各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 日本共産党
- 視察先
- 富山県 富山市
- 視察案件
- 「公共交通を軸にしたまちづくり」について
- 実施日
- 平成30年11月14日
- 参加者氏名
- 松本浩一、卯月武彦、並木敏恵、大野とし子、坂巻勝則
視察結果概要
(1)視察先の概要
富山市は水深1,000mの富山湾から、標高3,000m級の山々が連なる立山連峰まで、標高差4,000mの雄大な自然を有し、総面積は1,241.77㎢で富山県全体の約3割を占めています。
人口は2018年3月末現在、417,227人で富山県全体の約4割を占める大都市です。
立山山麗では冬のスキーはもちろん、ワイヤーロープで山の斜面を滑りぬけ、空を飛ぶような感覚が人気のアトラクション「ジップラインドアドベンチャー立山」も人気です。
〇市勢(2018年3月末現在)
人口 417,227人 (男 203,127人 女 214,100人)
世帯数 176,768世帯
総面積 1,241.77㎢
(2)視察内容
富山市のまちづくりの基本方針は「鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市機能を集積させることにより、公共交通を軸にしたコンパクトな街づくり」です。
〇公共交通の充実で歩いて外出できる街へ
@富山ライトレールの整備(2006年)
・赤字だったJR富山港線を低床車両とし、運行間隔を短縮(30分〜60分を
15分間隔)
・駅の増設
A従来の路面電車の軌道の一部延伸で環状線化
BJR高山本線に新駅の建設及び駅前広場、トイレなどの整備
上記の施策により、乗客数が増加しました。
〇交通施策の充実
@「お出かけ定期券事業」
65歳以上の高齢者に、中心市街地に出かける際に公共交通利用料金を補助し
負担を100円にする
A「花Tramモデル事業」
華やかで明るい空間を演出し「花で潤うまち」を創出するため、指定の花屋で
花束を購入し、市内電車等に乗車すると運賃を無料にする
Bホテルの宿泊客に市電料金半額(外国人は半額)の利用券を配布する事業
〇合併した自治体の公共交通の充実
@コミュニティバスの運行
・地域のコミュニティバスは自主運行を基本とし、市が運行経費を補助し、経営
が困難な中山間地域では、市が運行
A予約型乗合タクシーの導入
・バスの運行が困難な山間地では高齢者を対象にした予約型乗合タクシーを導入
〇効果と今後の課題
市内電車利用者数は2006年度まで減少していたが、富山ライトレールや市内電車環状線の整備、ICカードシステムや低床車両の導入など路面電車の活性化に向けた取り組みにより、市内電車の利用者数が2007年度以降は増加に転じました。
公共交通の充実で、まちなか居住者が歩いて暮らせるようになりました。これにより高齢者の外出機会が増え、高齢者の乗客数は2倍に増加しました。
課題としては、日本及び富山県全体と同様に富山市の総人口も減少傾向にある。高齢化に伴う自然減(出生-死亡)により、総人口は減少しているが、社会増減(転入-転出)では、様々な施策により近年は転入超過基調となっています。しかし、人口減少に歯止めをかけるには至っていないことにあります。
(3)視察から得られた考察
富山市では、コンパクトなまちづくりの軸となる幹線公共交通の整備とともに、郊外などでは、生活交通を確保することに力を入れていることが分かりました。
「市が財源を負担して、住民に利用してもらう事が経済効果」という基本理念がありました。これが自治体のあるべき姿ではないでしょうか。
春日部市も「駅を拠点としたネットワーク型コンパクトシティ」を施策に掲げていますが、住民が利用しやすくなるよう、更なる公共交通の充実が必要と感じました。

視察の様子