政府は、「小さな政府」を口実に、公共サービスの民間開放と公務員の純減を進めています。しかし、建築確認の民間開放が耐震強度偽装事件を招いたと指摘されるように、国民の安全やくらしに直結する業務の民間開放には慎重な対応が求められます。政府が導入を急いでいる市場化テスト(官民競争入札)は、民間の要望によって国と地方のあらゆる業務を対象とする制度であり、住民のくらしや安全に対する国や自治体の責任が果たせず、行政サービスが企業のもうけの場にされる懸念があります。
また、公務員の純減は、国の行政や自治体においても住民に直接サービスを提供する分野や出先機関がターゲットとされており、公共サービスの質と量における地域間格差が広がりかねません。
不安定雇用や低所得者層の増大、地域間の格差があらゆる面で拡大するなど、格差社会が急テンポで広がっているもとでは、雇用や安全、社会保障などでの国の役割発揮が重要であり、地方切り捨て、民間開放による「小さな政府」では国民の安心・安全が損なわれることになります。行政の効率化によって、住民の利便性や権利保障の後退を招くことがあってはなりません。
よって、国及び政府においては、真の地方分権を確立する自治体財政の確保を含め、国民生活のナショナルミニマムに対する国の責任を果たすため、以下の事項の実現を強く求めます。
記
1.くらしや安全に関わる国や自治体の責任を全うするため、市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。
2.画一的な公務員の純減は止め、公共サービスの改善や水準維持のため、必要な要員を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年3月17日
春 日 部 市 議 会
衆議院議長 河 野 洋 平 様
参議院議長 扇 千 景 様
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
総務大臣 竹 中 平 蔵 様
財務大臣 谷 垣 禎 一 様
行革担当大臣 中 馬 弘 毅 様