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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
新風会
視察先
富山県 富山市
視察案件
公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりについて
実施日
平成27年2月9日
参加者氏名
小久保 博史、栄 寛美、海老原 光男、
古沢 耕作、吉田 剛

視察結果概要

(1)視察先の概要
  富山県富山市の人口は平成26年3月末時点で419,607人、世帯数は169,524世帯で、総面積は1241.85q²。水深1,000メートルの富山湾から、3,000メートル級の山々が連なる立山連峰まで、標高差4,000メートルの雄大な自然を有している。また、富山といえば有名なのが、300年以上の歴史を持つ薬の訪問販売で、「富山の薬やさん」として、全国の家庭で親しまれてきた。
 そして、本年3月14日には北陸新幹線の長野駅―金沢駅間が開業し、東京駅から富山駅へも一本でつながるため、観光都市としての同市の価値も更に上がることが予想され、全国的に注目されるまちのひとつである。

(2)視察内容
 京都とはまた違った魅力を持つ古都としてのイメージの強い同市だが、最近では「ライトレール」と呼ばれる路面電車等を生かした「コンパクトシティ」政策を推進しており、昨年、環境への負担軽減に取り組む「エネルギー効率改善都市」として、日本で唯一、国連から認定されるなど、国内はもとより、世界から注目される都市となっている。
 同市が推進する「公共交通機関を軸としたコンパクトなまちづくり」の概要は以下の通り。                
■基本方針
 鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集約することにより、拠点集中型のコンパククトなまちづくりを実現する。
■実現するための施策(具体策)
@公共交通の活性化
 まちづくりの観点から必要なものについては、行政がコストを負担するとともに、公共交通の活性化と沿線のまちづくりを一体的に行う。
A公共交通路線地区への居住促進
 鉄軌道の駅や停留所及び幹線バス路線のバス停からの徒歩圏内に、各種施設の立地や居住を促進する。
B中心市街地の活性化
 公共交通網が集中する富山駅を含む中心市街地に各種の都市機能を集中立地させるとともに、中心市街地における居住を促進する。

(3)視察から得られた考察
 まず、まちづくりの柱となる「公共交通の活性化」では、利用者が減少していた鉄道(JR富山線)を公設民営化し、日本初の本格的LRT(次世代型路面電車)システムを整備した。利用者は、鉄道のときと比べ、平日で約2.1倍、休日では約3.5倍に増加し、ライトレールを利用するお年寄りの外出が増えたことで、高齢者の健康増進という相乗効果も現れている。
 「公共交通路線地区への居住促進」に関しては、公共交通路線居住推進地区へ移住する市民にたいして助成するとともに、建設事業者に対しても建設費の助成を行っており、子育て世代のファミリー層の転居が増えつつある。
 そして、「中心市街地の活性化策」としては、全天候型の多目的広場「グランドプラザ」を整備した。ここでは、蚤の市やフットサル大会等のスポーツイベント、市職員によるバンド演奏などが行われ、まちの賑わいの核となっている。また、65歳以上の方が市内各地から中心市街地へ出かける際に、路線バス等の公共交通利用料金を1回100円とする「おでかけ定期券事業」(割引制度)や、祖父母と孫が一緒に美術館等を利用する場合に入園料を全額免除とするユニークな事業も行っている。
 同市の特質すべき点は、このコンパクトシティ政策の構想を「都市マスタープラン」や「富山市総合計画」、「富山市総合福祉プラン」、「富山市環境基本計画」などに盛り込んで、目指す方向を明確化した上で、このようなまちづくりについての市の考え方を広く市民に理解してもらうため、100回以上のタウンミーティングを行い、市長自らが、何度も直接市民に同事業の意義を説明したということ。こうしたプロセスは、今後本市が様々な重要施策を行う上で、大いに参考になると感じた。富山市長が、いつも「我々には説明責任だけでなく、説得責任がある」と話しているという、市職員の言葉が印象的だった。

視察の様子
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