各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書
視察報告書
- 委員会名・会派名
- 民主党
- 視察先
- 宮城県 登米市
- 視察案件
- 小中一貫教育について
- 実施日
- 平成26年7月4日
- 参加者氏名
- 矢島章好
視察結果概要
(1)視察先の概要
登米市は、平成17年4月「夢 大地 みんなが愛する水の里」の実現を掲げ、登米地域9町(登米郡迫町・登米町・東和町・中田町・豊里町・米山町・石越町・南方町・本山郡津山町)の合併により、誕生した。平成26年3月末現在の人口は、8万3,991人である。登米市は宮城県の東北部に位置し、東は気仙沼市、南三陸町、西に栗原市、南は石巻市、涌谷町、北は岩手県に接し、西部には丘陵地帯、北上川左岸の東部には山間地帯となり、その間を広大平坦で肥沃な登米耕土が広がり、県内有数の穀倉地帯となっており、環境に負担をかけないよう農薬や化学肥料をできるだけ減らし、安全安心に力を注いだ環境保全米「ササニシキ」「ひとめぼれ」の主産地として有名な地域である。また、市を3等分するように北上川、迫川が南北に貫流し、多くの支流が注いでいるほか、西部には水鳥の生息地として知られ、国際的に重要なラムサール条約の指定登録湿地となっている「伊豆沼・内沼」や、長沼が位置し、南部には平筒沼を有するなど、豊かな水辺空間が広がっている。さらに、南東部には南三陸金華山国定公園の一部を有するなど、豊かな自然に囲まれた田園都市らしさをあらゆる所で醸し出している。気候は、内陸性気候であり、年間平均気温は11.4℃、冬期の降水量は少なく、降雪期間も比較的短く、東北地方にあっては、住み良い気象条件下にある。
(2)視察内容
豊里小中学校は、平成15年11月に「小中一貫教育特区」として認定を受け、平成21年4月からは「教育課程特例校」として小中一貫教育を進めている。豊里小中学校における小中一貫教育は、基礎学力を向上させることを目標とし、併せて9年間の異年齢集団での生活を通して、社会性を育成することも目標としている。現在の6・3制は「小4の壁」といわれる10歳前後の急激な脳の発達や「中1ギャップ」といわれる小学校6年から中学校1年にかけての認知心理上の急激な変化に対応しないといわれている。このことを解消するために3・4・2制を取り入れ、学習指導要領の示す内容が、より子ども達の実態に合うような弾力的なカリキュラムや指導法の開発等をすることによって、確かな学力の醸成を図っていくことを目指している。具体的には、基礎学力の向上については、振り返りと学び直しによる学力の定着、個別支援の充実であり、社会性の育成については、小中学校合同運動会、全校遠足・全校集会、児童会・生徒会統一の委員会活動等の異学年交流学習を実施しており、また、英語力の向上のために中学卒業時には英検3級の合格者が50%を超えることを目標に4年生からの英語指導を充実させ、コミュニケーションを重視した授業を行っている。
(3)視察から得られた考察
小中一貫教育は、児童生徒の変化では、学力・学習意欲が向上し、不登校が大幅に減少し、問題行動も少なくなり優しく思いやりのある生徒が増え、中学校進学時の不安が解消し、小学生を意識することで中学生の自立意識が高まり、精神面での成長が見られる。教職員の変化では、職員室で、常時情報交換ができることにより、小中の垣根を超えての児童生徒指導が可能となり、小中合同で教科部会等を開催できることで、研修意識向上が見られる等の効果が挙げられている。今後、本市においても小中一貫教育を推進する上で想定される課題等への参考としていきたい。

視察の様子