各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 厚生福祉委員会
- 視察先
- 秋田県 大仙市
- 視察案件
- 自殺予防対策事業について
- 実施日
- 平成27年10月6日
- 参加者氏名
- 金子 進、海老原光男、水沼日出夫、大野とし子、
並木敏恵、古沢耕作、山崎 進、武 幹也
視察結果概要
(1)視察先の概要
大仙市は、秋田県の内陸南部に位置しており、古くから県南の交通の要衝で、現在は秋田新幹線や秋田自動車道などにより首都圏からの日帰り、または一泊圏内となっています。また、県内では豪雪地帯に属する積雪寒冷地帯で、冬季においては、秋田市など日本海沿岸地域と比較して気温が低く、夏は比較的高温多湿になります。面積は866.68平方キロメートルで、山林・原野が約6割を占め、田畑も約4分の1で自然豊かな田園都市の特徴を持っています。
年齢階層別人口をみると高齢者が多く、15歳から29歳までの若年者が極端に少ない状況であり、少子高齢化が急速に進んだ地域となっています。
過疎化・高齢化が懸念される地域であり、農業に依存する度合いの高い地域となっています。
(2)視察内容
秋田県では、人口10万人あたりの自殺者数に換算した自殺死亡率が、平成7年から平成25年までの19年の間、全国ワースト1位が続いていました。大仙市においても毎年30人前後の自殺者があり、全国平均を超える数値を示していることから、自殺予防対策は重要な課題となっています。
大仙市は、県の自殺予防推進モデル市町村であり、講演会等の啓発事業をはじめ、早期の相談や医療機関の受診を促す事業を積極的に推進し、自殺者の減少に努めています。特に、それまで週3日で行なっていたカウンセリング事業の「ほっとスペース」は、臨床心理療法士を1名増やし、週5日実施できる体制を整えています。
また、自殺未遂者対策事業「いのちの襷」を実施し、市内の救急指定病院に自傷、自殺行為によって搬送された患者に効果的な啓発を行うため、医療機関の協力を得ながら相談申込書を配布する事業を行っています。
さまざまな啓発事業及び相談業務を拡充することにより自殺者の減少につながる施策を実施しています。
(3)視察から得られた考察
平成23年度から始められた「ほっとスペース」では、平成24年度に臨床心理療法士1名を増員し、相談業務の充実を図っていました。まずは、心に悩みを持った方々にいつもで相談できる機会をつくることが重要であり、専門職の配置を増やすことにより相談者に寄り添った対応が図られているものと考えます。
また、自殺者の減少を図る重要な対策として、自殺未遂者に対しての適切な支援の実施が挙げられます。心に悩みを持った方々の相談に加え、自殺のリスクの高い方への対策として、救急指定医療機関の医師、看護師、ソーシャルワーカー等から退院時に相談機関等を掲載したパンフレットを配布してもらう「いのちの襷」事業は、医療機関との連携を体制化するもので、有効な手段の一つであることが分かります。相談をする場合の申請書も受診意識が低いことを考慮し、簡易な記入内容にしていることも参考になります。事業効果を見える形で捉えるのは難しい面がありますが、今後の効果が期待できるものと考えます。そのほか、講演会等の啓発事業や相談業務等の充実が適切な支援につながっていることが参考になりました。

視察の様子