各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 日本維新の会
- 視察先
- 大阪府 泉佐野市
- 視察案件
- ふるさと納税の取組について
- 実施日
- 令和8年7月8日
- 参加者氏名
- 平沢 一博
視察結果概要
(1) 視察先の概要
大阪府の南部、泉州地域に位置し、大阪市と和歌山市のほぼ中間に位置する都市です。大阪湾に面し、背後には和泉山脈を擁するなど、海と山の豊かな自然環境に恵まれています。昭和23年に市制を施行し、昭和29年には近隣5村との合併により現在の市域が形成されました。古くから商業・工業・農業・漁業がバランスよく発展してきましたが、平成6年の関西国際空港開港を契機に、商業・サービス業や国際交流などがさらに発展しています。南海本線・空港線、JR 阪和線・関西空港線に加え、阪神高速、阪和自動車道、関西空港自動車道などの広域交通網が整備され、関西国際空港と空港連絡橋で結ばれる「世界と日本を結ぶ玄関都市」として、国際都市を目指したまちづくりを進めています。
また、全国的に知られるタオル産業をはじめ、水産物や農産物など多様な地域産業を有しており、こうした地域資源を活用したふるさと納税にも積極的に取り組んでいる自治体として全国的に知られています。ふるさと納税を単なる寄附金の確保にとどめず、地域産品のPR や販路拡大、地域産業の振興、交流人口の創出などにもつなげる取り組みを進めています。
特に、ふるさと納税を活用した自主財源の確保という点では、全国の自治体から目を集める先進的な事例を有しており、地域資源をどのように掘り起こし、寄附につなげ、さらに地域経済の活性化へと循環させていくのかという観点からも、今後の自治体経営を考える上で参考となる都市です。
人口/ 99,365人(令和7年3月31日現在)
面積/ 56.51㎢
(2)視察内容
泉佐野市では、ふるさと納税を重要な税外収入の確保策として位置づけ、地域産業の振興や地域経済の活性化につなげる取り組みを積極的に進めています。令和6年度には181億円を超える寄附を受け入れ、累積寄附受入総額は1,500億円を突破するなど、全国的にも注目される自治体となっています。特に特徴的な取り組みが、ふるさと納税を活用したクラウドファンディング型の「ふるさと納税3.0」です。これは、単に既存の地域産品を返礼品として提供するだけではなく、ふるさと納税による寄附を活用して、市内事業者による新たな地場産品の創出や設備投資、事業拡大などを支援する仕組みです。新たに生み出された商品を返礼品として提供することで、寄附の獲得と地域産業の育成を循環させることを目指しています。
また、泉佐野市では、返礼品を提供する事業者を「ふるさと納税パートナー企業」として募集し、寄附の促進だけでなく、地場産品のPR や販路拡大、地域経済の活性化につなげることを明確にしています。令和8年度においても、ふるさと納税を活用して市の地場産品を全国に知ってもらう取り組みを推進しています。
さらに、個人版ふるさと納税だけではなく、企業版ふるさと納税にも力を入れており、企業との接点を増やしながら、官民連携による社会課題の解決や地域活性化につなげる取り組みも進めています。令和6年度には企業版ふるさと納税で2億8,800万円の寄附を受け入れ、122法人からの寄附につながったと市は公表しています。
今回の視察では、泉佐野市のふるさと納税に関するこれまでの取り組みや、寄附額を増やすための返礼品・PR 戦略だけでなく、ふるさと納税を一時的な財源確保に終わらせず、地域事業者への支援、新たな産業や商品・サービスの創出、雇用や地域経済の活性化へとつなげていく仕組みについて学びました。
また、本市においても自主財源の確保が重要な課題となる中、泉佐野市の取り組みを参考に、ふるさと納税をどのように活用すれば、寄附額の増加だけではなく、春日部市内の事業者や地域産業そのものの成長につなげることができるのかという視点から、本市への転用可能性について視察させて頂きました。
(3)視察から得られた考察
今回の視察で特に印象に残ったのは、泉佐野市が「ふるさと納税3.0」を、単にふるさと納税の寄附額を増やすための仕組みとしてではなく、地域産業を育て、新たな地場産品や事業を生み出すための仕組みとして活用している点です。
一般的なふるさと納税は、「地域の魅力ある返礼品を用意し、それを通じて寄附を集める」という考え方が中心になります。一方で「ふるさと納税3.0」は、地域の事業者が
新商品開発や設備投資、事業拡大などに取り組む際に、ふるさと納税を活用してその挑戦を支援し、その結果として生まれた商品やサービスを新たな返礼品につなげていくという、「寄附を集める」だけではなく、「寄附を地域に投資する」仕組みになっています。
つまり、
ふるさと納税で寄附を集める
↓
地域事業者の新たな挑戦を支援する
↓
新商品・新サービス・新たな事業が生まれる
↓
地域の魅力が高まる
↓
新たな返礼品などを通じて、さらに寄附につながる
という循環をつくっている点に、大きな特徴があります。これは、ふるさと納税を「自主財源の確保」という一つの目的だけで捉えるのではなく、「自主財源の確保」と「地域経済の活性化」を同時に実現する政策として捉えているということだと思います。
本市においても、ふるさと納税をさらに伸ばしていくことは重要ですが、単純に返礼品を増やしたり、寄附額を競ったりするだけではなく、春日部市内の事業者が「新しい商品を作りたい」「新しい事業に挑戦したい」「設備投資をしたい」と考えたときに、それをふるさと納税の仕組みを通じて後押しできないかという視点は、大いに参考にできると感じました。特に春日部市には、農産物、食品、工芸品、地場産業、観光資源など、まだ十分に活用し切れていない地域資源があります。こうした資源を市内事業者の新たな挑戦と結び付けることができれば、新たな返礼品の創出だけでなく、販路拡大、企業の成長、
雇用の創出、さらには市の自主財源の確保にもつながる可能性があります。
今回の視察を通じて、ふるさと納税については「いくら集めるか」だけではなく、「集めた寄附を、どのように地域へ還元し、次の産業や事業を生み出すのか」という視点が重要であると感じました。
春日部市においても、泉佐野市の「ふるさと納税3.0」をそのまま導入するのではなく、本市の地域資源や事業者の状況に合わせた仕組みを検討し、ふるさと納税を「財源確保」から「地域産業への投資」へと発展させることで、自主財源の確保と地域経済の活性化を両立させる取り組みにつなげていきたいと思います。

視察の様子