各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 総務委員会
- 視察先
- 兵庫県 尼崎市
- 視察案件
- 公共施設の老朽化問題について
- 実施日
- 平成24年10月17日
- 参加者氏名
- 武 幹也、佐藤 一、秋山文和、片山いく子、河井美久、小久保博史、
大山利夫
視察結果報告
(1)視察先の概要
尼崎市は、兵庫県の東南部に位置し、阪神都市圏に属する地域にあり、平成7年には特例市、平成21年には中核市へ移行している人口45万人の都市です。
全国的にいえることですが、高度経済成長期を中心に整備してきた公共施設が、今後、次々と更新時期を迎えます。この尼崎市においても、急増した人口に対応するなどにより公共施設の整備が進められてきましたが、すでに40年以上経過する施設が公共施設全体の1/3程度を占めるようになり老朽化が深刻になっています。
今後の本格的な人口減少や急速な高齢化の進行にも考慮し、いち早く公共施設の在り方について分析を進め、今後の方向性について検討を行っている市です。
(2)視察内容
昭和45年当時、人口は55万人を超えていましたが、平成23年には14歳以下の人口は昭和45年の半分以下に減少、65歳以上の人口は4倍以上に増えており、平成47年には36万人まで人口が減少するとの推計が出されています。
また、歳入に関しても、ピーク時には、一般会計の1/4を占めるほどの潤沢な収益事業収入がありましたが、平成20年には一般会計への繰出しがなくなり、施設整備を進める上で貴重な財源となっていたものが今後期待できない状況にあるとの分析がされています。
必要に迫られる施設更新に対処するためには、今ある施設を現状のまま保有し、老朽化が進めば建て替えるということではなく、必要な施設の建て替えや機能向上等を行うために一定の集約が必要との視点から検討された「公共施設の最適化に向けた取り組みについて」の説明を伺いました。
(3)視察から得られた考察
個別の対策は従来から行われてきましたが、公共施設の老朽化に伴う今後の対応について全市的に検討したのが今回の公共施設の最適化に向けた取り組みでした。
支所や地区公民館といった貸出施設に古い建物が多いことから、行政サービスの窓口を集約し、複合施設として地域振興の施設を充実させていこうという方向性のものです。総量は減らし、廃止施設の土地は売却する。残していく公共施設については計画的に補修し長持ちをさせていく。施設の跡地利用は、現役世代の転入・定住を促進するための優良な住宅地の形成を図るために活用するとしています。
パブリックコメント等により、様々な意見が寄せられていることから、今後も検討を重ねていく段階にありますが、他市との分かりやすい比較としっかりとした分析がなされていました。公共施設の老朽化については、近い将来多くの自治体が直面する問題だけに、一つの事例として重く受け止める必要があると考えます。

視察の様子