各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 日本維新の会
- 視察先
- 大阪府 岸和田市
- 視察案件
- 1.「スマートシティの取組」(避難所受付デジタル化実証実験)について
2.「まなび中央公園整備」について
- 実施日
- 令和8年7月6日
- 参加者氏名
- 平沢 一博
視察結果概要
(1)視察先の概要
大阪府の南部、泉州地域の中心部に位置し、江戸時代には岡部氏5万3千石の城下町として栄えた歴史ある都市です。大正11年(1922年)に大阪府内で3番目に市制を施行し、紡績業をはじめ、製鋼、煉瓦製造などの産業の発展とともに市街地が形成され、泉州地域の経済・文化・行政の中心的役割を担ってきました。
大阪湾から和泉山脈まで東西に広がる地形を有し、臨海部の工業地帯から平地、丘陵、山地まで多様な地域特性を持っています。また、南海電鉄、JR 阪和線、阪神高速湾岸線、阪和自動車道などの交通網が整備され、関西国際空港にも近接するなど、広域的な交通利便性を有しています。
だんじり祭に代表される伝統文化に加え、農業・漁業・製造業など多様な産業が息づく、歴史と地域文化、産業が共存する都市です。
人口/ 184,573人(2026年9月1日現在)
面積/ 72,72km
1.「スマートシティの取組」(避難所受付デジタル化実証実験について)
(1)視察内容
岸和田市では、市民の生活利便性の向上や一人ひとりの生活の豊かさを高めるため、情報技術や先端技術を活用したスマートシティの取組を推進しています。その先行プロジェクトの一つとして、令和6年度に民間の会社と連携し、マイナンバーカードやスマートフォンを活用した「避難所チェックイン管理システム」による避難所受付のデジタル化の実証実験を実施しました。実証実験では、災害時の避難所開設を想定し、「手書き」「QRコード(スマートフォン)」「マイナンバーカード」の3種類の受付方法を比較し、受付時間や操作性、職員の業務負担等について検証しました。その結果、マイナンバーカードを利用した受付では平均9秒で登録が完了し、QRコードの1分45秒、手書きの1分10秒と比較して、受付時間を大幅に短縮できることが確認されました。
また、単に受付をデジタル化するだけではなく、登録された避難者情報を活用し、避難所ごとの避難者数の推移、年代・性別、収容率などをBIツールで可視化するとともに、大阪広域データ連携基盤(ORDEN)へのデータ連携についても検証が行われました。これにより、災害時の避難状況を一元的に把握し、職員や支援者の適正配置、支援物資の適正配置などへの活用が期待されています。
今回の視察では、こうした岸和田市の実証実験を通じて、災害時の受付業務における職員の負担軽減や避難者の待ち時間短縮だけでなく、収集したデータをその後の避難所運営や支援にどのようにつなげていくのかという視点から、その仕組みや導入に至った経緯、実証実験によって明らかとなった課題等について学び、本市における避難所運営のデジタル化や防災DXの推進に、どのように転用することが可能かという視点から視察させて頂きました。
(2)視察から得られた考察
岸和田市の避難所受付デジタル化実証実験については、災害時における避難所の受付業務をデジタル化することで、避難者の受付時間を短縮するとともに、職員の業務負担を軽減し、収集した避難者情報をその後の避難所運営や支援に活用していくという考え方が非常に参考になりました。特に印象に残ったのは、いきなり本格導入するのではなく、実際の避難所を想定した実証実験を行い、マイナンバーカード、スマートフォン、手書きによる受付を比較することで、それぞれのメリットや課題を検証していた点です。デジタル化というと、「新しいシステムを導入すれば業務が効率化する」と考えがちですが、実際には機器の操作性や通信環境、職員の習熟、市民のデジタル機器の利用状況など、現場でなければ分からない課題も多くあります。そうした課題を事前に把握し、改善につなげていく実証実験の重要性を改めて感じました。
また、単に「受付を早くする」だけではなく、受付時に得られた避難者情報をデータとして蓄積し、避難所ごとの避難者数や収容状況などを可視化することで、避難所の状況把握や支援物資の適正配置など、災害対応全体につなげていくという発想も大変参考になりました。本市においても、災害発生時には限られた職員で多くの避難者に対応しなければならず、避難所受付や避難者名簿の作成、その後の情報整理には相当な時間と労力が必要になると考えます。だからこそ、平時からデジタル技術を活用した避難所運営の仕組みを検討し、いざという時に職員と市民の双方が迷わず利用できる環境を整えておく必要があると感じました。
一方で、災害時には通信障害や停電、スマートフォンを持っていない方、デジタル機器の操作が苦手な高齢者など、デジタルだけでは対応できないケースも想定する必要があります。デジタル化を進めることと、従来の紙による受付などを残すことを対立させるのではなく、どのような状況でも避難者を取りこぼさない仕組みを構築することが重要だと感じました。
今回の視察を通じて、DXとは単に紙の業務をデジタルに置き換えることではなく、これまでの業務そのものを見直し、より効率的で迅速かつ市民にとって利用しやすい仕組みに変えていくことだと改めて認識しました。
既に本市でも、防災分野を含めデジタル化に取り組んでいる部分はありますが、岸和田市の実証実験を参考に、模倣できるところはしっかりと模倣し、本市の実情に合わせながら、避難所運営のデジタル化、防災DXをさらに前に進めていくべきだと強く感じました。
2.「まなび中央公園整備事業について」
(1)視察内容
岸和田市の「まなび中央公園」は、総合体育館に隣接する大型公園で、プール、テニスコート、多目的グラウンド、遊具広場など、従来から市民のスポーツや憩いの場として利用されてきた公園です。近年では、スケートパークの整備に加え、2025年4月には3×3バスケットボールコートを新設するなど、時代の変化や市民ニーズに合わせて施設の充実を図っています。今回の視察では、特に3×3バスケットボールコート、ドッグラン、ジョギング・ウォーキングコースに着目し、既存の公園を活用しながら、子どもから高齢者まで幅広い世代が日常的に身体を動かし、楽しむことのできる公園へと整備していく考え方について学びました。
3×3バスケットボールコートは、ハーフコート型のコートを2面整備し、予約不要で利用できる施設となっており、少人数でも気軽にスポーツを楽しめる環境を整えています。
また、整備にあたってはスポーツ振興くじ助成金を活用しており、財源確保の面についても本市の公園整備を考える上で参考となる取り組みです。
さらに、ドッグランについては無料で利用できる施設として整備され、飼い主と犬が一緒に利用できる環境を整えるとともに、利用状況を踏まえて小型犬と中・大型犬の利用日を分けるなど、利用者の安全性や快適性を考慮した運用も行われています。
また、公園内には遊歩道が整備され、ランニングやウォーキングを楽しむことができるほか、400mトラックを備えた運動広場なども整備されており、競技スポーツだけではなく、健康づくりや日常的な運動の場としても活用されています。
今回の視察では、こうした岸和田市の取り組みを通じて、既存の公園を単なる「緑地」や「子どもの遊び場」として捉えるのではなく、スポーツ、健康づくり、ペットとの交流、子育て世代の交流など、多様な市民ニーズに応える地域の拠点として活用していくためにはどのような整備・運営が必要なのかという視点から学び、本市における公園の魅力向上や、既存公園を活用したスポーツ・健康づくりの推進にどのように転用することが可能かという視点から視察させて頂きました。
(2)視察から得られた考察
岸和田市の「まなび中央公園整備」については、既存の公園を単に維持・管理するのではなく、市民のニーズや時代の変化に合わせて新たな機能を加え、幅広い世代が利用できる魅力的な公園へと進化させている点が非常に参考になりました。
特に、3×3バスケットボールコート、ドッグラン、ジョギング・ウォーキングコースなど、それぞれ対象となる利用者が異なる施設を一つの公園の中に整備することで、子どもから高齢者、スポーツを楽しむ方、犬を飼っている方など、多様な市民が日常的に公園を訪れるきっかけをつくっていることが印象的でした。
3×3バスケットボールについては、少人数でも気軽に利用できる環境を整えることで、競技者だけではなく、子どもたちが友人同士でスポーツを楽しむ場所としても活用できると感じました。また、スポーツ振興くじ助成金を活用して整備していることから、限られた市の財源だけに頼るのではなく、国や関係団体等の補助制度を積極的に活用しながら施設整備を進めることの重要性も学ぶことができました。
また、ドッグランの整備については、近年ペットを家族の一員として飼う世帯が増える中で、公園の新たな活用方法の一つとして非常に興味深い取り組みでした。単に施設を整備するだけではなく、実際の利用状況を踏まえて利用方法を見直すなど、利用者の声や現場の状況に応じて運営を改善していく姿勢も参考になりました。
さらに、ジョギングやウォーキングができる環境を整備することで、競技としてのスポーツだけではなく、市民が日常生活の中で健康づくりに取り組める場所として公園を活用している点も重要だと感じました。高齢化が進む中、健康寿命の延伸や介護予防という観点からも、身近な場所で気軽に身体を動かせる環境を整えることは、今後ますます重要になると考えます。
本市においても、多くの公園が整備されていますが、これからは新たな公園を造ることだけではなく、既存の公園をどのように活用し、市民に「もっと利用したい」と思ってもらえる場所にしていくかという視点が重要だと感じました。
特に、3×3バスケットボールコートやドッグラン、ジョギングコースなどは、比較的明確な目的を持って整備できるため、市民ニーズを把握しながら、本市の公園の規模や立地に合わせて導入を検討する余地があると考えます。また、スポーツ施設だけではなく、子どもたちの遊び場、健康づくり、高齢者の交流、ペットとのふれあいなど、
複数の目的を持った公園として整備することで、より多くの市民に利用される公園につながると感じました。
今回の視察を通じて、公園は「整備して終わり」ではなく、市民のライフスタイルやニーズの変化に合わせて、その役割や機能を常に見直していくことが重要だと改めて感じました。
また、土地柄によるものかもしれませんが、何か問題が生じた場合には利用を中止するというルールをしっかりと意識させるとともに、「自分たちの居場所は自分たちで守る」という意識を利用者に持ってもらうことを大切にしている点が、非常に印象的でした。
既に本市でも公園の整備や維持管理が行われていますが、岸和田市の取り組みを参考に、既存施設や公園を最大限に活用しながら、補助制度等も積極的に活用し、市民が子どもから高齢者まで世代を問わず集い、スポーツや健康づくり、交流を楽しむことのできる「選ばれる公園」づくりを、本市においてもさらに進めていくべきだと感じました。

視察の様子