議第16号 名古屋出入国在留管理局収容施設死亡事案の真相究明を求める意見書
名古屋出入国在留管理局の収容施設でスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんが3月に亡くなった事案で、出入国在留管理庁が調査報告書を公表しました。
報告書は「改善すべき点があった」としたものの、なぜ死を防げなかったのか、具体的な検証はありません。
死亡の1か月以上前から嘔吐を繰り返し、3週間前の尿検査は「飢餓状態」でしたが、内科的処置は行われていません。報告書は、これらの原因を「医療体制の制約」や情報共有・対応の体制の問題としています。しかし、収容施設職員が、体調不良の訴えは仮放免を得るための「詐病」とみなしたとの記述もあり、体制があっても対応しなかった可能性は否定できません。
各地の収容施設では、体調不良を訴えても診療を認めようとせず、被収容者にまともに向き合わない姿勢が批判されてきました。背景には、医師の判断より施設長の判断を優先させる出入国在留管理行政の構造上の問題があります。
収容施設で医療を受けられず死亡した事例が後を絶たず、職員の暴力、暴言、人権侵害を告発する声も続出していたのに改善されないことは深刻です。ウィシュマさんがものを飲み込めず苦しむ様子をからかう職員がいたことは信じがたい人権意識の欠如です。今回の報告書で幕引きは許されません。
よって、国におかれては、第三者による内部立ち入りを含めた調査、ウィシュマさん死亡前の施設内でのビデオ映像の全面開示、国会での十分な審議を行い、真相を徹底究明するよう強く要望します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年9月21日
春 日 部 市 議 会
衆 議 院 議 長 様
参 議 院 議 長 様
内 閣 総 理 大 臣 様
内 閣 官 房 長 官 様
法務大臣 様
外務大臣 様