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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
新政の会
視察先
静岡県 熱海市
視察案件
「熱海市チャレンジ応援センター A−supo」について
実施日
令和7年10月3日
参加者氏名
鬼丸 裕史、水沼 日出夫、石川 友和、山口 剛一

視察結果概要

(1)視察先の概要
 静岡県熱海市は、伊豆半島の東側付け根に位置し、東は相模灘に面し、三方を山に囲まれた自然豊かなリゾート都市です。沖合約10kmには初島が浮かんでいます。気候は年間を通して比較的温暖で、夏は涼しく冬は暖かいという特徴があります。特に交通の便が良く、東海道新幹線を利用すれば東京から約50分というアクセスの良さから、首都圏からも訪れやすく、移住後も都心への通勤が可能な点が魅力です。
 市の総面積は約61.78㎢です。人口は減少傾向にあり、高齢化率が全国的に見ても高い水準で進行している点が特徴として挙げられます。また、別荘などの二次的住宅が多いことから、住宅総数の過半数を空き家が占めていますが、実質的な空き家率は比較的低いとされています。世帯構成については、1世帯当たりの人員数が静岡県平均と比べても低く、単身世帯が多い傾向にあります。
 古くから温泉地として有名であり、観光業が主要な産業の一つです。海、山、島を擁する地理的条件を活かし、ダイビングや釣りなどのマリンスポーツのほか、ゴルフやテニスなどのレジャー、文化活動も盛んです。特産品には、だいだいや干物、海産物などがあります。
 生活環境としては、市内中心部に大型商業施設や商店街があり、日常の買い物に便利です。また、医療機関が充実しており、人口あたりの病院数が静岡県内でも上位であることに加え、救急医療体制も整備されているため、安心感があります。ただし、海岸線からすぐに山が迫る地形のため坂が多く、移動には主にバスや電車、タクシーといった公共交通機関や自家用車が利用されています。

(2)視察内容
 「地域産業を担う事業者の経営・創業等の相談に答えていき、地域経済全体の生産性向上」並びに、「コンサルタント会社が構築してきたネットワークの強みを企業連携などに有効的に繋ぎ社会課題の解決を図ること」を目的とする「熱海市チャレンジ応援センター A−supo」の運営体制、具体的な支援内容、および多角的な連携手法を調査し、本市の施策立案に資する知見を得ました。

(3)視察から得られた考察
 平成24年度、A−biz(熱海市 チャレンジ応援センター)は熱海市観光経済課産業振興室と熱海商工会議所が連携し「売上増加に向けて事業者の皆さんと一緒に考え、コストをかけずに知恵を出す。そして結果を出す。」ことに、こだわった新たな個店支援事業としてスタートしました。
 運営にあたっては「行列のできる産業支援機関」として豊富な支援実績があり、全国的なモデルとなっている富士市産業支援センターf−bizと連携し、運営指導などを受けたそうです。
 また、事業者相談に伴う支援事業は、商品開発・販路開拓など専門知識・知見が不可欠な業務であるため、平成29年11月にリニューアルし、チーフアドバイザーを設置し、個別相談に対して「きめ細やかな相談に答える体制」としました。
 チーフアドバイザーの退任に伴い、中小企業事業者支援には「継続的な伴走型支援」とともに「組織による相談体制」かつ「各種の高い専門性を兼ね備えている必要がある」ため専門家組織によるコンサルタント会社などの知見やノウハウを活用し新たな相談センター体制(現在の体制)を構築し、令和4年10月からA−supoと改称し、再リニューアルをしています。令和7年度予算は委託料として2,560万円を計上し、実施されています。
 委託先はプロポーザル方式の入札で選考されたデロイトトーマツです。デロイトトーマツは国内有数の監査法人である有限責任監査法人トーマツを含む税務、法務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を行うグループの総称です。
 A−supoの設置場所は、熱海市役所、第1庁舎3階。アドバイザーの相談は毎週水曜日、木曜日の終日。1回の相談は60分程度。料金は無料です。対象は市内事業者、及び起業・創業希望者。市内企業との取引に関わる市外事業者の場合は要相談です。支援内容は「出口戦略支援事業」・「マッチング支援」・「知財支援」・「起業支援」・「各種支援機関・企業連携支援等」となっています。センターでの個別相談及び実地訪問によるプッシュ型支援を行っています。
 A−supoの支援方法に関する特徴は、従来型の「相談者の日々の困りごとの相談を受け、それに対する解決策の提示」にとどまることなく「相談者の日々の困りごとの相談を受け、中長期的成長を促す解決策を提示しその実行に向けてフォローや追加提案を積極的に提示していく」ことが特徴です。中長期でゴールを目指すため、次回予約・次回までの宿題を確認するそうです。
 令和6年度は創業5年超の事業者からの相談が最も高い割合を占めており相談目的は売上増加が最も多く、次に起業に関する相談が多い傾向にあったそうです。
 A−supoビジネスアドバイザーは「売上」・「事業創出」・「変革」・「生産性向上」といった アウトカムを積極的に評価し、全ての事業者を支援するのではなく「生産性向上」に向けた意欲のある事業者に対し、集中的に支援=徹底的な伴走支援による成果にコミットメントにより、これまで地域に不足していた知見を提供する姿勢で行っているそうです。
 経済的・社会的インパクトの計測、事業効果に対する計測方法はSROI(社会的投資収益率)を用いています。
 SROI(社会的投資収益率)は事業の効率性と有効性を計測し単なる数値化ではなく「貨幣価値」に換算して、可視化するものです。
 計算式は分母に総費用(インプット)分子に総便益(アウトカム)で計算します。
 SROIは「1.0」を超えれば有効的であり、効率的であるとみなすことができるそうです。例えば6年度の本事業におけるSROIは「2.60」だったそうです。
 熱海市チャレンジ応援センターA−supo事業は、簡単に言うと熱海市が3,000万円弱の事業予算を用意し、監査法人トーマツグループの経営コンサルタントを市内事業者、創業希望者が受けられる制度ということができます。
 熱海市も春日部市と同じように中小規模の事業者が多く、事業者単体でデロイトトーマツのような大型経営コンサルタント会社のサービスを受けることは大変難しいと思います。また、商工会議所、商工会が行う全ての会員を同等に扱う経営指導とは異なり「事業創出」・「変革」・「生産性の向上」といった、事業者として積極的な姿勢を客観的に評価できる相談者を優先するという姿勢も特徴と言えると思います。この制度をそのまま春日部市に当てはめることは難しいかもしれませんが、当市の商工部局と商工会議所・商工会等経済団体と協議、連携を行い、市内事業者の育成、創業に向けた取り組みとして、大変参考になる事例だと思いました。

視察の様子
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