各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 立憲民主党
- 視察先
- 大阪府 泉佐野市
- 視察案件
- ふるさと納税の取組について
- 実施日
- 令和8年7月8日
- 参加者氏名
- 大里 昇
視察結果概要
(1)視察先の基本概要
大阪府泉佐野市の概要は、関西国際空港の対岸に位置し、自然と近代的な都市機能が共存する人口約10万人の街です。
大阪市と和歌山市のほぼ中間にあり、関西国際空港を有する世界と日本を結ぶ玄関都市で、市の東部には和泉山脈が広がり、大阪府唯一の温泉郷である「犬鳴山温泉」があり、また、臨海部には観光・商業スポット「りんくうタウン」が整備されています。伝統産業である「泉州タオル」のほか、豊かな自然環境を活かした 農業・漁業が行われています。
(2)視察内容「ふるさと納税の取組」について
大阪府泉佐野市は、ふるさと納税において、全国屈指の規模と革新的な取り組みで知られる自治体です。
2025年度の給付受け入れ額では約230億円を記録し、6年ぶりに全国1位に返り咲きました。
かつて総務省と法廷で争い一時制度除外となった過去を持ちながらも、現在はルールに遵守した、独自の戦略で地方創生を進めています。その主な取り組みや特徴は、新たな地場産業を生み出す「#ふるさと納税3.0」。
泉佐野市は、海鮮や高級肉などの人気のある一次産業(特産品)が少ないと言う課題を抱えていました。そこで「地場産品がないなら創ろう」を合言葉に始めたのが、ガバメントクラウドファンディング(GCF)を掛け合わせた「#ふるさと納税3.0」です。
仕組みとして、企業や事業主から新たな地場産品のアイディアを募り、 給付金の一部を補助金として支給して、市内に工場や事業所を誘致・新設します。
成果として、クラフトビール大手「ヤッホーブルーイング」の体験型醸造所、大阪ブルワリーを誘致する大型プロジェクトを実施しました。
建設費をこの仕組みで賄い、先行して、オリジナルデザイン缶の「よなよなエール」を返礼品として提供するなどの官民連携が大きな話題を呼びました。他にも、地元の「犬鳴豚」の拡大など、数々のプロジェクトが動いており、また、雇用の創出にもつながっています。
・「熟成・加工」による魅力的な返礼品開発
総務省が定める返礼品のルールに対応するため、泉佐野市は高度な加工技術に活路を見出しました。域外や海外から調達した原材料を市内の熟練した技術で加工(解体、洗浄、味付け、カットなど)して返礼品化しています。
特に独自の氷温技術で旨みを引き出した氷温熟成牛やサケの切り身、ハンバーグなどは、大容量かつ高品質で非常に高い人気を誇ります。
・さのちょくの運営と窓口拡大
多くの自治体が大手の民間ポータルサイトに依存するなか、泉佐野市は、独自の直営サイト「さのちょく」をいち早く構築・運営しています。
民間サイトへの手数料を抑えて自治体の財源を多く残す工夫をしつつ、他の主要ポータルサイトにも窓口を広げることで、全国の寄附者へ広くアプローチしています。寄附金の使い道と地方創生として、集まった寄附金は、かつての財政難からの脱却だけでなく、市民生活の向上や地域課題の解決にダイレクトに活用されていました。
子どもの医療費助成や小学校の図書室整備、市内を走るコミュニティバスの運行維持、公益活動を行う市民団体への支援(泉佐野市公益活動応援プロジェクト)など。
(3)視察から得られた考察
単なる寄附集めの成功事例にとどまらず、「自治体運営の革新」と「地方創生の新たなビジネスモデル」として、極めて示唆に富むもであります。
「持たざる自治体}の強みを活かすマーケティング思考、「地場産品がないなら域外から原材料を仕入れて、市内で熟成・加工する」という、加工貿易型の発想や「#ふるさと納税3.0」による工場の新規誘致は資源の少ない自治体でも知恵と制度の活用次第で、独自の価値を生み出せることを証明しています。
泉佐野市の事例から学ぶべき最大のポイントは、ふるさと納税を単なる財源確保のツールではなく、都市経営のグランドデザイン(産業誘致・雇用創出・ファン形成)に組み込んでいる点にあると思います。ルールが厳格化された現在でも、トップを走り続ける背景には、環境変化に即座に適応する「圧倒的なスピード感と企画力」によるものであると考察しました。

視察の様子