各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 前進かすかべ。未来の会
- 視察先
- 青森県 弘前市
- 視察案件
- 市民参加型まちづくり1%システムについて
- 実施日
- 平成30年7月11日
- 参加者氏名
- 小久保 博史 岩 谷 一 弘 栄 寛美
海老原 光男 古 沢 耕 作 山 口 剛 一
吉田 稔 永 田 飛 鳳
視察結果概要
(1)視察先の概要
青森県弘前市の人口は平成30年6月1日現在で172,910人、世帯数は71,880世帯で市の面積は524.2kuであり、青森県の西南部に位置し、内陸型地域となります。
弘前市は、藩政時代以来約400年の歴史を持つ城下町であり、津軽地域の政治、経済、文化の中心都市として発展してきました。東に八甲田連峰を望み、西に「津軽富士」と呼ばれる青森県最高峰の霊峰岩木山、南西には世界自然遺産白神山地を擁する自然に恵まれたまちです。
市内には、日本一の桜の名所である弘前公園をはじめ、33の寺が連なる禅林街や最勝院五重塔、伝統的建造物群保存地区である仲町の家並み、あるいは旧弘前市立図書館や青森銀行記念館など明治・大正期に建築された洋風建築物、昭和を代表する近代建築の巨匠前川國男の作品など多くの歴史的建造物が残っています。
また、春のさくらまつりや夏のねぷたまつりなど四季のまつりでは、多くの観光客で賑わう観光都市です。最近では、日常の生活文化を体感するまち歩きも評判となっています。
(2)視察内容
弘前市の「市民参加型まちづくり1%システム」は、個人市民税の1%相当額を財源に、町会やNPO、学生やボランティア団体など多様な主体による、地域課題の解決や地域の活性化などの「市民力」による魅力あるまちづくりの推進を図るために、市民自らが実践するまちづくり、地域づくり活動に係る経費の一部を支援する、公募型の補助金制度です。平成22年に就任された市長のマニフェストをもとに、同年策定の総合計画に盛り込まれ、制度が創設されました。
一定の条件をクリアすれば誰でも応募でき、年3回の募集時期があり、応募された事業は「まちづくり1%システム審査委員会」の審査を経て、市が助成を決定しています。審査委員会は、学識経験者や団体推薦者、公募市民などの15名で構成して、事業の採択、補助金額の精査、公開プレゼンテーション・公開審査会を実施しています。担当者の方からは、「単発のイベント」をやるのではなく、地域課題に対して次に繋がるように相談・支援体制を大事にされており、特に企画立案の段階で事前相談が出来るようにしているとの事業に対する想いを伺えました。
(3)視察から得られた考察
まちづくり1%システムを実施して、市民の中で公共性が高まっていると感じるとの事業実施の効果についてお話がありました。また今後の課題として、3つ
@市民提案を行政サービスとして「政策化」して、継続的に運営していくこと。
A団体同士の情報交換や、お互いのノウハウの提供など団体間のつながりの構築すること。
B市民主体で実施されている事業が将来どのように継続・発展させていくかという「出口」を構想し構築することが必要不可欠であり、市民活動団体が自立して事業を継続するため、自立を支援する仕掛けを盛り込む事が必要。
とのことです。
本市において同様の取り組みや制度としては、市民活動センターの機能、大学生による政策提案コンテスト事業、補助金制度としては地域力アップ提案事業補助金にそれぞれ当てはまる部分があると考えます。
審査委員会において、応募事業の採択、補助金額の精査、公開プレゼンテーション・公開審査会のほか、応募事業の効果を検証するために「事業成果発表会(継続事業の場合は次年度審査会)」の実施、また1%システムの制度内容そのものについても見直しをして利用しやすい制度にするため、年数回実施して次年度へ繁栄させていることは特徴的であり、そうした取り組みの必要性を感じます。実施された事業では、自治会や地区で行った事業はアイデア豊富で視野が広く、従来どおりのものではなく、プレゼンなどを通して事業が磨かれていると感じます。
特に参考にしたい点をまとめると、審査委員会の仕組み、プレゼンテーション、成果報告や制度自体の見直しも審査化で行っていること、市の政策に反映させる考えなど本市の制度にも取り入れてまいりたいと考えます。また、育てていく、共に作っていくという意思が感じられ、ぜひ本市においてもそうした考え方を参考にしたいと考えます。

視察の様子