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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
新風会
視察先
福岡県 北九州市
視察案件
北九州次世代エネルギーについて
実施日
平成29年2月8日
参加者氏名
吉田 剛、古沢 耕作、栄 寛美、小久保 博史

視察結果概要

(1)視察先の概要
 北九州市は昭和38年、当時の門司、小倉、若松、八幡、戸畑の5市が合併して誕生した九州で最初の政令指定都市であり、人口は約97万人で、九州では福岡市に次ぐ規模である。
交通の便も良く、国道や鉄道など、ハブ的役割を担っており、九州の玄関口ともいわれている。
また、海に囲まれた場所であるため、猛暑日は他の九州の地域に比べて猛暑日は少ないく、比較的過ごし易い場所である。一方、便の良さから1980年代は工業都市として急速に発展したが、その代償として公害による人口流出が増加した。
同市はその教訓から、環境政策の見直しに着手し、その後は、国から環境モデル都市の選定を受け、再生可能エネルギーを活用した低炭素社会の構築に向け、積極的に取り組んでいる。

(2)視察内容
 同市は、平成28年8月に「地球温暖化対策実行計画・環境モデル都市行動計画」を策定し、再生可能エネルギーを活かした「エコタウン事業」を展開している。
今後の本市の環境政策、また再生可能エネルギー推進に参考となる考察を得るため、同市エコタウン事業の拠点である「北九州次世代エネルギーパーク」を視察するものである。

■北九州エコタウン事業の展開
同市は、長年に渡るモノづくりのまちとしての産業基盤や技術力、公害克服の過程で培われた人材・技術・ノウハウ等を活かし、資源循環型社会の構築を図るため「環境保全政策」と「産業振興政策」を統合した独自の地域政策として、1977年7月から、若松区響灘地区を中心に北九州エコタウン事業を推進している。
近接する北九州学術研究都市との連携により、環境分野の教育・基礎研究から技術・実証研究、事業化に至るまで、総合的に同事業を展開している。

■北九州次世代エネルギーパークの概要
次世代エネルギーパークは、同市エコタウン事業の中心的施設であり、以下のような、関連する多種多様な施設が集積している。
◎再生可能エネルギー関連施設
・風力発電…陸上14基、洋上1基。年間を通じて良い風が吹くため多数の風力発電施設が建てられ、同パークのシンボル的存在となっている。
・太陽光発電…10社以上の民間会社が参加するメガソーラーに加え、中規模ソーラー施設も併設。また、パネルが太陽の位置を感知して動く新技術の「追尾型太陽光発電」もあり。
・バイオマス石炭混焼発電…世界最高水準の熱効率の発電設備を採用した「高効率火力発電所」。
・小水力発電…貯水池から浄水場水が流れる際の落差を利用した発電所。
○その他のエネルギー供給基地
・石油備蓄基地…国内で消費する10日分の石油を蓄えている最大規模の洋上備蓄基地。
・コークス工場…石炭からコークス・タール等を生産する、国内屈指の規模を誇るコークス工場。コークス生産時に発生する熱を使って発電する。
・都市ガス製造工場…大型タンカーが入港できるLNG基地。天然ガスの北部九州における広域供給拠点。

(3)視察から得られた考察
 次世代エネルギーパークには、上記のような多種多様な関連施設がり、太陽光や風力発電といった「新しいエネルギー」から、国の石油備蓄基地なども自由に見学することが出来る。
そうした施設を多くの市民の方々に見てもらうことで、これからのエネルギー問題について考えてもらう契機とするとともに、市の環境政策への理解を促す重要なツールとして位置付けており、実際、大人から子ども(各種学校の社会科見学等含む)まで、年間約2万人の来訪者がある。
具体的には、以下の5つのテーマを学べる施設、とのコンセプトで運営している。
1. エネルギーとは?
エネルギーに関する基礎的なこと(どんなもので、どこから来て、どう使われているか等)について学ぶ。
2. エネルギーをつくる
発電の仕組みについて、発電エネルギーごとに共通する点・異なる点を学ぶ。
3. エネルギーをめぐる課題
どんな問題があり、なぜ問題になっているのかを学ぶ。
4. エネルギーを賢く使う
生活の中の省エネの工夫などを学ぶ。
5. 北九州市の先進的取り組み
市の環境政策について学ぶ。
一方、次世代エネルギーパークというエネルギー拠点を築くことで、民間企業との協同という部分で、様々な可能性を見出す狙いもある。実際、同施設には多くの企業が進出し、企業PRの場ともなっている。
今後、国が循環型・低酸素社会を築いていく中にあっては、各自治体における独自の取り組みがポイントとなってくると考えられるが、北九州市が、市と市民、そして、各企業や研究機関を結びつけることで、環境政策を推進・実現していくやり方は、大変興味深く、参考になる事例である。

視察の様子
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