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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
前進かすかべ。未来の会
視察先
愛知県 瀬戸市
視察案件
公共施設等総合管理計画の策定について
実施日
平成30年10月3日
参加者氏名
小久保 博史、岩谷 一弘、栄 寛美、海老原 光男、古沢 耕作、山口 剛一、吉田 稔、永田 飛鳳

視察結果概要

(1)視察先の概要
 愛知県瀬戸市は、周囲を小高い山々に囲まれ、気候が温暖であり、加えて、焼き物の原料となる良質の陶土やガラスの原料となる珪砂を豊富に含んだ地層があったため、古くから陶磁器産業が盛んで、「焼き物のまち」として知られるようになった。
 人口約13万人。近年、少子高齢化の進行に伴う人口減少を見込んだ政策を展開して人口は増加していたが、10年前から減少に転じ、少子化の進行や超高齢社会に必要な費用が将来の財政的負担となってきている。
 こうした状況下において、同市は「せと・やきもの世界大交流」イベントを開催するなど、国内外に向け、市の魅力を発信する努力を続けている。

(2)視察目的
 同市は、人口減少、また公共施設の老朽化等に伴う財政的負担増などの課題に対応すべく、平成28年度に「持続可能な瀬戸市」を目指した「第6次瀬戸市総合計画」を策定した。
 同計画の主旨に従い、平成29年3月に策定した「瀬戸市公共施設等総合管理計画」の内容や進行状況を知ることは、同様の課題を抱える春日部市にとって非常に重要であり、同市担当者のご協力を得て視察するものである。

(3)視察内容
■「瀬戸市公共施設等総合管理計画」の概要
◎社会情勢
 労働人口の減少が進む中で、高度成長期から整備が進められてきた公共建築物や、道路・ライフライン等のインフラ資産の老朽化対策についても、新たな社会の課題としての対応が必要になっている。そうした状況の中で、将来の税収減への懸念と、市民生活を支える社会保障や公共物の維持管理に必要な経費を確保し続けなければならないという使命に対して、どのように責任を果たすかという過去に例のない難題への取り組みが求められている。
◎国から地方自治体への要請
 国は、インフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中期的な取組の方向性を示した『インフラ長寿命化基本計画』を平成25年にまとめ、全国の地方自治体に対して、管理・所有するインフラについて適切に管理するための行動計画及び個別施設計画の策定を求めた。
◎計画の目的
 現状のまま多くの公共施設等を保有し続けることは、将来世代の負担が増加することが懸念されるばかりでなく、真に必要な公共サービスの維持さえも困難になる恐れがある。今後、必要な公共サービスを継続するためにも、公共施設等に対して、新たな収入源となる運用や、財政支出を抑制するためのコスト縮減方策について、考えなくてはならない時期にある。
 こうした状況を踏まえて、保有する公共施設等の現状と課題を明らかにする(見える化)とともに、今後の公共施設等のあり方について提言することが、同計画を策定する目的。
なお、同計画の計画期間は、平成29年度から平成68年度までの40年間。
■主な公共施設・インフラ整備の基本方針
・学校施設・・・公園用地を活用し、既存小中学校を統合したうえで小中一貫校を創設する。併せて、他の既存施設の機能を集約することで、拠点施設の複合化を目指す。廃校になった学校の跡地活用については、他の既存施設の機能を集約する。建築物は減築し、校庭は公園機能に加えて避難場所としての機能も維持する。
・保育施設・・・公設民営園は、運営実績を考慮しつつ民営化を検討。古瀬戸保育園については、機能集約により学校機能を廃止する古瀬戸小学校の跡地において、他の既存施設の機能との統合する方向。
・コミュニティ施設(公民館など)・・・施設の更新時に、関連する様々な機能の集約を検討する。既存施設の有効活用のため、小中学校の空き教室を活用した機能集約を検討し、基本的に新規の施設整備は行わない。ただし、小中一貫校に集約する小中学校区の施設については、機能廃止される学校跡地への機能の集約を検討する。
・市役所・出張所・・・単独で機能を維持し、市民サービスの提供の場として、また、災害時の防災拠点としての機能を維持するため、適切に施設のメンテナンスを行う。
・道路・・・認定市道については、交通量や老朽化度等の判定基準により路線の優先順位を定め、計画的な予防修繕を行う。その他の未認定市道については、現場の状況に合わせ緊急修繕により機能維持に努める。また、緊急措置を除き、パッチワークによる点の補修は回避し、道路の長寿命化を踏まえた、路線ごとに側溝も含めた面や線を対象とした予防修繕を実施する。
・公園・・・将来の公園に求める機能及び配置について、「都市計画マスタープラン」等の上位計画との整合を図りつつ、人口減少などに対応した利活用を検討する。都市公園施設については、「公園長寿命化計画(〜平成35 年度)」に基づく補助事業のスケジュールと整合を図り、施設更新を実施する。
 公園遊具については、毎年実施する点検結果に基づく老朽度等の判定基準により、計画的な維持修繕により機能維持に努める。「ちびっこ広場」の日常的な維持管理は地元自治会等にて実施しつつ、将来的な利活用について検討する。

(4)視察から得られた考察
 今後の公共施設の整備に関する瀬戸市の考え方は、なるべく新しい施設を作らず、統廃合や機能集約を進めていく方針で、その点で、本市における公共施設整備の考え方と同様の方向性で進められている。
 ただ、同計画の考え方に沿った上で、「必要であれば、新たな施設を作ることも厭わない」という姿勢も見られた。
 そうした事業の一例として、都市公園に複数の小中学校を統合して小中一貫校を建設する計画について説明を受けたが、同市の考え方が端的に表された事業として、非常に印象に残った。
 具体的には、同市には小学校20校、中学校8校が存在するが、中心市街地にある東公園という都市公園に新たな校舎を新設し、そこに『小学校5校と中学校2校を統合(集約)』する計画が進められている。これは、厳しい財政状況下で実施する「事業の優先順位」として、「未来を担うこれからの世代のための教育環境を整える」ことが重要、と考える同市の姿勢に沿うもので、春日部市が進める今後の公共施設整備を考える上で、「何を重視し、何を優先するのか」という事を明確にすることが重要であるということを示唆している点で、非常に参考となった。

視察の様子
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