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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
建設委員会
視察先
石川県 小松市
視察案件
PFI事業による市営住宅建て替え及び定住促進支援制度について
実施日
平成27年10月22日
参加者氏名
栗原信司、蛭間靖造、斉藤義則、松本浩一、岩谷一弘、木村圭一

視察結果概要

(1)視察先の概要
 小松市は、石川県の西南部、加賀平野のほぼ中央部に位置し、東は霊峰白山を望み、西は日本海に面し、風光明媚で豊かな自然に恵まれた環境を有しています。面積は371平方キロメートル、人口は10万8000人で、南加賀の中心都市として発展しています。
 小松という地名の起こりは、火山法皇が北陸へ巡幸の折、梯川(かけはしがわ)のほとりに館を建て、花園をつくり松を植えたことから「園の小松原」と呼ばれ、いつしか小松になったといわれています。寛永16年(西暦1639年)、加賀百万石の三代藩主前田利常公が隠居して、金沢から小松に移り、城を大修理、街の整備を進め、寺社の造営から産業や文化を興し、市街地の原型が作られました。明治22年、町村制の施行で「旧小松町」ができ、昭和15年12月1日には、小松町を中心とした近隣8町村が合併、全国で176番目の市が誕生。昭和30年4月には、周辺の4村、昭和31年9月に5村をそれぞれ合併し、今日に至っています。
 産業は、古くから絹織物が栄え、「小松りんず」、「小松ちりめん」の銘柄で知られ、合繊を含めた繊維工業が盛んです。伝統産業の一つである窯業「九谷焼」、い草の畳表ブランド「小松表」も全国的に有名です。また、基幹産業の機械工業は、「コマツのブルドーザー」として国際企業に成長した(株)コマツを中心に関連会社の企業群が形成されています。

(2)視察内容
 <PFI手法による小松市営川辺町住宅建替事業について>
 PFI手法による市営住宅建替事業は、民間のノウハウや国の補助制度を活用して市の財政負担を軽減しつつ、老朽化した市営川辺町住宅の建て替えを行うと共に、分譲住宅地整備を関連事業として実施し、良好な住宅地区を創出することで、新たな地域コミュニティーづくりを推進することを目的としています。
 「PFI手法」とは、民間が有するノウハウや資金等の経営資源を活用し、公共サービスを効果的・効率的に提供していくことを目的とした特定目的会社(SPC)が、公共団体と長期的な事業契約を結ぶことによってサービスを供給していくPFI法に基づく事業手法ですが、今回は従来型の手法にとらわれず、「良質低廉な公共サービスを提供するための民間資本の活用のしかた」に主眼をおかれたものとなっています。
 事業方式は、PFI法によるBT方式を採用し、民間事業者が自らの提案をもとに、設計・建設・監理した集合住宅(現住宅の解体工事を含む)を、市が「市営住宅」として買取り、所有権を移転します。また、住宅を集約したことによって生じる余剰地を売却し、代金を建替財源に充当します。(売却余剰地は、民間事業者が「分譲宅地開発」をし、宅地販売をします。)
 公共住宅新築工事では、第1期工事で70戸、第2期工事で40戸建て替えを行いました。PFI民間事業者に対する総事業費は、19億1295万円となりました。
 <小松市定住促進支援制度について>
まちの元気には、人の定住、人口増加が欠かせません。「住みたい」「住んでよかった」と思える魅力あるまちづくりに向けて、市外からの転入や、まちなかの定住、3世代同居、近居を支援するための奨励金制度です。
 〇「ようこそ小松」定住促進奨励金 … 小松市外から小松市内全域に転居する方に、自己の住宅の建設費または取得費の一部を助成。
 ○住まいる小松奨励金 … 自己の住宅を建設するために、対象となる開発許可を受けた分譲宅地を購入して建築する建築主に助成。
 ○3世代家族住宅建築奨励金 … 小松市内で住宅を取得し、3世代が同居、または近居する場合、建設費、取得費の一部を助成。
 ○まちなか住宅建築奨励金 … まちなか指定区域での自己の住宅の取得費の一部を助成。

(3)視察から得られた考察
 現在、春日部市では、市内の公立小中学校の普通教室等にエアコン整備をPFI法により行っています。PFIとは、公共施工等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方です。春日部市の場合は維持管理まで含めたBTO方式であり、小松市の市営住宅建て替え事業は維持管理を含めないBT方式であり、手法は異なりますが、良質低廉な公共サービスを提供するための民間資本の活用する点で参考になりました。これからも厳しい財政状況の中で事業を展開していくうえで、民間のノウハウを活用したPFI手法はより重要になるものと思われます。
 また、人口の減少は、多くの自治体が抱える問題となっています。定住人口が減少すると、市の財政や市内経済への影響が懸念され、また、まち全体の活力が失われていくことが心配されます。定住人口を増加させるために、多くの自治体ではさまざまな特色ある支援制度を行っています。小松市では、市外からの転入対策として、転居して来られる方に住宅の建設費等の一部を助成する「ようこそ小松定住促進奨励金」や、3世代が同居または近居する場合、建設費等の一部を助成する「3世代家族住宅建築奨励金」など特色ある支援施策を打ち出し定住促進に向けて対策を行っており、春日部市でも市内に住む親世帯の近くに居住するために住宅を取得する子世帯に対し助成する、「ふれあい家族住宅購入奨励事業」を行っていますが、人口減少に立ち向かい、数十年先を見据えて活気あるまちにしていくためにも、さまざまな視点から人口減少に対する対策を考えていく必要があると感じました。

視察の様子
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