5月30日、衆議院で地方自治法改正案が可決され、参議院に送られました。
同改正案は、「大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」に、閣議決定で、住民の生命・財産を守るために「必要がある」とすれば、自治体に指示を出し義務を課せる「指示権」を国に与える規定を新たに設けるものです。
「指示権」発動の対象として災害や感染症を例示していますが、「その他」「これらに類する」など、「指示権」発動の対象となる「事態」の範囲は極めて曖昧です。さらに、それらの「事態」が発生した時に加えて、「発生するおそれがある」場合も「指示権」発動の対象とされています。この「おそれがある」事態かどうかの判断は全て政府に委ねられており、国会に諮ることなく政府が恣意的に運用することが可能な規定となっています。
日本国憲法は地方自治を明記し、政府から独立した機能を持つ「団体自治」と、住民の意思に基づく「住民自治」を保障しています。この規定は、戦前の中央集権的な体制の下で自治体が侵略戦争遂行の一翼を担わされたことへの反省からつくられたものです。
しかし、1999年の地方分権一括法では「地方分権」を掲げながら「法定受託事務」を温存し、自治体への指示、代執行など国の強力な関与の仕組みをつくりました。今回の改正案は、住民の利益を守る仕事である「自治事務」についても国の指示を可能にし、自治体を国に従属する立場に置こうとするものです。
よって、地方自治を破壊するおそれのある地方自治法の改正を見直すよう強く要望します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
令和6年6月17日
春 日 部 市 議 会
衆議院議長 様
参議院議長 様
内閣総理大臣 様
総務大臣 様