各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 新風会
- 視察先
- 高知県 高知市
- 視察案件
- 子どもまちづくり活動支援事業について
- 実施日
- 平成29年5月10日
- 参加者氏名
- 小久保 博史、栄 寛美、海老原 光男、古沢 耕作、吉田 剛
視察結果概要
(1)視察先の概要
高知市は、四国南部のほぼ中央に位置し、西方と北方には山岳が巡り、東方には肥沃な美田が続き、南方は浦戸湾を経て太平洋を臨んでいる。
明治22年に市制が施行され、戦災や震災、水害等幾多の試練を市民と行政のたゆまぬ努力によって克服し、市政の発展に取り組んできた。平成元年には、記念すべき市制100周年を迎え、平成10年4月に、32万市民の住む中核市として新たな時代の一歩を踏み出した。平成17年1月に鏡村・土佐山村両村、平成20年1月には春野町と合併し、平成23年3月には、「森・里・海と人の環 自由と創造の共生都市 高知」を将来の都市像とする「2011高知市総合計画」を策定し、中山間地域、田園地帯、都市部がバランスよく調和した特色あるまちづくりを目指している。
市の面積は、309.00㎢であり、人口は平成29年4月1日現在、332,059人である。
(2)視察内容
「こうちこどもファンド」とは、自分たちの住む、または通学・通勤する地域を、自分たちのアイデアで、より魅力的な住み良いまちにするための活動を応援する仕組みの事である。具体的には、高知市が信託銀行に資金を積立て、こうちこどもファンド(基金)を設立するとともに、市民の方々や企業の方々からも基金に対する寄付を募り、基金を形成し、この基金に積み立てられた資金は、子どもたちによる「まちづくり活動」に対して助成される。
助成対象の事業は、子どもによるまちづくり提案に基づく活動に対するもので、助成を行うか否かの審査を行うのも子ども審査員によることとし、子どもを中心とした事業内容となっている。
平成24年度に事業を開始し、初年度は10グループに対して164万円を、平成25年度は8グループに対して147万円を助成しており、直近の平成28年度は、7グループに対して133万5千円を助成している。
主な助成事業としては、子どもたちによるボランティア活動の実施や、地域にある畑で保育園から高校生が高齢者の方と一緒に有機農業を行うものなどがある。
現在、実施から6年目を迎えており、一定の成果を出すとともに課題も発生している。主な課題としては、応募団体が減少しており、事務局が掘り起こしをしなければならない事、学校単位の応募に偏っており、地域からの応募が少なくなっている事、活動を継続している団体が減少していることなどがあげられる。
しかし、子どもを中心とした街づくりを実施することにより、大人の想像のつかない様な子どものアイデアによるまちづくりの活性化につながり非常に素晴らしい事業であると感じた。
(3)視察から得られた考察
本市においては、今回視察した「こうちこどもファンド」と同様な事業はないが、子どもがまちづくりに参画する視点からは、春日部未来研究所が行っている大学生政策提案コンテストがある。この事業は、大学生から春日部市で実施したほうが良いと思われる政策を大学生の視点で考えて提案する事業であり、最優秀賞には実際に春日部市の政策として実行するというものである。これにより、大学生の視点をまちづくりに取り入れる効果を有している。
また、ファンド・基金という視点では、ふじ福祉基金があり、心身障がい者福祉事業、ひとり親家庭福祉事業、高齢者福祉事業などの事業のためだけに基金が使われている。
いずれにしても、子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのための、基金を設立し、子どもたちに関する事業のためだけに使うこうちこどもファンドのような事業は本市にはない。
今回視察してきた事業は、ただ市役所が基金を積み立て運用するだけではなく、市内企業や市民の方々から寄付を受け付けている点も特徴的である。これにより、市内企業は高知市の労働力を支える人材の育成に寄与することが出来、また、市民の方々は、高知市の地域を支える人材の育成に寄与することが出来る。高知市の将来を支える子どもたちを、市・市民・企業が一体となって育てていくというところが非常に魅力的に感じた。
本市においても、子どもたちは地域の宝であると認識し、春日部市の将来を支える子どもたちを市・市民・企業が一体となって育てていく事業の実現が出来る様に働きかけを行っていきたいと考える。

視察の様子