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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
建設委員会
視察先
宮城県 仙台市
視察案件
下水道震災復興とアセットマネジメントについて
実施日
平成26年10月15日
参加者氏名
中川 朗、蛭間靖造、斉藤義則、井上英治、
松本浩一、岩谷一弘、木村圭一

視察結果概要

(1)視察先の概要
 仙台は1600年に伊達政宗公が居城を定めて以来、62万石の城下町として栄えてきました。1889年、市制施行によって「仙台市」が誕生しました。その後、東北の政治・経済・学術・文化の中心として着実な発展を続け、現在は東北唯一の政令指定都市として人口107万を擁しています。また、戦前戦後を通して、その緑豊かな街並みから「杜の都」と評されています。
 仙台市の気象は、北緯38度付近と比較的高緯度に位置していますが、仙台湾に面した海洋性気候のため寒暖の差の少ないのが特徴です。1年の平均気温は12℃前後で、季節の区分ははっきりしており、四季折々に彩りを変える豊かな自然は市民に潤いを届けています。
 地形的には、西は奥羽山脈から東は太平洋の仙台湾までの広がりを持ち、周囲は12の市と町に接し、785.85㎢におよぶ大きさです。西の山岳地帯には船形山、大東岳、泉ヶ岳などが連なり、県立自然公園二口峡谷、蔵王国定公園などとともに緑豊かな素晴らしい景観を形成しています。奥羽山脈に源を発する三本の清流広瀬川、名取川、七北田川は、いくつかの支流を集め丘陵を下り、大きな流れとなって東の太平洋に注ぎます。これらの清流の流域には、80㎢にもおよぶ広大な農耕地が広がっています。

(2)視察内容
 平成23年3月11日(金)午後2時46分、三陸沖でマグニチュード9.0の地震が発生し、仙台市内では最大震度6強を記録しました。
 東日本大震災により、市内の広い範囲にわたり管路の破損やこれに伴う道路陥没、液状化によるマンホールの浮上、さらに、丘陵地の宅地等では、地滑りによる管路の破損や水路の崩壊が発生しました。また、南蒲生浄化センターを含む沿岸部の下水道施設は津波により設備機器が水没、破損及び流失する等、壊滅的な被害を受けました。
 施設の復旧に向けては、市民生活への影響を最小限に抑えることを基本方針とし、市民のトイレ利用の継続及び市内での汚水の溢水を防止することによる生活衛生環境の保持という観点から緊急対応を行い、その上で、公共用水域の水質保全(環境基準の遵守)への対応が順次進められました。
 仙台市の下水道事業では平成25年度よりアセットマネジメントシステムの本格的な運用を開始しました。アセットマネジメントの導入により、目標を達成する「仕組み」が構築されました。これにより、事業が抱えるリスクを適正にコントロールしつつ、コストの削減、故障や陥没事故削減といったパフォーマンスの向上が図られました。
 アセットマネジメントは、業務プロセス、目標管理体系、リスクマネジメント、投資判断基準の4つの柱を導入戦略として掲げています。業務プロセスとは、仕事の手順と役割を規定、可視化したものです。業務プロセスを明確にし、システム化することで作業を漏れなく実施することができます。目標管理体系とは、何を目標に仕事をするのかを、「くらし・社会」「環境」「経営」の3つの観点により整理したものです。ビジョン実現に向けた達成状況を評価するための指標を体系的に整備し、各指標について目標管理を行うことにより、パフォーマンスの向上を図ります。リスクマネジメントとは、管路・設備・地震・浸水について、「影響の大きさ×発生確率」でリスク基準を整備し、一目でわかるようにすることで、損害を最小の費用で効果的に処理するための手法です。投資判断基準とは、リスクとコストを用いた投資判断基準と判断フローを作成し、リスクに基づく投資案件を横並びで評価するものです。
 また、リスク評価等に基づき策定された保全計画を基にコストシミュレーションを行い、リスクを顕在化させないように年次調整し、保全コストを平準化しています。

(3)視察から得られた考察
 東日本大震災により、仙台市は甚大な被害を受けました。災害発生時の上水等のライフラインの確保だけではなく、汚水処理についても周到な検討をする必要があります。
 また、今回の震災において、仙台市では事前に応援協定等を結んでいたことが、大いに役立ったそうです。いつ起きてもおかしくない震災に備え、事前の災害対応はとても重要になります。
 仙台市はアセットマネジメントを導入したことで、下水道管路維持管理の効率化が図られました。効果として、施設の長寿命化による費用削減が図られ、約33億円のライフサイクルコストを削減することができるそうです。また、アセットマネジメント導入にあたり、事業の状況に即し、オーダーメイドで仕組みを構築したそうです。最先端の取り組みであるアセットマネジメントの取り組みは、非常に参考になりました。
 本市の下水道会計は、平成25年度から、経営の明確化や適切な施設管理など効率的な事業運営を行うため、地方公営企業法の財務規定が適用され、公営企業会計方式となりましたが、本市においても、現状の把握と課題を抽出し、本市にあった経営手法を構築すべきであると感じました。

視察の様子
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