埼玉県企業局は水需要の低下と電気代高騰など維持管理費の増大を理由に、2026度より水道料金を76円/㎥(23%)へ引き上げる方針を公表しました。この影響は、平均的な家庭用水道料金1か月あたり176円(7%)増と試算されています。「県水転換率は、上は吉見町の100%から下は上里町の11.8%と格差があり、実際の影響は7%を上回る自治体も多数にのぼるとみられます。市町村の水道料金は、この間各地で値上げされており、今回の県水料金の引き上げは、さらなる引き上げにつながりかねません。
相次ぐ物価高騰によって県民は疲弊しきっています。さらに水道料金までが追い打ちをかけることは、命に関わる問題となりかねません。水道会計の悪化を受益者負担原則で対策するべきではありません。
今回の引き上げの理由は、浄水場の老朽化や電気代などの維持管理費の増大です。地方公営企業法第17条の3は「地方公共団体は、災害の復旧その他特別な理由により必要がある場合には、一般会計または他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる」とあります。これに基づき、昨年度までに埼玉県内の市町は地方創生臨時交付金を財源にして一般会計から水道会計に繰り出し水道料金の減免を行っています。また、県水道用水供給事業会計は、2018年度末391億円の内部留保が2022年度には452億円に膨らんでいます。同じ企業局の工業用水事業も地域整備事業にも同様に内部留保があります。県は、異常な電気代高騰に対して、内部留保を取り崩し、一般会計から繰り出しを実施すべきです。
そもそも、企業局の損益収支が悪化したのは大型水開発事業八ツ場ダムの減価償却が始まったことがきっかけです。過大な水需要を見込み、反対を押し切って進めたダム建設の結果である赤字責任を、受益者に押し付けるべきではありません。
したがって、埼玉県は地方公営企業法第3条「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」に基づき、県水道料金引き上げを撤回することを強く要望します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年9月20日
春 日 部 市 議 会
埼玉県知事 様
埼玉県議会議長 様