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各常任委員会、議会運営委員会、各会派 行政視察報告書

視察報告書

委員会名・会派名
総務委員会
視察先
山形県 山形市
視察案件
第6次行政改革に係る自主財源確保の取組について
実施日
令和7年10月30日
参加者氏名
山口 剛一、藤原 智子、酒谷 和秀、大野 とし子、阿部 雅一、山崎 進、荒木 洋美

視察結果概要

(1)視察先の概要
 山形市は、山形県の中部東にある人口約24万人、面積381.58㎢の市で、県庁所在地でもあります。四方を山々に囲まれた自然豊かな都市で、戦国武将最上義光公が整備し、江戸時代には紅花商人で栄えた城下町の風情を残した街並み、蔵王や山寺などの観光地を有します。また、お米やサクランボなどの豊富な農産物、そばやラーメン、山形牛、地酒は全国的にも有名です。
 明治維新によって藩が廃され、県に改まると、明治22年に市制が施行されました。また、昭和29年には近接12カ村を、続く31年には6カ村を合併して現在の規模となっています。平成元年には市制施行100周年を迎え、新世紀の幕開けとなった平成13年には特例市となりました。さらに、令和元年度には中核市へ移行し、保健所を開設するなど、着実に都市のステップアップを果たしています。

(2)視察内容
○第6次行財政改革プランについて
 平成8年に策定した第1次プラン(山形市行財政改革大綱)以降、5年ごとに改定しており、令和2年〜6年度を対象としたものが第6次行財政改革プランです。第6次プランでは、「方針1 市民満足度の高い効率的な行政サービスの推進」として、行政デジタル化、効率的な情報発信、民間活力の活用を、「方針2 機能的な組織体制の整備と将来を見据えた人材の確保・育成」として、組織体制の強化、人材確保・育成、危機管理の強化を、「方針3 持続的発展が可能な財政運営」として、歳入の確保(ふるさと納税の推進、広告事業の推進)、公営企業・第三セクターの健全経営を掲げ、取組を進めてきました。
 取組実施による自主財源の確保に関する成果としては、広告収入の増加や、ふるさと納税収入の増加がありました。

○広告事業について
 市のあらゆる資産を広告媒体として活用し、多様な広告手法の中から各資産に最も適した方法を検討しながら広告事業を積極的に推進していくため、平成27年に「山形市広告事業に関する基本方針」を策定しました。また、同じく平成27年に、市有施設のネーミングライツ(施設命名権)の適正な導入を図るため、対象施設、募集の方法等について基本的な考え方をまとめた「山形市ネーミングライツ導入に関する基本方針」を策定しました。
 山形市における主な広告事業は次のとおりです。なお、広告事業による効果額は、令和6年度では約3,000万円でした。
・市が発行する印刷物・・・冊子、パンフレット、封筒、雑紙回収袋など
・市が管理するウエブページ・・・市が運営するホームページなど
・市が所有する土地、建物の財産及び備品等・・・本庁舎等の市有施設(エレベーター内壁面など)、消防車両のシャッター部分、コミュニティサイクルのドレスガードなど
・デジタルサイネージ・・・本庁舎正面玄関、市民課窓口の案内表示板など
・ネーミングライツ・・・野球場、蔵王ジャンプ台、グラウンドゴルフ場、陸上競技場、児童遊戯施設

 課題は、「稼ぐ市役所」という組織風土の醸成が必要なことや、庁内でノウハウを共有したり、広告代理店を活用するなどの施策が必要と考えているとのことでした。

○ふるさと納税について
 寄附金額は、一部減少した年もありますが、年々増加しており、令和6年度には過去最高額の47億868万でした。
 寄附の申し込みは、昔ながらの申込方法であるFAXや郵便振替を継続しながら、取扱いのポータルサイト(主な13サイト+チョイスパートナーサイト7サイト)を増やし、寄附を集めています。ただし、ポータルサイトを増やすと、契約や支払いなどの事務量が増加していくため、効率の良いポータルサイトを選び、契約しています。
なお、返礼品の調達及び配送管理・PR業務、寄附者からの問い合わせ対応、受領証の発送業務などは、山形市の地域総合商社である「おもてなし山形株式会社」に業務委託の上、実施しています。
 寄附金額の9割以上を農産物(肉、米、野菜、フルーツ等)が占めています。農産物は、その年によって収穫状況が異なるため、翌年以降の先行予約や、近隣市町と連携した取組を進めています。
 今後は、フルーツの先行予約や、近隣市町との連携を進めるほか、体験型返礼品(スキー場のリフト券、宿泊券、食事券、旅行など)を強化していくとのことでした。

(3)視察から得られた考察
 今回の山形市への視察を通じて、持続的な行政運営と自主財源の確保に向けた先進的な取り組み、特に行財政改革プランに基づく広告事業とふるさと納税の積極的な推進について、具体的な知見を得ることができました。


1.「稼ぐ市役所」への意識改革と戦略的な広告事業
山形市が「稼ぐ市役所」という組織風土の醸成を課題としつつも、平成27年に策定した基本方針に基づき、印刷物、ウェブページ、施設(ネーミングライツ含む)といった市のあらゆる資産を広告媒体として活用している点は、本市にとって大きな示唆となります。特にネーミングライツは、野球場から児童遊戯施設まで多岐にわたり、施設の維持管理への貢献に加え、市民生活に近い場所での企業連携を実現しています。
 令和6年度に約3,000万円という効果額を上げている広告事業は、本市においても、市有施設のネーミングライツやデジタルサイネージ、さらにはコミュニティサイクルのドレスガードのような、きめ細かな媒体活用を含め、潜在的な広告収入源を再評価し、全庁的なノウハウ共有と専門的な広告代理店の活用を視野に入れた戦略的な推進体制を確立すべきと考えられます。

2.地域資源を活かしたふるさと納税の最大化と外部委託の活用
 山形市では、寄附金額の9割以上を農産物が占めているという特産品を最大限に活かし、令和6年度に約47億円という過去最高の寄附額を達成しています。これは、地域資源の魅力が、自主財源確保の最大の柱となり得ることを証明しています。
 複数のポータルサイト(20サイト)の活用による間口の拡大と、その反面で増加する事務量を、地域総合商社である「おもてなし山形株式会社」への業務委託によって効率化している体制は、本市がふるさと納税業務を拡大していく上でのモデルケースとなります。調達・配送管理、PR、問い合わせ対応といった事務を一元的に外部委託することで、市職員は企画・戦略立案に集中できる環境が整っています。
 今後の施策として、体験型返礼品(スキー場リフト券、宿泊券など)の強化や近隣市町との連携を進める方針は、単なる「モノ」の返礼から「コト」の提供、そして広域連携によるスケールメリットの追求という、ふるさと納税の新しい方向性を示唆しています。

3.今後の本市への応用
 本市においても、山形市のように行財政改革プランの中で「歳入の確保」を明確な柱とし、広告事業とふるさと納税を両輪で強化すべきです。特に、ふるさと納税においては、本市の特産品(例:工芸品、農産物、観光資源など)の磨き上げと、その魅力を最大限に引き出すための戦略的な返礼品開発・PR体制の構築が急務です。
 また、山形市の事例を参考に、外部の専門知識や民間活力を積極的に導入し、効率的かつ効果的な自主財源確保策を講じる必要があります。

視察の様子
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