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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
厚生福祉委員会
視察先
長野県 松本市
視察案件
松本ヘルス・ラボについて
実施日
平成28年10月13日
参加者氏名
佐藤 一、鈴木 一利、石川 友和、矢島 章好、河井 美久、小久保 博史、栗原 信司

視察結果概要

(1)視察先の概要
 松本市は、長野県のほぼ中央に位置し、面積は長野県で一番の978.47平方キロメートル。人口は本市とほぼ同じ約24万人の施行時特例市です。市域の西側には、標高3000メートル級の山脈の日本アルプス、東側には2000メートル級の台地が広がる八ヶ岳中信高原国定公園を擁しています。
 松本市では、平成20年に「健康寿命延伸都市」構想を表明し、まちづくりの基本方針として市の総合計画に反映させました。また、平成23年には、「松本地域健康産業推進協議会」を設置し、平成26年には、市民の健康増進を図るだけでなく、市民との共創によるヘルスケア産業の創出・育成の実現を目指す「松本ヘルス・ラボ」をスタートさせています。この非常に先進的な事業についてお話を伺いました。

(2)視察内容
 松本ヘルス・ラボは、市民向けとしては、年会費3,000円の会員制となっており、血液検査や体力測定を年2回受けられるほか、月1回開催される多彩な健康プログラムにも参加でき、ここで企業の試作品やサービスなどが提供されることもあります。この血液検査などのデータは匿名化されたうえで企業向けのビッグデータとして提供され、今後の製品開発などに生かされています。
 企業にとっては、上記ビックデータの活用や、会員(市民)に協力をいただき、製品やサービスのモニタリングを行うことで、消費者の反応や効果などを見極められるメリットがあります。なお、このモニタリングの実施には、企業側だけでなく、松本ヘルス・ラボの倫理委員会も通すことで、安全性などの確保に努められていました。それ以外にも、企業が新しい製品やサービスを開発する際には、市民目線での意見交換などのサポートも行っています。
 今後は、現在の市民の会員数は約400名となっており、年度内に倍の800名とすることを目指しているほか、社会的な信頼性の担保や経営責任の明確化と人材確保を目的に、松本ヘルス・ラボの一般社団法人化を予定しているとのことでした。

(3)視察から得られた考察
 市民の健康増進や医療・介護費の適正化などの解決すべき行政課題は、視点を変えれみれば民間企業にとっては新たなビジネスチャンスと成り得ることもあり、この「松本ヘルス・ラボ」は、自治体側は住民福祉の向上を図れるだけでなく、企業にとっては利益を得られるような事業展開の実証の機会を得られ、また、住民にとっては健康寿命の延伸に繋がるといった、三方がWin-Winの関係となるような、非常に先進的な事業として実施されています。
 この事業のプラットフォームの確立には相当な努力があったと思われますが、松本市の菅谷市長が医師であることから、強いリーダーシップを発揮しながら取り組まれていたようです。また、多くの関係者の協力をいただいていることからも、日頃から医師会や大学、商工会議所などをはじめとする関係者とも良い信頼関係が結ばれていたこともあったとと思われます。
 当市で同様の事業をすぐに行うことは大変難しいと考えられますが、従来の行政側からの一方的な施策展開ではなく、住民や民間企業の互いの利益となるような観点から、事業の継続性を考慮した施策で共通の課題解決を図るといった松本市の取り組みは、新たな考え方の一つとして、大いに参考となったと考えられます。

視察の様子
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