問題と聞くと大きな問題に思えるかもしれないが、それぞれの人、それぞれのお店、それぞれの市が少し行動するだけでできるものがたくさんあると思われます。飯能市の議会ICT化は、紙資源の使用削減やゴミの削減に効果がでており、それがすべての市から県へ、すべての県から国へと広がっていくことでさらに大きな効果がでるものと考えられます。また、環境面だけではなく、議会としても様々な効率化が図られます。そのメリットとしては、第一に市民の方々へ最新情報をICT化でいつでも、どこにいても、見やすく、簡単に届けられることにあると考えます。例えば、市民の方に質問を受けた際も、いったん持ち帰り、調査をして後日回答していたものが、その場で資料をすぐに閲覧でき、即時解答ができる。議会での一般質問時にも、グラフや、見やすい資料などが提示でき、わかりやすく伝えることができる。など、多くの効果が見込めます。さらに、今後も様々なことが、携帯、タブレット、パソコン、インターネットでできる時代に変化していくにつれ、たくさんの可能性が秘められた取り組みだと思われます。多くの人や、企業が導入しているものを行政も取り入れ、より迅速に、より柔軟に、よりわかりやすく伝えることは大切です。しかし、より便利で効率的なものを行政で使用するためには、明確なルールのもとに使うことも重要になってきます。セキュリティの対策や、使用制限、禁止事項、情報漏洩などの問題につながらないよう、慎重に審議をし、議会の在り方なども含めながら本市でも検討していく必要があると考えます。

『ムーミンバレーパークの設立について』
 人口減少は、多くの自治体が抱えている大きな問題のひとつであります。単純に人口を増やすためには、なにが必要か。まずは、人が集まる場所をつくるというのが最初のきっかけになりうると考えます。ほかの自治体にはない目玉がある、それはとてもインパクトがあり、多くのメディアでも取り上げられ知名度のアップにもつながることが、今回の飯能市のムーミンバレーパークで明らかになったことです。どこに住みたいか、どこへ引っ越したいか、と考えたときに、まずはその市の名前がぱっと思い浮かぶくらい、名前が知られていなければ選ばれる街にすら候補が挙がらないと思います。飯能市では、【豊かな森林と人との共生】という自分の市の強みを最大限に活かし、効果的に活用されており、そのきっかけは、市の職員さんの一通の手紙からスタートしたということに驚きました。そこかからムーミンがモチーフの公園が整備され、その縁から今回、大きなテーマパークの誘致につながったということです。その中には、市長をはじめとする、執行部の方々の熱意と大変なご努力の上に成り立った功績だと考えます。そして、開園後の効果としても今後控えているオリンピック等に伴う、海外からのインバウンド効果や、働く女性や子どもがいる家族層をターゲットとした、移住効果、ムーミンを使った市のシティプロモーション効果など、多くの効果が期待されます。本市においても、クレヨンしんちゃんの活用など多くの議論がされていますが、春日部市の資源を最大限に活用しきれているとは言えない状況であると考えます。キャラクターを使用するためには、著作権、ライセンスに関する交渉が1番難航する部分かと推測します。今回の飯能市での取り組みを参考にさせていただきながら、本市でも本市の強みと考えられる資源の有効活用を検討し、シティプロモーションや観光へ、力や熱意を込めて取り組んでいただくことを要望いたします。

視察の様子
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