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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
前進かすかべ。未来の会
視察先
北海道 栗山町
視察案件
移住・定住事業の取り組みについて
実施日
令和元年7月3日
参加者氏名
小久保 博史、岩谷 一弘、栄 寛美、海老原 光男、古沢 耕作、山口 剛一、吉田 稔、永田 飛鳳

視察結果概要

(1)視察先の概要
 栗山町は、道都札幌市、空の玄関口新千歳空港、港湾苫小牧市に車で約1時間の距離にある、1次、2次、3次産業のバランスがとれた、人口1万2千人ほどのまちです。
 積み重ねられた町の歴史と先人の夢をつなぎ、次世代に誇れるまちを築いていくため、まちづくりの合言葉を「ふるさとは栗山です。」として、いつまでも住み続けたいと思えるまちづくりを進めています。また、平成18年5月に全国に先駆けて、議会基本条例を制定しています。

(2)視察内容
●事業の実施に至った経緯について
 栗山町に限らず、北海道全土で人口減少に対する危機感が募る中、平成17年10月に北海道移住促進協議会が14市町でスタートし、平成18年に栗山町も加入する。
 そして、前町長の公約に「移住の総合窓口設置」が掲げられ、町全体で移住・定住に向けての政策に取り組むこととなりました。以降、若者定住対策として6つの大きな柱となる事業を開始しています。
平成20年〜:「ちょっと暮らし(くりやま暮らし体験事業)」開始
平成27年4月:栗山町若者移住促進事業助成金交付金制度施行
平成29年3月:くりやま若者シティプロモーション「戦略プラン」策定
平成29年9月:KURIYAMA CREATER’S MARKET オープン
令和元年6月:栗山町空き家利活用促進事業施行
令和元年7月:栗山町UIターン等促進奨学金返済助成事業施行
 また、平成26年7月に移住や子育て支援に力を入れ、人口増につなげる取り組みを開始するために、若者定住推進室を設置しています。その際に、特に若者を対象とする移住や子育て支援に力を入れることをアピールするために、あえて「若者」を室の頭につけました。

●事業の概要について
〇「ちょっと暮らし(くりやま暮らし体験事業)」事業は、市や民間の所有する建物やアパートなどを利用し、実際に住んでもらい(1泊・1週間・2週間・1か月の期間で有料)栗山町での暮らしを実際に体験してもらう。
〇栗山町若者移住促進事業助成金交付金制度は、助成対象者の条件として40歳未満もしくは中学生以下の子と同居などがあり若者対象で、新築住宅・中古住宅の取得費用の助成や、賃貸住宅の家賃助成の制度となっている。
〇くりやま若者シティプロモーション「戦略プラン」は、有識者ではなく39歳までの町民でワークショップを行い、どうすれば栗山町が住みたい街になるのか考えて策定したプランです。
〇KURIYAMA CREATER’S MARKETは、駅前の条件の良い物件を町が保有し、無償(テナント代・光熱費・マージン全てなし)でクリエーターへ貸し出し、移住へ導く事業です。
〇栗山町空き家利活用促進事業は、空き家リフォームの空き家家財等処分に対して、助成する事業となっています(諸条件あり)。
〇栗山町UIターン等促進奨学金返済助成事業は、栗山町に定住し社会人生活をスタートする方の奨学金返済額の一部を助成する事業となっています(諸条件あり)。

●事業の実績・効果について
〇「ちょっと暮らし(くりやま暮らし体験事業)」事業は、体験者数は年間で50〜70人の利用がある。利用者の割合は60代以上が7割を占め、若者子育て世代については1割から2割の利用率に留まる。
〇栗山町若者移住促進事業助成金交付金制度は、5年間で51件の成果が上がっている。
〇地域ブランド調査平成28年において、「魅力度」が1,000市町村中810位だったものが、平成30年度では639位と上昇した。その他、「認知度」「居住意欲度」でも順位アップしており、ある程度の効果を感じている。
〇KURIYAMA CREATER’S MARKETは、出展者数が、平成29年度は13者、平成30年度は30者、平成31年度は22者(6月現在)と伸びており、出展者からは、大変好評をいただいている。
〇移住者相談会や町の制度を利用した方の移住者数は、12年間で81世帯165名であった。(相談者数1,136名)

●今後の展望・課題について
〇アクションプランの計画期間は令和4年度まで。
〇平成31年4月より配置した移住コーディネーターを活用して、移住フェア等を通して移住者の増加を図りたい。
〇空き家バンク(新制度の空き家利活用制度)の流通
〇若者の定住(UIターン等促進推奨金返済事業)の増加
〇車での移動であれば、札幌や千歳空港からアクセスが良く、通勤も可能だが、公共交通機関を利用となると、便数が少なく便利とは言い難いのが現状である。JRも廃線の協議をしている状況。都市に比較的に近いことで、逆に若者が流出している。高等学校や専修学校の存続問題、栗山赤十字病院の改築問題など、近々に結論を出さねばならない問題が山積している。
〇移住のお試し暮らしに関して、本気で検討中ではなく、アクセスが良いため、長期滞在のホテル的な利用者も多いこと。但し、交流人口を増やし、栗山ファンを全国に増やしていくことは、意味のあることだと考えている。
〇空き家バンクも、実際の空き家に対して登録件数は伸びない、実際に売買に繋がるケースも少ないため、制度の見直しも検討が必要ではないか。
〇クリエイターズマーケットは、作家さんには大変好評であり、ほぼ休みなく回転できており、売り上げも伸びている。雑誌等でも紹介されるため、町外から来店される方も増えてきたが、当初の目的である移住まではまだ結びついていないのが現状。

(3)視察から得られた考察
 庁内に新設した定住推進室にあえて「若者」という言葉を入れて、職員や町民に意識さ
せるやり方や、積極的に様々な政策を打ち出して実行している行動力に驚かされました。その行動力の源は、栗山町が東京や札幌などに比べて魅力がないということを認識し、早い段階から何かしらの政策に取り組んでいかないと、取り返しのつかない状況になってしまうという危機感からだと感じました。
 現在は81世帯165名の移住増ですが、これも様々な政策に取り組んだ結果、165名も増えたということであり、様々な政策に取り組んだからこそ改善すべき点が早々に分かり、早い段階で軌道修正をすることができ、来年以降の移住者を増やすためのより良い政策に取り掛かれるはずです。
 春日部市も空き家バンクの取り組みが始まりました。しかしながら、地方都市はそれ以上のことに取り組み、そしてなかなか結果が出ない状況を鑑みて、新たな政策を打ち出しています。春日部市としても空き家バンクと同時に子育て世代への政策にも取り組んでいますが、更なる移住・定住促進の対策に取り組む必要があると感じました。
 また、栗山町の副議長が「栗山という名前を知ってもらうことが一番大変だ」と話していました。
 幸いなことに、春日部市は「クレヨンしんちゃん」「春日部共栄(高校野球)」により、日本全国でもかなりの方々に認知してもらっている地域だと思っています。であればこそ、「クレヨンしんちゃん」「春日部共栄(高校野球)」を更に有効に活用させてもらいながら、春日部市を日本全国に発信し、移住・定住促進の足掛かりにするべきではないかと強く感じました。
 更に、人口1万人増計画を達成するためには、長期計画だけではなく今以上のイベント(短期計画)も立ち上げながら、他の地域に住む方々に常に春日部市に興味を持ち続けてもらわなければなりません。これ以上の人口減少に歯止めをかけるために、様々な政策に積極的に取り組まなければならないということを強く感じました。

視察の様子
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