各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 国民民主党
- 視察先
- 大阪府 泉佐野市
- 視察案件
- ふるさと納税の取組について
- 実施日
- 令和8年7月8日
- 参加者氏名
- 遠藤 彩生
視察結果概要
(1)視察先の概要
【視察先の基本概要】
・人口:約9.9万人(春日部市:約22.9万人)
・面積:56.50km²(春日部市:66.00km²)
・財政力指数:0.84(春日部市:0.71)
・都市形態:多機能的田園都市
・将来負担比率:令和3年 42.8%/令和4年 27.9%/令和5年 8.7%
泉佐野市は、大阪府南部に位置する人口約10万人の都市です。北海道などのように強力な一次産品といったふるさと納税における人気の返礼品資源に乏しい地域でありながら、独自の工夫により、2021年から5年連続で寄付額100億円を超え、2025年度には寄付額230億円に達し、全国トップとなっています。 同市は過去に財政難を背景にふるさと納税に注力し、総務省から制度の適用除外を受けたものの、国を訴えて勝訴し2020年に制度に復帰したという経緯を持ちます。現在も庁内に専門部署を設け、ふるさと納税の獲得に全庁的に取り組んでいます。
(2)視察内容
泉佐野市が展開する独自の取り組みである「#ふるさと納税3.0」について視察を行いました。 これは、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用して資金を調達し、新たな地場産品を開発・製造する事業者に対して補助金を交付する仕組みです。最大の特徴は「補助率が10分の10(上限なし)であること」と「補助金の原資を寄附金で賄うため、実質的な市の財源持ち出しがないこと」です。 この取り組みにより、ウナギの養殖場やクラフトビールの体験型醸造所(建設費38億円の全額を寄附金で賄う)など、市内に新たな地場産品と雇用が次々と生まれています。 成功の鍵として、制度を作るだけでなく「役所が事業者にしっかりと伴走すること」が挙げられており、事業者自らが寄附を集めるための工夫を考えるようになり、事業者のモチベーションを大きく引き出しているとのことでした。
(3)視察から得られた考察
泉佐野市の「#ふるさと納税3.0」は、元々有力な返礼品資源が乏しい状況を逆手に取り、クラウドファンディング型の仕組みを活用して新たな地域資源を創出している点において、非常に画期的かつ戦略的なアプローチでした。 本市(春日部市)においても、大規模事業の推進に伴う将来負担比率への配慮など健全な財政運営が求められる中、既存の返礼品資源だけに依存するのではなく、民間活力を引き出しながら「地域産業の育成」と「歳入確保」を両立させる取り組みには、まだまだ工夫できる「余地」が十分に残されていると実感いたしました。
特に留意すべきは、同市の取り組みの背景にある厳格なガバナンスと法令遵守(コンプライアンス)の徹底です。同市では関係法令に抵触して制度から除外されるリスクを回避するため、補助金担当部署とふるさと納税担当部署を分離して相互チェックを利かせる
など、徹底した適正運用の仕組みを構築していました。本市において新たな仕組みの導入を検討するにあたっては、単に制度を設けるだけでなく、事業者に対する手厚い伴走支援に加え、こうした法令違反や不正流用を許さない監視・チェック体制の構築など、行政組織としてのノウハウの蓄積と丁寧な検証が欠かせません。
同市の取り組みは、本市の将来的な産業振興および財政政策に対して極めて有益な示唆を与えるものです。今後は、本市の地域特性や事業者の実態を踏まえつつ、適正な運用体制や法令遵守のあり方も含めて、本市におけるふるさと納税拡大に向けた検討を深めていくことが望まれます。

視察の様子