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意見書 議決結果

詳細情報

件名

議第9号 建設アスベスト被害者の早期救済を求める意見書

本会議議決結果

議決日
令和3年6月17日
議決結果
原案可決

内容

 建設現場で資材に含まれたアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けた各地の元建設労働者や遺族が提訴した「建設アスベスト訴訟」で最高裁は5月17日、国と建材メーカーの責任を認める判決を出しました。判決の確定を受けて菅義偉首相は同18日、原告に謝罪し、国は原告団と被害救済のための合意書を締結しました。
 今回の判決は、原告、家族、弁護団、支援者らの長年にわたる粘り強い運動がつくりだしたもので、国は解決に背を向けてきた姿勢を根本から改め、被害者を1人も取り残さない全面救済の仕組みを一刻も早く創設することが求められています。
 安価で加工しやすく燃えにくいアスベストは、高度経済成長期などに大量使用されました。吸い込むと肺がんや石綿肺、中皮腫を発症する危険が問題になっても国の対策は大きく立ち遅れ、被害を広げました。発症まで数十年かかる長い潜伏期間から「静かな時限爆弾」とも言われています。
 建設現場の作業に従事していた人の被害が急増し、2008年以降、国と建材メーカーを相手取った裁判が相次いで起こされ、地裁や高裁では国の責任を認定する判決が主流になりました。しかし、メーカーの責任や救済範囲などは裁判所によって判断は分かれていました。
 最高裁は、国は1975年までにはアスベストの危険性を認識していたにもかかわらず労働者への防じんマスク着用を事業者に義務付けることなどを怠ったとして、アスベスト使用を原則禁止にした2004年までの29年間、国に違法性があったことを認めました。
 当初、労働者として保護されないとされた「一人親方」についても、「危険にさらされるのは労働者に限られない」として、労働安全衛生法上の国の救済の対象になるとしました。メーカーが発症の危険について建材に警告表示をする義務を怠ったことも違法としました。複数の現場で作業したため、発症原因になったメーカーの建材の特定が難しい点についても、市場でのシェアや製造期間などから被害を推定できるとして、各社の不法行為を認めました。
 建設アスベスト訴訟では最高裁として初めての統一判断となった判決で、国とメーカーの責任を明確にしたことは重要です。その一方で、屋外作業に従事した原告を救済対象にしないなど問題も残されています。
 最初の提訴から13年、相次いで起こされた訴訟は33件、原告は約1200人にのぼり、裁判中に多くの元建設労働者が亡くなっています。「命あるうちの救済」は待ったなしです。
 よって国におかれましては、今国会で成立した特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律に基づき、被害救済とともに、暴露防止対策の強化、関連疾患の医療体制の整備や治療法の研究開発などに国として責任を果たすよう強く要望します。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和3年6月17日

                                    春 日 部 市 議 会

衆 議 院 議 長  様
参 議 院 議 長  様
内 閣 総 理 大 臣  様
厚 生 労 働 大 臣  様
国 土 交 通 大 臣  様
環 境 大 臣  様

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