議第18号 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の潜在的な患者に対する適切な対応を求める意見書について
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主としてたばこの煙やPM2.5などの有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の慢性疾患で、せき、たん、息切れを特徴とします。「健康日本21」では、がん、循環器疾患、糖尿病と並び、対策を必要とする主要な生活習慣病に位置付けられ、肺胞が破壊されることにより酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下することで罹患します。一度破壊された肺(気管支や肺胞)は元に戻らないため、重症化する前に治療を開始し進行を遅らせたり、急激に状態が悪化することを予防することが大切になります。また、症状悪化により身体活動性が低下すると、フレイル(健康な状態と要介護状態の中間段階)に移行し、要介護や寝たきりになる可能性があるとも言われ、今後、介護費用の増大につながる可能性も示唆されています。
さらに、COPDは循環器疾患(心血管疾患、脳血管疾患)、がんなど、他の慢性疾患との関連性も注目されています。日本COPD疫学研究(NICEstudy)の調査では、国内の患者は推定530万人ですが、厚生労働省等のデータでは治療中の患者は約36万人にとどまり、早期診断・早期治療への取り組みの強化が必要です。
よって、政府に対して、高齢化が進行する我が国において、国民のCOPDの認知度を高めると同時に、潜在的な患者の早期診断と早期治療への取り組みを強化し、その重症化予防対策を適切に進めるため、下記の事項について特段の対応を求めます。
記
1 検査体制を強化するため、地域の医療機関へ、COPDを診断するスパイロメーターの配備を支援すると同時に、臨床検査技師・保健師等により正確な計測を可能にする研修の実施やガイドラインを周知徹底すること。また、画像検査(胸部X線や胸部CT検査)とプログラム医療機器を用いた肺の炎症状態を定量的に測定する検査法の開発と普及をすること。
2 受診勧奨対策及び重症化予防対策を推進するため、地方自治体に対して財政支援や保険者努力支援制度等、重症化や増悪を抑えるための取り組みへインセンティブ制度を導入すること。また、重症化や増悪を抑えるため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が積極的に活用されるよう検討するとともに、COPD関連の厚労科研費等の研究資金の確保など、重症化や増悪を抑える新規治療薬開発のサポート体制を強化すること。
3 COPDに対する認知度並びにヘルスリテラシーを向上させるため、COPDに関する
情報や知識の普及啓発について、かかりつけ医等の正しく豊富な知識・経験に基づく適切な指導の展開や、学校教育や企業団体への保健指導など、幅広い年齢層に対する教育や研修を推進すること。また、症状などを紹介するチラシやリスクが分かるチェックシート(COPD集団スクリーニング質問票など)の作成と配布等、認知度向上及び死亡率低下への自治体の活動に対する財政支援をすること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
令和6年9月20日
春 日 部 市 議 会
衆議院議長 様
参議院議長 様
内閣総理大臣 様
財務大臣 様
厚生労働大臣 様