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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
厚生福祉委員会
視察先
福島県 郡山市
視察案件
手話言語条例について
実施日
平成30年1月19日
参加者氏名
佐藤  一、鈴木 一利、石川 友和、
矢島 章好、河井 美久、栗原 信司

視察結果概要

(1)視察先の概要
 郡山市は福島県の中央に位置し、面積は757.20平方キロメートル。東北新幹線をはじめとする鉄道網や東北自動車道、磐越自動車道などの高速道路、福島空港に隣接するなど交通の要衝でもあります。大正13年に市政施行(人口約3万9,000人)したのち、昭和40年の合併を経て大きく発展し、現在では人口約33万5,000人を擁する中核市となっています。
 全国の自治体で手話条例制定の動きが見られ始めたことや、東日本大震災の経験から情報の大切さを実感したことで条例制定に対する機運が高まった郡山市は、2015年3月20日に全国で13番目、また、東北地方・中核市・福島県内では初となる手話言語条例を成立しました。そこで、目的や制定後の取り組み、今後の展望、課題等について、お話を伺いました。

(2)視察内容
 中途ろう者を含めた他の障害者は日本語を使えますが、生まれつき、または乳幼児期にろう者となった方は日本語を知らずに育ちますので、筆談等で説明を受けても理解が難しいという現状があります。そこでまず、手話が「言語」であるとの認識に基づき、周囲が手話の理解に努め、ろう者が手話を使いやすい環境づくりを推進することで、全ての市民が共に生きる地域社会を築いていくことを決意し、手話を言語として位置づける理念を表すために、この条例を制定しました。
 特に郡山市では東日本大震災による被害も大きかったため、その経験を踏まえ、災害時においての情報取得等に必要な措置を講ずるほか、情報通信技術の活用に努めるなどの施策が盛り込まれているのが特徴と言えます。
 制定後の主な取り組みとしては、行政センターと障がい福祉課(専任手話通訳士)を映像でつなげることで手話での会話が可能となった「ライブネットこおりやま」の活用を初め、団体向け手話講座の実施や、手話に関する出前講座の新設、市職員手話研修(新規採用職員)の実施、手話まつりの共催開催、防災訓練の強化等を行うことで、庁内外において手話を広めることに成功しています。
 今後の展望としては、定例会に手話通訳を導入、新規採用職員だけでなく3年目・5年目の職員や部課長級にも手話研修を導入、手話技能検定5級合格などを推進し、より一層、手話の普及や環境を整備していくとのことでした。
 また、今後の課題としては、手話通訳者1人当たりの派遣件数が多いため、手話通訳者の確保が最大の課題であるとのことでした。

(3)視察から得られた考察
 現在、全国の自治体で手話言語条例の制定が進んでおり、埼玉県内においても県を初め、13市町で可決されています。実際、条例自体のボリューム(条数)はそう多くはなく、「〜するよう努めるものとする。」といった抽象的な文言が多いため、条例を作るだけであればいつでも作ることができると思われます。しかし、本当に大切なのは、実際にどのような施策を講じ、どんな取り組みを実施して手話を「言語」として広めるかといった具体的な方針であり、それが伴わなければ条例は所詮、絵に描いた餅であります。その点、郡山市では特徴のある施策を打ち立て、手話の普及、そして手話を使用しやすい環境整備といった面できちんと結果を出しているのが印象的でした。春日部市でもこういった取り組みを参考にし、聴覚障がい者を支援していく体制を整えることが重要であると考えます。

視察の様子
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