本文へ移動
背景色

現在位置 :トップページ › 行政視察報告書

各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
厚生福祉委員会
視察先
佐賀県 佐賀市
視察案件
入院時コミュニケーション支援事業について
実施日
平成26年10月23日
参加者氏名
金子 進、海老原光男、水沼日出夫、大野とし子、
並木敏恵、古沢耕作、山崎 進、武 幹也

視察結果概要

(1)視察先の概要
 佐賀市は、平成17年10月1日に佐賀市、諸冨町、大和町、富士町及び三瀬村が新設合併しています。更に、平成19年10月1日には、川副町、東与賀町及び久保田町が編入合併しています。月脊振山系の山麓部の山林や清流、古代肥前の国の行政府跡、中心部の長崎街道に代表される歴史遺産や佐賀城公園など多様な魅力を備えるまちです。佐賀市では、市民や地域がそれぞれの個性や魅力を発揮しながら、市の将来像として掲げている”人と自然が織りなす「やさしさと活力にあふれるまち さが」の実現を目指しています。なお、佐賀市の人口は平成26年9月で約23万5千人となっており、春日部市とほぼ同じです。
 また、嘉瀬川河川敷で毎年11月上旬に開催される佐賀インターナショナルバルーンフェスタは、アジア最大級を誇る熱気球の国際フェスティバルとして知られています。

(2)視察内容
 入院時コミュニケーション支援事業は、重度のALS(筋萎縮性側策硬化症)患者が、病院への入院時において、医療従事者との意思疎通が円滑に行えるよう、コミュニケーション支援員を年度内200時間を上限として派遣する事業です。本人との意思疎通に熟知した者をコミュニケーション支援員として派遣することにより、患者及びその家族の福祉の向上に資することを目的としています。ALSは、重篤な筋肉の委縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、進行により呼吸筋も障害され、呼吸困難となるため、人工呼吸器が必要になります。気管を切開し人工呼吸器を付けることで声を発することができなくなるため、患者との意思の疎通は、瞬きや眼球運動など特別な対応技術を要します。入院前から患者への支援を行っているヘルパーを支援員として保険医療機関に派遣することで、患者が安心して医療を受けられるほか、医療従事者も適切な医療を行うことができるようになります。
 また、ALS患者の在宅での介護は、介護負担が大きいため、レスパイト入院を行うことにより家族の負担軽減を図ることにも繋がるものです。

(3)視察から得られた考察
 佐賀市内に在住のALS患者が、佐賀県知事に入院時における身体介護に関する制度の改善を求めたことがきっかけになり、実施されることになった事業です。保険診療では、入院患者の看護は、その病院の看護師等が行うと規定されており、ヘルパーによる介護は原則として認められていませんでした。しかし、ALS患者には特別な介護技術による支援が必要であるため、入院時にも対応に慣れたヘルパーが入院先の医療機関に派遣できるようになることが強く望まれたものでした。佐賀県ではその必要性を認め、患者や家族が安心できる療養環境を提供できるよう構造改革特区として国に提案を行いました。国では、構造改革特区ではなく規制改革事項として、介護保険法に基づく地域支援事業等として実施できるよう措置を講じたとのことです。支援を必要とする患者の願いが国の考えや制度上の制約を変えた実例として注目されます。また、その後の保険者と事業実施に繋げた市の対応も高く評価できるものと考えます。

視察の様子
Copyright(c) 2007- 春日部市議会公式サイト Kasukabe City Council. All Rights Reserved.